金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

28

新聞購読のお申込み

データ・デザイン メタデータ活用によるデータ管理の効率化

金型は大量生産の治具から個別少量生産へとシフトしたことで、高品質な「個の量産」技術が求められている。そこで必要になるのが膨大に増えるデータの適切な管理や共有。本稿では新たなデータ連動テクノロジー「メタデータ」を活用し、製造に関する諸データを紐付け連動させることで、ビッグデータ活用や、IoT連携、産業クラスターも視野に入れた情報共有の仕組みづくりを紹介する。

「フォルダ管理」の限界

Windowsエクスプローラに統合されたメタデータ・プラットフォーム

金型製造業の上流から下流までデジタルツールが使われ始め、個人や部門で生成されるデジタルデータは急激に増えている。こうした状況で、保存先を物理的な絶対位置で指定する「フォルダ管理」には限界がきている。特に、ナレッジ共有や個人や部門間のコミュニケーション、技能伝承などにおいて、データ管理や共有の不備で解決できていない課題が多い。

さらに、金型製造には個人ノウハウが集約されているが、近年はそのノウハウを数値化するためにビッグデータやIoTデータを集め、AIに活用しようと考えている企業も増えている。ここでも重要となるのがデータの管理や共有だ。

新たなデータ活用法「メタデータ管理」

このような課題を解決するための新たなデータ活用手法として、「メタデータ管理」が欧米で注目されている。メタデータは物理的な保存場所ではなく、デジタルデータの実態を示す属性情報を付加したもので、柔軟にデータ間の関連性を構成し直すことができる。

「データのためのデータ」とも表現されている、メタデータを活用することで、「フォルダ管理」では一方通行であったデータの共有や検索の煩雑さを排除できる。これにより、任意の条件で必要なデータを360度からリアルタイムに抽出することが可能になる。

「メタデータ」を採用した「MetaConnect」

「MetaConnect」は、メタデータを上位システムや社内のデータベースと同期し、取引先、受注、製品、部品、工程などの情報を属性データとして、簡単にタグ付けできるメタデータ活用のプラットフォームである。

デジタルデータの生成状況を元にした進捗管理のイメージ

例えば、取引先の種類や客先指定納期、受注品の難易度、製品・部品の特徴や関連設備など、ユーザーが分類したい項目群を一つにまとめたものをメタデータ・セットと呼び、ワン・クリックでそれぞれのファイルに関連づけることができる。メタデータが付与されたファイルは、1対1ではなく1対多の関連性を保持することになり、指定したメタデータによってファイル同士の連動が実現する。

抽出条件の違う個々の仮想フォルダにアクセスすると、特定のメタデータが付与されているデータが自動抽出される。ダイナミックに変化する進捗、承認状況などをメタデータとして与えることで、生成されたデジタルデータをベースとした進捗管理を行うことも可能になる。

また、ユーザーサイドで自由に追加や機能拡張ができるため、ベンダーが用意した「箱」に準ずる必要はない。ユーザーサイドで特別なプログラミングなしで、直感的に独自の仕組みを構築することができる。業務プロセスを理解している現場担当者であれば、誰でも自社に最適なデータ活用システムを構築することが可能になる。

今後の展開

新たなデータ活用手法である「メタデータ管理」によって、「フォルダ管理」では解決できなかったデジタルデータの整理だけでなくプロセスの連動、ナレッジの共有を加速させることが可能になる。

設計情報と製造情報を紐づけたり、仕掛品の状態をリアルタイムに把握したりすることができる。また、生産設備に関連した人的リソースを可視化できるようになるなど、これまで分断していた情報ギャップを埋めてプロセスを動的につなげることができる。

弊社からは、「MetaConnect」を活用した、仕組み構築に必要なソフトウェアナレッジやトレーニングサービスを提供する。さらに、メタデータ・セットのテンプレートや、プラットフォームのフレームをユーザーサイドで定期的な見直しや機能改善ができる環境をサポートする。

新たなデータ管理手法であるメタデータを活用することで、データの検索や管理に要する時間を削減し、新たな気づきやアイデアの創出につなげて頂きたい。

データ・デザイン

  • セールスユニット企画グループ 今田 智秀氏
  • 愛知県名古屋市中区錦3-4-6
  • TEL:052-953-1588

金型新聞 2022年5月10日

関連記事

ユニオンツール 超硬や硬脆材の荒加工向け多刃仕様エンドミルを発売

ユニオンツールはこのほど、ダイヤモンドコーティングを採用した、多刃仕様のロングネックラジアスエンドミル「UDCRRS」を発売した。自動車やコネクタ関連で増えている超硬合金の荒加工に適している。 独自開発のUDCダイヤモン…

ワンパスでミリ単位の加工が可能な研削技術【金型テクノラボ】

精密金型の製造では、エンドミルでの切削やワイヤー放電加工の後に成型研削を行うのが一般的。しかし、研削量が少なく加工に時間がかかるのが課題だった。本稿では、ワンパスでミリ単位の材料除去を可能とする「クリープフィード研削技術…

「ワイヤレスハンドプローブ」
最長80mも測定可
ファロージャパン

ターゲット補足機能も強化  ファロージャパン(愛知県長久手市、0561・63・1411)はJIMTOF2018で最長80mの長距離3次元測定を可能にするFARO VantageS6/VantageE6 Laser Tra…

ジェイテクトファインテック 難加工材の精密せん断加工技術を確立

ジェイテクトのグループ会社であるジェイテクトファインテック(栃木県宇都宮市)は培ってきた高精度な金型加工技術を活かし、高炭素鋼(SUJ2材)やステンレス材(SUS材)など難加工材に対応する高精度な精密せん断加工技術を確立…

単結晶ダイヤのマイクロエンドミル 取り扱い開始
山勝商会

レンズ金型など微細加工に最適  切削工具の専門商社である山勝商会(大阪市西区、06-6532-5401)はマイクロ・ダイヤモンド社製の単結晶ダイヤモンド・マイクロエンドミルの「アキュボール エンドミル ABL(写真)」の…

関連サイト