金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

27

新聞購読のお申込み

立形5軸MCによる自動化を提案 高橋章氏(安田工業 営業本部国内営業部 部長)【この人に聞く】

EV金型を高精度加工、自動化提案や技術向上に力

安田工業はこのほど、立形5軸マシニングセンタ(MC)の新機種「YBM Vi50」を発表した。立形5軸MCの中型機で、EV(電気自動車)部品の金型を高精度、高能率に加工できる。今後「Vi50」をはじめ5軸MCによる自動化を金型メーカーに提案していくという。営業本部国内営業部の高橋章部長にその狙いや背景を聞いた。

たかはし・あきら
1964年生まれ、岡山県倉敷市出身。82年安田工業に入社。技術部電気設計、営業部技術サービスを経て90年営業部名古屋営業所。2008年名古屋営業所長、15年大阪営業所長、20年販売促進部部長、21年営業本部国内営業部部長。

立形5軸MC「YBM Vi50」。11月に開催されたJIMTOF2022でお目見えしました。

「Vi50」は高精度と高剛性を兼ね備えた立形5軸MCで、最大直径650㎜のワークを加工できる。独自のダイレクトドライブとプリロード自己調整型のスピンドルを搭載したほか、機体温度制御により各軸の熱変位を最小限に抑え、金型を高精度に加工できる。

これまで立形5軸MCはYMCの2機種とYBM Vi40の計3機種だったが、Vi50が加わり、加工できる金型の領域が広がった。

「Vi50」による加工が最もマッチする金型は。

想定しているのはEV用の次世代駆動装置「イーアクスル」の筐体などのアルミダイカスト金型。ダイカスト金型もスライドコアに関連する部分などに高い精度が求められる。

Vi50はそうしたイーアクスルの金型を高精度、高能率に加工できる。もちろんそればかりでなく複雑なプラスチック金型の加工やギヤの鍛造金型にも対応できる。

以前に比べて5軸MCを導入する金型メーカーが増えているように感じます。

今でこそ金型の加工に採用されることが増えてきたが、まだまだ進んでいるとは言えない。そのボトルネックが精度を維持する難しさ。そこで当社はこの10年、5軸加工をサポートするソフトウェアの開発に力を入れてきた。

その一つが、正しい校正作業をナビゲートする「Navi‐CAL」。これらのソフトウェアによって5軸加工の経験が浅い企業にも5軸MCを使ってもらえるようにしていきたい。

5軸加工のメリットは。

生産性の向上。テーブルを傾けることで段取り替えすることなくワンチャッキングで金型を加工できる。が、それだけではない。自動ワークチェンジャーを併用すれば金型の無人連続運転も可能だ。

以前と比べて5軸MCもワークチェンジャーも性能が向上し品質に問題のない加工ができる。しかし海外に比べて日本での導入は多いとはいえない。金型をはじめ日本のものづくりは生産性向上が課題。5軸MCによる次の自動化技術として提案に力を入れたい。

金型新聞 2022年12月10日

関連記事

「選べる工具40万点、金型メーカーにより便利に使ってほしい」さくさく社長・溝口典宏氏

切削工具販売サイト「さくさく」は4月1日、新たに国内外メーカー約40社の商品約40万点の取り扱いを始めた。1年以内をめどに、それらの商品の性能や価格を比較し選べるようにするなど利便性を高めていく。サイトを運営する、さくさ…

この人に聞く
トヨタ自動車 大竹 知之部長

100年に一度の変革期 どうする金型づくり  エンジン、トランスミッション、カムシャフト、最近では電池やモータなど、自動車を動かすほぼ全ての内蔵部品の金型を手掛けるトヨタ自動車のパワートレーン工機部。豊田章男社長が「自動…

平和電機 工業用ヒーターの技術集団[金型応援隊]

射出成形機や押出成形機、各種金型に欠かせないもの、それは工業用ヒーターだ。バンドヒーターやマイクロシーズヒーター、カートリッジヒーターなど工業用ヒーターを手掛ける平和電機は長年培ってきたノウハウを活かし、顧客の課題解決に…

【鳥瞰蟻瞰】福井精機工業社長・清水一蔵氏「これからの金型の価値は、生産技術支えるプロデュース力」

金型の価値が変わる これからの価値とは、生産技術支えるプロデュース力  高度な技能や経験、専門知識がなくても金型が作れる環境になってきました。なぜなら、これまで職人技と言われた金型加工は工作機械や切削工具などの発達によっ…

【この人に聞く】MOLDINO・鶴巻 二三男社長

切削工具メーカーのMOLDINO(東京都墨田区、03-6890-5101)は金型加工に特化した工具の開発に取り組んでいる。昨年4月にはこれまでブランド名だった「MOLDINO」を社名に改め、これまで以上に金型加工の課題を…

関連サイト