金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

07

新聞購読のお申込み

電動車で変わるプレス機械のニーズ 高精度、大型化が加速する[プレス加工技術最前線]

高張力鋼板(ハイテン材)の増加や、自動車の電動化で必要となるプレス部品の精密化などにより、プレス金型は高度化している。金型はプレス機の精度や剛性に倣ってしまうため、これまで以上に金型とプレス機の両方の知見が重要になっている。「金型とプレス機はユーザーのニーズに対応しながら共に進化してきた」と話す、日本鍛圧機械工業会の北野司代表理事会長(アイダエンジニアリング常務執行役員)にプレス機械の市場性や最新技術の動向を聞いた。

日本鍛圧機械工業会・北野司代表理事会長に聞く プレス機械の技術動向

きたの・つかさ
同志社大学商学部卒業後、1989年アイダエンジニアリング入社。以降ずっと営業畑を歩む。2012年に執行役員、17年から20年まで中国上海に赴任。21年に常務執行役員。同年から日鍛工の代表理事会長に就任。62歳、京都府出身。

プレス機械の市場やユーザー先を教えて下さい。

21年度の当工業会の受注額は3483億円で、プレス系機械では21年度の受注額は1433億円でした。この数字には国内生産だけで、海外の生産分は含まれていません。ユーザー別でみると、約6割が自動車向けです。プレス機械だけだとその比率はもっと高い。金型業界とも近い数字じゃないでしょうか。

自動車比率が高いと電動化の影響も大きい。その変化をどう見ますか。

これも金型と同じかもしれませんが、電動化で需要は変化しています。足元では、電動車に不可欠なモータコア、電池関連での需要が大きく伸びています。

そうした部品で求められるプレス技術は。

モータコアでは、電磁鋼鈑の板厚が0.25㎜~0.3㎜と薄く精密になっているので、高いプレス精度が求められます。また、ハイブリッド車では、積層高さが約80㎜~100㎜程度ですが、電動車では、倍の高さになると言われ、今以上に枚数が必要になります。

そのため、高速プレスとしては多列取りの要求もあり、ワイドエリア化、大型化、かつ高精度が求められています。

電池はどうでしょうか。

電池ケースに代表されるアルミの絞りやアルミ部品が増えています。電池ケースでは国内企業は角形電池が多く、海外のEVメーカーは丸形電池が多いのが特徴です。軽量化のために絞りの厚みは薄くなる一方、液漏れなどへの安全性が求められます。つまり、ここでも高精密、高精度なプレス技術が必要になります。

ほかトレンドは。

軽量化への対応は永遠ともいえる課題でしょう。超ハイテン材の増加で、冷間プレスでは3500tといったサイズも必要になっています。一方で、ホットプレスなどへの対応も求められています。

脱炭素への対応は。

もちろん重要なニーズです。成形能力が小さいプレス機で加工する方が効率は良く、環境負荷は小さい。ただ、それらを実現するには様々なデータが必要です。当工業会では機内での素材の挙動のセンシングや、新素材への対応など、基礎的な部分を大学と共同研究しています。

また、お客様と共同開発した製品の生産技術を表彰する「MF技術大賞」を設けています。業界を発展させていくことはこうした協調的な活動は重要だと思っています。

金型メーカーに要望はありますか。

ユーザーの「こんな部品を作りたい」というニーズに対し、金型メーカーが金型を工夫する。そして我々が、その金型を最大限生かすことができる機械を作る。こうした関係でこれまでも成長してきました。だから、今後も金型メーカーも協力しながら、マーケットインの発想で共に成長していきたいですね。

金型新聞 2022年8月10日

関連記事

新たな金型産業ビジョンを
日本金型工業会 小出悟会長

ウェブを最大限活用  令和2年の総会がウェブ会議システムになるとは想像もしていませんでしたが、コロナ禍(新型コロナウイルス感染拡大が招いた危機的、災厄的な状況)の総会であることを正会員並び賛助会員の皆様にはご理解を頂き、…

ギガキャストや電動化、競争力のコアは内製【特集:自動車メーカーの金型づくり】

トヨタ自動車の豊田章男社長(現会長)が「自動車業界が百年に一度の変革期にある」と指摘して早5年。ここにきて、自動車メーカーの変化が加速してきた。トヨタは、大型アルミ部品を一体成形する「ギガキャスト」に参入すると発表。全個…

「金属AMはプロセスの一つ、目的は顧客の課題解決」日本精機常務・松原雅人氏【鳥瞰蟻瞰】

金型メーカーから技術を発信 粉末やレーザーなど、多くの要素を最適に制御しなければいけないため、金属3Dプリンタによる金型づくりは簡単ではありません。また、何でも作れる魔法の杖でもありません。それでも参入したのは、切削加工…

デジタル活用し設備全体をCAE解析する【変わるトヨタの型づくり】

PART1:デジタル活用 精密金型の生産性を向上 トヨタ自動車が型造りで注力する取り組みの一つがデジタル活用だ。精密部品向けの金型を手掛けるモノづくりエンジニアリング部では、デジタルデータを活用することによって、金型だけ…

【新春特別インタビュー】時代をリードする8人

 「CASE」による自動車業界の大変革は金型メーカーに大きな変化を迫ってきた。そして昨年から続くコロナ禍。リモート環境への対応やデジタルツールの活用など、変化せざるを得ない状況はさらに加速している。こうした混迷の時代に合…

トピックス

関連サイト