常識にとらわれない金型 イノベーションを起こし新しい収益モデルを創る 〜新ビジネス〜 1975年生まれ、静岡県出身。98年立命館大学卒業後、富士通に入社し、システム販売などに従事。2004年稲垣金型製作所に入社、18年…
木谷電器 木谷健一郎社長に聞く 要望ヒントに金型開発
端子や太陽光発電関連機器を手掛ける木谷電器(大阪府枚方市、072・855・1492)は、取引先の要望をヒントに新たなプレス金型の研究開発に取り組む。時代のニーズに応えるプレス技術を開発し、未来を拓く新しい事業に発展させたい考えだ。金型の研究開発に取り組む理由や今後の目標は。木谷健一郎社長に聞いた。

未来拓く新たな事業に
金型の研究開発に取り組む理由は。
新しい事業につながる技術や製品を開発するためです。当社が得意とするのは順送金型などによる精密高速プレス加工です。これは祖業である端子製造を源流とし進化してきたものです。そのコア技術こそが金型。これまでにない金型を開発し、当社の未来を切り拓く技術や製品を創りたいと思っています。
これまでに開発した金型は。
板厚10㎜の金属板を剪断面100%で打ち抜ける金型や、ベーナイト鋼を複雑な形状に加工できる金型です。これらは取引先の要望や時代のニーズをヒントに開発したものです。当社では毎年一つ研究対象の課題を設定して開発に取り組んでいます。

その成果は。
「剪断面100%の金型」は汎用プレス機でファインブランキングプレスよりも高速で加工でき、設備投資や生産コストを抑えられます。「ベーナイト鋼の金型」は、硬度が高く塑性変形の予測が立てにくいベーナイト鋼を成形加工できます。
これらを展示会に出品したところ新たな加工技術を求める企業から反響を頂きました。当社が得意とする端子や太陽光関連以外の分野の企業が多く、新たなビジネスへの発展を期待しています。

新たな事業創出に取り組むのはなぜですか。
次代の事業を今のうちに創りたいからです。主力の太陽光発電関連機器は、世界の再生可能エネルギー活用の動きを受け、今後も需要は増えていくでしょう。ただそれがいつまで続くかわからない。そこで新規事業の開発に挑戦し始めました。
しかし当社にはそのカギとなる金型をつくる技術が無かった。そこで10年前から社内用の金型の設計製作を始め、技術を少しずつ蓄積していきました。さらに6年前からは外販も手掛けるようになり、新たな金型の研究開発にもチャレンジし始めました。
今年度から(2024年10月~)滋賀工場を滋賀事業所に改めました。
滋賀では金型やプレス加工を手掛けています。事業所に改めたのは、生産拠点の一つという位置づけから、金型製作やプレスの事業運営を担う拠点へと成長させるためです。新たな金型を開発し、プレス加工の技術を磨き、将来につながる事業の芽を育んでいきたいと思っています。
金型新聞 2025年1月10日
関連記事
長年、工作機械や放電加工機メーカーのOEMやODMを手掛けてきた東洋機械製作所。鋳造から機械設計、製作、塗装、組立までを手掛ける能力の高さから多く機械メーカーの製品の設計や製造を請け負ってきた。そんな同社が35年ぶりに自…
トーヨーエイテック(広島県南区、082-252-5212)が今年2月に発表したアルミのプレス金型用DLCコーティング「TOYO Arc‐DLC」。高硬度で強固に密着するため、軟質で融点の低いアルミをプレス加工しても金型に…
キヤノンモールドが発足したのが2007年。前身のイガリモールドとキヤノンの金型部門で伝承されてきた技能や最新技術など互いの得意分野の融合を図ってきた。「新しい価値を生み出す金型メーカーを目指したい」と語る、昨年4月に同…
当社は今年4月、同じ新潟県に拠点を構えるプラスチック金型メーカーの共和工業との協業を発表しました。主な目的は、電気自動車(EV)の車台やバッテリーケースなどを一体成形する「メガキャスト」向けの超大物金型の開発、製造です。…