金型は量産の道具 理解するマスターが必要人材発掘が経営者の仕事 「金型は量産のための道具である」と長年言い続けています。金型というものの本質がそこにあると思うからです。お客様は金型が欲しいわけじゃない。金型を使って効率…
伊藤製作所がテクニカルセンタを設立した理由【金型の底力】
順送り金型やプレス加工を手掛ける伊藤製作所は本社近くにテクニカルセンタを設立し、金型部門を集約することで、本社工場などにプレス機械を増設し、需要が高まっているプレス部品の増産体制を整える。さらに、CAEや3D形状測定機、万能試験機、電子顕微鏡など設備を導入し、金型やプレス加工のデジタル化や見える化を進め、技能伝承、技術者の早期育成、熟練者の暗黙知の形式化を図る。

短期間で技術者育成へ


「金型技術者の育成は30年かかると言われるが、10年で1人前にできれば、30年間活躍できる」と伊藤澄夫社長は話す。金型製作は経験に基づくノウハウが必要で、従来は熟練者のカンやコツに頼る面も多い。それをデジタル技術で定量化・数値化し、金型製作のリードタイム短縮や技術者育成、高難易度な金型の受注につなげるのが狙いだ。
まずは、過去に製作したプレス部品を3D形状測定機でデジタル化し、CAEの解析結果と比較することでプレス時の板厚減少や金型の応力集中など問題をデジタル上で発見・調整することで金型製作のリードタイム短縮を実現。「これを金型のデジタルツインと呼ぶ」とは技術開発室の伊藤竜平室長。さらに、引張試験による材料データも加え、CAEの精度を高めた。「これなら5年程度で匠の技術者になれる」と伊藤社長も手応えを感じる。すでに女性の若手技術者がCAEに取り組み、想定以上の早さで設計能力を向上させている。
続けて、取り組んだのがプレス加工のデジタル化や見える化で、金型内やプレス機にセンサを組み込み、材料表面温度やパンチの荷重、刃先温度など計測し、エッジコンピュータで常時監視・処理を行うシステムを構築した。これにより、各種データからパンチの摩耗状況を把握することで寿命予測が可能になり、しきい値を設け最適なメンテナンスにもつなげることができる。

さらに、現場には高速度カメラを設置。モニタリングで異常が出た場合、実際の現場で何が起きているかを録画し、映像と波形データから問題の早期発見・解決を図った。伊藤室長は「小さなもの、早すぎるものは人間の目には分からない。でも、デジタルを活用すれば、課題を解決できる」。
また、この経験を活かし、自前でIoT化する技術開発にも着手。工作機械の稼働状況をモニタリングし、LINEで通知する仕組みを構築。伊藤室長は「リアルタイムで稼働状況を把握できれば休日の加工終了時間も正確になり担当者も楽だ」と、あらゆる方面でデジタル化を推進。
今後はプレスしながら部品情報をレーザーマーキングで印字する技術を確立しトレーサビリティ強化を図るほか、将来は部品の不良ゼロを目指し、センシング技術を用いて自動調整を行うモデルラインの構築も検討。同社の前期の売上高は33%増の49億円で、今期も同等水準を見込む。「本社横に新たなプレス工場建設を予定している」と伊藤社長。デジタル活用で技術者育成・強化を進め、さらなる飛躍を目指す。
会社の自己評価シート

CAEなどデジタルを活用した人材教育に力を入れており、「人材力」、「チーム力」、「収益力」、「未来に投資する力」に高評価。さらに、センシング機能など技術力や設備力の強化を進めるなど、次世代を視野に入れる。
会社概要
- 本社:三重県四日市市広永町101
- 電話:059-364-7111
- 代表者:伊藤澄夫社長
- 創業:1945年
- 従業員:120人
- 事業内容:順送り金型設計製作、プレス部品加工、部品組立など。
金型新聞 2022年6月9日
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