金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

21

新聞購読のお申込み

大阪産業創造館 セミナーでMGNETの武田社長が講演

マジックメタルで金型の素晴らしさを世の中に

武田修美社長

大阪産業創造館(大阪市中央区)で4月12日に開かれたセミナーで、武田金型製作所の子会社でサービスデザイン(無形デザイン)を手掛けるマグネット(MGNET)の武田修美社長が、無形デザインによる企業価値の向上をテーマに講演した。これまでに手掛けた無形デザインの一つとして、嵌め合い金属ワーク「マジックメタル」で金型の素晴らしさを世の中に広め、工場見学などを通じて次世代にものづくりの魅力を発信していることについて話した。

※講演内容を抜粋、要約しています。

自動車メーカーに就職、大病を患い武田金型製作所に

マジックメタル
大阪産業創造館で開催された

私は2000年に地元・新潟の会計専門学校を卒業し大手自動車メーカーに就職しました。営業マンとして新車販売を担当しましたが5年目に大病を患い退社。リハビリしつつ在宅で家業のプレス金型メーカー武田金型製作所で手伝いを始めました。

体調が回復するとともに正社員となり新規事業部を新設し自社ブランドの名刺入れを商品化しました。独学でウェブサイトの構築やマーケティングを学び、事業部の売上拡大により11年、MGNETを設立しました。

MGNETは武田金型製作所の広報活動や自社ブランド製品を販売するほか、ものづくり企業のプロダクトマネジメントやブランディングといった無形の価値をデザインする「サービスデザイン」を手掛けています。

嵌め合いワークの凄さに衝撃、それをヒントにマジックメタル

その一つとして手掛けたのが武田金型製作所のマジックメタルです。2つのパーツの高精度な嵌め合い金属ワークで、背後を押すと文字が浮かびあがります。テレビやネットニュースなど様々なメディアに取り上げられ、今では広く知られるようになりました。

そのヒントになったのは武田金型製作所の金型工場の片隅に置かれていたワークです。複数のピースがピタリと嵌まり合い、その隙間は見えない。私は金型づくりの経験が無いに等しいので、その精密さに衝撃を受けました。それと同時にそんな高度なものが無造作に転がっていることにも。

私はさっそく、このワークに手を加えて文字が浮かび上がるようにすれば、金型の技術の素晴らしさを表現できるのでは、と考えました。けれど技術者の反応は、「たいていの金型メーカーは作れるよ」。世の中に広く知られるようになってからもSNSで同じような内容の意見が書き込まれました。

しかしその一方で世の中の多くの人たちからは驚きの声が寄せられました。私はかねてから「多くの物事は見えていることで判断される」と感じています。金型の技術者にとっては当たり前のことでも、それを見たこともない人には、その素晴らしさを判断する機会が無かったのです。

マジックメタルは、世の中の多くの人が知らない金型の技術を、「何でもないように見える金属片から文字が浮かび上がる」という方法で精度の高さを見えるようにしました。それによって、その技術の素晴らしさを多くの人に共有してもらえたのだと感じています。

ものづくりに興味を持つ子どもが増えて欲しい

マジックメタルが知られるようになり武田金型製作所には新たな取引の依頼が寄せられたり、入社を希望する人が増えたりしました。ただ、何より良かったと感じているのが、子どもたちが金型やものづくりに興味を持つきっかけになったことです。

武田金型製作所では希望する企業や学校の工場見学を受け入れています。その中には学生が「マジックメタルを見たい」と訪れる学校もあります。マジックメタルを通じてものづくりに興味を持ち、将来働きたい子どもがひとりでも増えたら、と願っています。

金型新聞 WEB限定

関連記事

TCTJapan2022 最新のAM関連技術が一堂

1月26~28日、東京ビッグサイトで リアルとウェブで開催 最新の3Dプリンティングやアディティブマニファクチャリング(AM)関連技術が一堂に会する「TCTJapan2022」が1月26日~28日の3日間、東京ビッグサイ…

日本金型工業会 2月17日金型シンポジウムin関西

CNなどテーマに講演やパネルディスカッション 第6回金型シンポジウムin関西(主催:日本金型工業会)の詳細が明らかになった。 同シンポジウムは、「新たな社会環境・新たなステージ・新たな価値を創造 関西からの発信」をテーマ…

インターモールド 出展者を募集

2022年 大阪・名古屋 インターモールド振興会(大阪市中央区、06-6944-9911)は、2022年の4月に大阪で、7月に名古屋で開催する金型加工技術の展示会・インターモールドの出展者を募集している。 申込の締切りは…

JIMTOF2022 開催規模過去最大

来年11月8~13日開催 日本工作機械工業会と東京ビッグサイト(東京都江東区)はこのほど、2022年11月8~13日に開く「第31回日本工作機械見本市(JIMTOF2022)」の開催概要を発表した。 東京ビッグサイト全展…

究極の振れ精度を実現
大昭和精機

油圧チャック式ホルダ「ハイドロチャック」 現場の課題  エンドミル、バニシングドリル・リーマ等の性能をフルに活かす高精度ミーリングチャックホルダが欲しい。 提案・効果  加工における振れ精度、操作性全てを網羅する高精度油…

トピックス

AD

FARO 樹脂成型品や自動車シートの測定での3次元測定アームの活用と新製品Qua...

樹脂成型品の工程管理・不具合解析 樹脂成型品の工程管理や不具合解析の現場では、実際の製品や試作品と設計図との差異把握や、製品や金型の工程ごとの変化量把握、不具合解析や要因分... 続きを読む

関連サイト