金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

29

新聞購読のお申込み

中村精工 DXで年間20社以上の新規開拓を実現

新たに福岡工場が稼働

渡邉 章社長

射出成形事業を強化

自動車向けプラスチック金型の設計・製作を手掛ける中村精工(岐阜県岐阜市、058-388-3551)は1月、成形事業及び金型メンテナンスを行う福岡工場(福岡県飯塚市)を立ち上げ、1800tの射出成形機などを導入し、九州地域の新規開拓を図る。親会社である関東製作所(東京都江東区)と共に、Webを活用したデジタルマーケティングにも注力、年間20社以上の新規開拓を実現。自動車産業ほか、様々な顧客の課題解決に取り組んでいる。

顧客ニーズに応じた金型づくり
大ロット量産に対応する福岡工場

「当社の強みの1つはデジタルマーケティング」と話すのは渡邉章社長。昨今、生産現場のDX化は進んでいるが、Webを活用したデジタルマーケティングに注力している金型メーカーは稀だ。同社はコーポレートサイト、技術紹介のソリューションサイト、さらにオウンドメディア(企業自ら保有するメディア)を持ち、金型・成形技術やロボットなど自動化・省人化技のコラムを掲載し、メルマガとして顧客や見込客へ定期発信している。その理由として「金型を製作したいという時期は顧客によって異なる。定期的に発信することで、顧客に当社を覚えてもらうことが狙い」といい、困った時に相談に乗れる環境をWeb上に構築。新規先には金型や成形技術を理解していない企業もあり、技術相談に乗ることで価格競争も少なく、顧客ニーズに応じた製品を作ることができる。

「新規開拓の場は展示会」とインターモールドや機械要素技術展などに出展。だが、目的は営業活動ではなく名刺の獲得。名刺から営業するのではなく、メルマガ配信に結びつけ、Web上で相談が来る環境を整えている。「当社の1番の投資は展示会。多くの名刺を集めることで見込客ができ、デジタルマーケティングで新規開拓のきっかけを作っている」と語り、昨年は新規開拓だけで2億1000万円を売り上げ、今年は4億円を目指す。

Web戦略で新規開拓進める

「顧客が求めるのは成形品。金型メーカーの多くは成形メーカーを顧客としているが、金型に加え、成形事業を強化すればマーケットは広がる」。同社は今年、1800t、850t、450tの射出成形機を設備した福岡工場を稼働させた。「九州は成形メーカーも少なく、成形事業の強化で北部九州にある自動車メーカーや部品メーカーの需要が見込める」とし、生産準備や大ロット量産に対応。金型製作と成形事業の両輪で自動車や他の市場の求める製品を提供する。

人材採用もWeb活用し、直近3年間で70人採用した。社内にはデジタルマーケティングを手掛けるデジタル人材のほか、Webデザイナーと契約し、サイトの充実を図る。今年はYouTubeチャンネルやウェビナーも積極的に展開する予定だ。それでも最も重要なことは金型や成形技術だと渡邉社長は話す。「バックグランドにモノ作りの力がないと意味がない。従来ある力に、マーケティング力が加わることで受注に結び付く。現代では両方の力が求められる」。

会社の自己評価シート

デジタルマーケティングに代表されるように、「未来に投資する力」「変化に対応する力」に加え、デジタルを活用した「営業力」「PR・発信力」に高い評価。今後は人材や技術力の強化を図りつつ、設備力の強化を進める。

会社概要

  • 本 社:岐阜県岐阜市柳津町北塚4-41-3
  • 電 話:058・388・3584
  • 代 表 者:渡邉章社長
  • 創 業:2013年
  • 従 業 員:45人
  • 事業内容:プラスチック金型の設計・製造、射出成形事業(180t~1800t)

金型新聞 2022年4月10日

関連記事

【新春特別インタビュー】時代をリードする8人

 「CASE」による自動車業界の大変革は金型メーカーに大きな変化を迫ってきた。そして昨年から続くコロナ禍。リモート環境への対応やデジタルツールの活用など、変化せざるを得ない状況はさらに加速している。こうした混迷の時代に合…

差別化できる設備投資、従来とは違う戦い方で次世代につないでいく 中村稔氏(日新精機社長)【鳥瞰蟻瞰】

当社は創業から50年間、冷間圧造金型一本で事業を続けてきました。しかし、10年後も同じように事業を続けていられるかというと、そうは考えていません。今ある仕事は相当減っていると思います。感覚的な予測になりますが、だいたい3…

【この人に聞く】MOLDINO・鶴巻 二三男社長

切削工具メーカーのMOLDINO(東京都墨田区、03-6890-5101)は金型加工に特化した工具の開発に取り組んでいる。昨年4月にはこれまでブランド名だった「MOLDINO」を社名に改め、これまで以上に金型加工の課題を…

「微細加工分野に注力」GFマシニングソリューションズ社長・ローラン・キャステラ氏

放電加工機やマシニングセンタ(MC)、自動化システムなどを手掛けるスイス・GFマシニングソリューションズ。今年1月、日本法人(東京都品川区、03-5769-5010)の社長にローラン・キャステラ氏が就任した。今後、金型メ…

ものレボ 生産工程など見える化[金型応援隊]

中小製造業ではフレキシブルな対応や生産性向上を図るためのデジタル化が喫緊の課題だ。 2016年創業した『ものレボ』は現場の工程管理、在庫管理、受発注管理、分析などの見える化を図るDXアプリ『ものレボ』を開発し、従来ホワイ…

関連サイト