金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

24

新聞購読のお申込み

電動車で変わるプレス機械のニーズ 高精度、大型化が加速する[プレス加工技術最前線]

高張力鋼板(ハイテン材)の増加や、自動車の電動化で必要となるプレス部品の精密化などにより、プレス金型は高度化している。金型はプレス機の精度や剛性に倣ってしまうため、これまで以上に金型とプレス機の両方の知見が重要になっている。「金型とプレス機はユーザーのニーズに対応しながら共に進化してきた」と話す、日本鍛圧機械工業会の北野司代表理事会長(アイダエンジニアリング常務執行役員)にプレス機械の市場性や最新技術の動向を聞いた。

日本鍛圧機械工業会・北野司代表理事会長に聞く プレス機械の技術動向

きたの・つかさ
同志社大学商学部卒業後、1989年アイダエンジニアリング入社。以降ずっと営業畑を歩む。2012年に執行役員、17年から20年まで中国上海に赴任。21年に常務執行役員。同年から日鍛工の代表理事会長に就任。62歳、京都府出身。

プレス機械の市場やユーザー先を教えて下さい。

21年度の当工業会の受注額は3483億円で、プレス系機械では21年度の受注額は1433億円でした。この数字には国内生産だけで、海外の生産分は含まれていません。ユーザー別でみると、約6割が自動車向けです。プレス機械だけだとその比率はもっと高い。金型業界とも近い数字じゃないでしょうか。

自動車比率が高いと電動化の影響も大きい。その変化をどう見ますか。

これも金型と同じかもしれませんが、電動化で需要は変化しています。足元では、電動車に不可欠なモータコア、電池関連での需要が大きく伸びています。

そうした部品で求められるプレス技術は。

モータコアでは、電磁鋼鈑の板厚が0.25㎜~0.3㎜と薄く精密になっているので、高いプレス精度が求められます。また、ハイブリッド車では、積層高さが約80㎜~100㎜程度ですが、電動車では、倍の高さになると言われ、今以上に枚数が必要になります。

そのため、高速プレスとしては多列取りの要求もあり、ワイドエリア化、大型化、かつ高精度が求められています。

電池はどうでしょうか。

電池ケースに代表されるアルミの絞りやアルミ部品が増えています。電池ケースでは国内企業は角形電池が多く、海外のEVメーカーは丸形電池が多いのが特徴です。軽量化のために絞りの厚みは薄くなる一方、液漏れなどへの安全性が求められます。つまり、ここでも高精密、高精度なプレス技術が必要になります。

ほかトレンドは。

軽量化への対応は永遠ともいえる課題でしょう。超ハイテン材の増加で、冷間プレスでは3500tといったサイズも必要になっています。一方で、ホットプレスなどへの対応も求められています。

脱炭素への対応は。

もちろん重要なニーズです。成形能力が小さいプレス機で加工する方が効率は良く、環境負荷は小さい。ただ、それらを実現するには様々なデータが必要です。当工業会では機内での素材の挙動のセンシングや、新素材への対応など、基礎的な部分を大学と共同研究しています。

また、お客様と共同開発した製品の生産技術を表彰する「MF技術大賞」を設けています。業界を発展させていくことはこうした協調的な活動は重要だと思っています。

金型メーカーに要望はありますか。

ユーザーの「こんな部品を作りたい」というニーズに対し、金型メーカーが金型を工夫する。そして我々が、その金型を最大限生かすことができる機械を作る。こうした関係でこれまでも成長してきました。だから、今後も金型メーカーも協力しながら、マーケットインの発想で共に成長していきたいですね。

金型新聞 2022年8月10日

関連記事

鋳造に独自の新工法
マツダ

特集 次世代車で変わる駆動部品の金型鋳造に独自の新工法  次世代自動車の技術は電動化に限らない。注目されるのがエンジンの進化だ。燃費性能を追求する新型エンジン「スカイアクティブ」。多くの自動車メーカーが電動化に力を入れる…

木村有貴さん 金属3D造形の困りごとを解決する【ひと】

金属3Dプリンタで造形した金型部品のトラブルを分析・解決する「診断士」のような業務を担当する。珍しいトラブルほどテンションが上がるそうで、「難しい問題を解明できた時の達成感が何よりも気持ちがいい」。 大学では金属材料を研…

「なりたい自分になれるかも」金型メーカーに就職した女性広報

狭山金型製作所 総務部 東香奈恵さん 総務部で営業のサポートや動画によるマニュアル作成などを担当する。そうした「本業」に加え、インスタグラムやフェイスブックなどSNSで狭山金型の日常や取り組みを発信する金型メーカーでは珍…

金型メーカー座談会
経営者5人が語る、どうなる2015年 第二部

他社と連携し受注安定 海外展開 戦う土俵に立つため   出席者   エムエス製作所社長 迫田 幸博氏 小出製作所社長 小出 悟氏 長津製作所会長 牧野 俊清氏 日進精機相談役 加藤 忠郎氏 野田金型社長 堀口 展男氏 1…

【鍛造金型特集】<br>日本鍛造協会 八木議廣会長に聞く<br>熱間鍛造の動向

【鍛造金型特集】
日本鍛造協会 八木議廣会長に聞く
熱間鍛造の動向

 鍛造は大きく熱間と冷間に分かれるが、重量ベースでは圧倒的に熱間が多い。成形品が比較的大きいことも理由の一つだ。一方で、金型はコストや納期の問題から圧倒的に内製率が高いという。自らも熱間鍛造部品を手掛ける、日本鍛造協会の…

トピックス

関連サイト