PART1:日本金型工業会 会長 小出 悟氏「変化を先取りした活動」PART2:経済産業省 製造産業局素形材産業室 室長 沼舘 建氏「適正な取引環境整備」PART3:日本金型工業会東部支部 支部長 鈴木 教義氏「新しい考…
日本金型工業会会長・小出悟氏 産業規模の把握、人材教育、協調・協力などに注力
日本金型工業会の3期目会長留任が決まった小出悟会長(小出製作所社長)は6月9日、総会後のあいさつで抱負を語った。
小出会長は、日本の金型産業を持続可能な産業にする条件として、①金型産業ボリュームをどう考えるか②業界インフラについて③業界人財について④業界全体の意識・モラルについて⑤新技術の開発⑥公世界との強固な関係⑦工業会事務局の強化…の7つを挙げ、重点的に取り組む考えを示した。
金型産業ボリュームについては、「現在の金型産業の規模は、おおまかに1.4~1.5兆円としているが、厳密には正確な数字とは言い難い」と切り出し、「今、自分たちがどこに立っていて、今後世の中がどう変化し、どこに向かっていくのかを自分たちで考えるためには、現在の状況を正確に把握する必要がある。金型産業全体で捉え、現在の産業規模をできる限り正確な数字で揃えて提供していきたい」と語った。
業界インフラについても現状の把握が重要と指摘。「現在、材料費や工具費、電気代の高騰、半導体を始めとした部品不足による設備の納入遅れによって、思うように生産活動ができないという状況に陥っている。金型メーカーは出された仕事に対して、タイムリーにこなしていかなければいけない。そのためには、金型産業を支えるインフラ産業が健全に機能しているという確認がとれていなければ、私たちの将来は語れない」と述べた。
業界人財については、「人材は以前からの課題。そこに加えて、デジタル化が進む中、AIやIoTなどの知識を持った人材の確保や教育も必要になっている。『金型学校』などを通じて人材に関する課題解決に役立つものを提供してきたい」と語った。
また、業界全体の意識・モラルでは、協調・協力の重要性を訴えた。「金型産業自体が一つのワンボイスで協調・協力の姿を出していかなければ、顧客業界から存在感を示すことが難しくなるという危険性もある。協力して金型産業が日本の中にきちんと残れるような環境を作っていきたいと考えている」と語った。
新技術の開発では、人手不足が深刻化する中、「今までの勘・コツの技術だけでは通用しなくなり、自動化やAIなどの技術を活用しなければいけなくなる。そうした情報を発信し、どういう方向に進むべきかを示していきたい」と述べた。
公世界との強固な関係については、「日本の金型産業を守るためにも、金型産業が日本の産業を支えており、日本に残さないといけない産業だということを強く政府機関などに訴えていく必要がある。そういう努力を工業会として取り組んでいきたい」と示した。
また、工業会事務局の強化では、「将来をしっかりと見据えた一元的な活動が行えるように体制を整えていきたい」と語った。これらの7項目について、「会員の皆様と意見交換をしながら、一つひとつ計画し、実行していきたい」と述べた。
金型新聞 2022年6月9日
関連記事
日本金型工業会中部支部は2月4日、ウェブ方式で「金型関連技術発表・特別講演会」を開催する。「金型産業におけるデジタル化/DXとは」や「欧米の金型産業の現状と今後及びWithコロナ」をテーマにした特別講演のほか、3社の機…
山田支部長が再任 日本金型工業会中部支部(山田徹志支部長・日章社長)は第10回総会をオンラインで開き、役員改選が行われ、山田支部長が再任された。ここ2年間はオンラインを活用した活動だったが、今年は対面式も念頭に事業を行う…
顧客提供価値の拡大 「世の中にある最良のツールを活用し最善の顧客価値を創造せよ」と、米国留学時代、何度も指導を受けた記憶があり、ことあるごとにこの言葉を思い出すのですが、実践は簡単ではありません。 ポスト・コロナの不…
3月26日から公募が開始された「事業再構築補助金」。1兆1485億円の予算が計上され、1社あたり最大1億円の補助が受けられる大型補助金として金型メーカーからの関心も高い。今回は特に“新規性”が重視されており、そこをいか…