プレス加工メーカー3社を傘下に持つ新栄ホールディングス(東京都中央区、03・5843・6096)は昨年8月、傘下のアポロ工業(埼玉県吉川市)の金型部門を切り離し、アポロ技研(同)を設立した。金型の設計、製作に加え、メンテ…
新たなバイオ樹脂を開発、金型と素形材をつなげ新しい価値を創出する 茄子川仁氏(事業革新パートナーズ社長)【鳥瞰蟻瞰】

金型業界に特化した調査やコンサルティングを手掛けてきましたが、2018年にバイオ樹脂の一つである「ヘミセルロース」の開発や成形に乗り出しました。社名にある「革新」的なことを実現するには、コンサルティングだけでは限界があると感じていたからです。
私は商社やコンサルタントを経て、09年に当社を創業しました。コンサル時代には大手の製造業の改善活動をサポートしてきました。その時痛感したのは、金型はものづくりの肝であり、重要なパーツだということです。
それが根底にあったからこそ、独立を考えた時に、行動的に経営をサポートする存在であること、そして誰もしていない分野で勝負しようと考え、金型に絞りました。色んな人から「難しいからやめておけ」と止められましたが(苦笑)。
まず金型業界に感じたのが、リーマンショック後で仕事が消失している時だったからかもしれませんが「魚がいる池で釣り糸を垂らしていない」ということでした。そこで、日本金型工業会に相談に行き、(魚がいる)海外に目を向けてはどうかと提案し、「JAPANブランド」の構築をお手伝いさせて頂きました。
その際に、若手部会の「天青会」の全社を訪問させて頂いたのは勉強になりました。たった一人で海外の展示会で、日本の金型をPRするために着物をまとい、練り歩いたのも良い思い出です。
そうした関係から、工業会の国際委員に就き、FADMA(アジア金型協会)やISTMA(国際金型協会)に携わりました。その後、縁があって、鋳造や鍛造、プレスなど素形材団体の調査やサポートをさせて頂きました。結果的に素形材と金型を自由に行き来できるのが当社の強みではと考えるようになりました。
その強みを生かして、何か革新的なことをできないかー。創業以来、サービスやコンサルティングだけでは、革新的なことを実現するのは難しいと感じていました。そこで目を付けたのが、金型と素形材につながりのあるバイオ樹脂の開発です。
縁あって、バイオ樹脂に明るい技術者が採用でき「ヘミセルロース」の開発に乗り出しました。ヘミセルロースは植物中に約2割存在する多糖類の総称で、膨大な資源量がありながら、活用例が非常に少ない素材です。この素材を活用できれば「イノベーションが起こせる」と思いました。当初、金型や成形メーカーになることも考えましたが、簡単ではないし、当社なりのやり方があるのではないかと考えました。
ビジネスモデルはこうです。ヘミセルロースで製品を作りたいメーカーがあれば共同開発契約を結びます。素材だけの提供もありますが、当社が窓口となって、金型や成形メーカーに仕事を発注します。そうすれば、素材、金型、成形を掛け合わせることができる当社の強みを活かせます。
また、このビジネスを進める上で、意識していることがあります。まず、価格だけを要求してくるお客様はお断りすること。私は「金型理論」と呼んでいるのですが、高価な金型も製品1個当たりに換算すると非常に安い。ヘミセルロースも高い素材ですが、高い価値を生み出せれば決して高くないし、流した汗の安売りをする必要はありません。
もう一つが、仕事の依頼先は日本メーカーであること、そして、利益を確保できる価格でお願いすることです。今後、米中対立などを受けて、政治経済の面でも、国内でものづくりのインフラを残すことが、より重要になってくると思います。バイオ樹脂を通して、少しでも金型発注量を増やす機会を生み出していきます。
金型新聞 2022年12月10日
関連記事
レーザー溶接・金型補修機器メーカーのテラスレーザー(静岡県駿河区)に入社したのは2年前。企業の販路開拓支援などに携わっていた前職時代、製造業とも多く関わる中で「世の中は製造業がなければ成立しないということを肌で感じ、自分…
ユーザー視点の型づくり樹脂とプレス技術の融合 成形メーカーだった、いがり産業が金型製作に着手したのは2004年。10年以上経て、今や金型の外販が売上の7割以上を占めるまでに成長した。成形メーカーという利点と生かし、ユーザ…
プレス金型やウレタン発泡成形金型を手掛ける黒田機型製作所は今年4月、事業再構築補助金を活用し、金属3Dプリンタを導入した。高い冷却効果が求められるバイオ樹脂向けの金型開発に着手する。主力の自動車業界に加え、新たな事業の柱…
自動車のウェザーストリップなどゴム金型を手掛けるエムエス製作所(愛知県清須市)は人材育成に力を入れ、『現代の名工』や『あいちの名工』、国家検定資格の1級技能士を多数輩出している。2023年にNC旋盤工で『現代の名工』を受…


