高い鏡面性を実現 熱処理から表面処理まで独自技術を持つリヒト精光(京都市南区、075-692-1122)はインターモールド2022大阪でエジソンハード処理(新ガス窒化処理法)の新技術を披露した。成形時のキズや摩耗の激しい…
【Breakthrough!】ワイヤ放電加工
ワイヤ放電の進化が止まらない。機構や電源の刷新で、高精度化や効率化は加速。中子抜きや、ワーク搬送、自動結線など自動化のアプリケーションが増加している。最近では、IoT技術を活かした最適な稼働管理などが登場している。さらに、ワイヤ線も高速や高精度仕様の製品が開発されるなど選択の幅が広がっている。
目次
GFマシニングソリューションズ 「CUT P 550」 高い形状精度と面粗度
西部電機 「SuperMM80B」 精密ピッチのプレート加工
ソディック 「ALN600G iGE」 ワイヤ回転機構を採用
牧野フライス製作所 「U6 H.E.A.T.」 ピッチ精度1μmのワイヤ
三菱電機 「MX900」 長時間運転で高精度加工
沖電線 「高品質化シリーズ」 真円度0.25μmを実現
ソディック 「つばめHQワイヤ」高精度、高品質
チバテクノ 「CTW-THシリーズ」 汎用性高いワイヤ線
日立金属 「ワイヤ放電用シリーズ」 安定性と優れた電気特性
GFマシニングソリューションズ 「CUT P 550」高い形状精度と面粗度
IPG電源を加工槽のすぐ後ろに配置し、電源ケーブルを短くすることでノイズを低減。早く微細にスパークを制御し、高精度形状の維持と最小加工回数での高面粗度を達成することができる。
また、「Quadrax(クアドラックス)」という4軸独立制御法 (下部ノズルの位置制御がXとY、上部がUとVでそれぞれ同じ長さのストロークを有する)を採用。最大45度のテーパー(30度以上は別途オプション選択が必要)の加工が可能になった。
スペック- 各軸移動量(X・Y・Z) : 550・350・400mm
- 工作物許容質量 : 1500kg
- ワイヤ電極径 : φ0.33~0.15mm(特別仕様でφ0.07mmまで)
- 機械本体寸法(幅・奥行・高さ): 2600・2640・2340mm
- 加工液仕様 : 水
西部電機 「SuperMM80B」精密ピッチのプレート加工
精密ピッチのプレート加工
超精密加工を実現したワイヤ放電加工機。800㎜×600㎜のフルストローク加工で±1μmのピッチ加工精度を実現。同等クラス大型機種と比べ、省スペース。機械構造の見直しと随所に施したきさげ処理により、高精度、高剛性、長寿命を実現した。
近年、モーター搭載の自動車ニーズが拡大し、大型モーターコアの需要も増えている。大型モーターコア用金型の超精密加工のニーズに応え、開発した。超精密ピッチ加工が要求される大型金型プレートなどの加工に適している。
スペック- 各軸移動量(X・Y・Z) : 800・600・230㎜
- 工作物許容質量 : 600kg
- ワイヤ電極径 : φ0.1~0.3㎜
- 機械本体寸法(幅・奥行・高さ) : 3045・2965・2230㎜
- 加工液仕様 : 水
ソディック 「ALN600G iGE」ワイヤ回転機構を採用
ワイヤ回転機構を採用
ソディックの「ALアイグルーブエディション」は世界初のワイヤ回転機構を採用したワイヤ放電加工機。ワイヤ線が回転するので、ワーク上面から下面まで未消耗のワイヤ表面で加工できる。
仕上げ加工にてワイヤを傾ける補正が不要で、上面から下面まで安定した高精度で高品位な面が得られるほか、電極消耗を削減できる。また、段差加工を高精度にできる「ステップカット」機能を搭載したことで、スジ状の精度不良誤差を50%減少した事例もある。
スペック- 各軸移動量(X・Y・Z) : 600・400・350㎜
- 工作物許容質量 : 1000㎏
- ワイヤ電極径 : φ0.1~0.3㎜
- 機械本体寸法(幅・奥行・高さ) : 2525・2735・2295㎜
- 加工液仕様 : 水
牧野フライス製作所 「U6 H.E.A.T.」ピッチ精度1μmのワイヤ
ピッチ精度1μmのワイヤ
牧野フライス製作所の「U6 H.E.A.T.」は中物向けの高精度ワイヤ放電加工機。従来機に比べ、精度を2倍に高め、ピッチ精度1μm、真円度で0.75μmを実現した。高精度な加工が求められるモータコア用の金型に適している。
通常のワイヤ放電加工機では、ワーク上面の凹凸などの干渉を避けるため、先端ノズルがワークに密着できないことも多い。こうしたワークでも、独自の「H.E.A.T.」技術を採用したことで、高速、高精度の加工ができる。
スペック- 各軸移動量(X・Y・Z):650・450・420㎜
- 工作物許容質量:1500㎏
- ワイヤ電極径:φ0.1、0.15、0.2、0.25、0.3㎜(特別仕様0.4㎜)
- 機械本体寸法(幅・奥行・高さ):2273・3549・2350㎜
- 加工液仕様:水
三菱電機 「MX900」長時間運転で高精度加工
長時間運転で高精度加工
48時間を超える長時間連続運転での超高精度加工に加え、1台で小型精密電子部品からモーターコアなどの中型自動車用駆動部品までの多様な高精度金型加工を実現する超高精度油加工液仕様ワイヤ放電加工機。
徹底した機械の作り込みによって高精度化を図った。機械ベッドや鋳物は、最新の超精密加工機による超高精度研削加工で製造。超精密要素部品を標準搭載し、きさげ、精度管理、予測組み立てなど熟練工の組み立て、仕上げによって超高精度な機械製造を可能にした。
スペック- 各軸移動量(X・Y・Z) : 300・300・120mm
- 工作物許容質量 : 300kg
- ワイヤ電極径 : φ0.02~0.20㎜(φ0.02、φ0.03はオプション)
- 機械本体寸法(幅・奥行・高さ) : 2335・2965・2174mm
- 加工液仕様 : 油
沖電線 「高品質化シリーズ」真円度0.25μmを実現
真円度0.25μmを実現
昨年5月にワイヤ放電加工用電極線全製品をリニューアルし、真円度0.25μmの高品質化を図った。従来品の4分の1まで真円度を抑え、放電加工時における加工物との距離が安定。加工面に生じる縦スジやうねりが低減し加工品質が向上するほか、後処理のラッピング時間の低減や安定化、位置決め段取り時間の削減が図れる。
精密加工や加工面品位を重視する加工などに適している。特に高精度加工が求められる微細な金型や樹脂射出成形用金型などで効果を発揮する。
スペック- 線種 : 黄銅線
- 質別 : 硬質
- 線径公差 : ±0.001mm
- 引張強さ : 980MPa以上
- 用途 : 精密、標準
ソディック 「つばめHQワイヤ」高精度、高品質
高精度、高品質
ソディックの「つばめHQワイヤ」は、高品質、高精度細線ワイヤ電極線「つばめワイヤφ0.10mm」の製法をφ0.15~0.25mmに展開し、さらに高品質にした純正品。
国内製造で高品質を確保し、滑らかな表面品質と優れた真直性、高い真円度を実現。バラツキを極めて抑え、精密加工、最良面加工に適している。
油仕様のワイヤ放電加工機に最適なワイヤ電極線だが、水仕様のワイヤ放電加工機で高い面質が必要な場合、仕上げ面粗さRz2μm以下を狙う加工に適している。
スペック- 線種 : 黄銅電極線
- 質別 : 硬質
- 線径公差 : +0、−0.001㎜
- 引張強さ : 960Mpa以上
- 用途 : 精密
チバテクノ 「CTW-THシリーズ」汎用性高いワイヤ線
汎用性高いワイヤ線
チバ・テクノのワイヤ電極線「CTW-THシリーズ」は加工機を選ばず、汎用的に使用できる黄銅線。φ0.1とφ0.15は精密加工に向いており、φ0.2以上は標準的な加工に適している。外径寸法精度は±0.001、真円度は±0.001㎜以内に抑え、高い精度を実現した。
THシリーズ以外にも汎用性の高い「RHシリーズ」、特殊配合黄銅線により亜鉛コーティングより粉の発生が抑えられる高速加工向けの「SHシリーズ」など多様な製品をラインナップしている。
スペック- 線種 : 黄銅電極線
- 質別 : 硬質
- 線径公差 : ±0.001㎜
- 引張強さ : 980Mpa以上(φ0.10〜0.20)、930Mpa以上(φ0.25、0.30)
- 用途 : 標準(φ0.20以上)、精密(φ0.10、0.15)
日立金属 「ワイヤ放電用シリーズ」
安定性と優れた電気特性
金属材料と鋳造製線の知識と技術を結集し、日本国内で高品質な電極線を製造、開発する。組成や特性を厳密に管理した材料を使用し、安定した放電加工が可能。この安定性と優れた電気特性を強みとし、ユーザーの高速、精密加工を実現する。
豊富な製品ラインアップを揃える。「HBZ-U」は汎用加工、「HBZ-B」は加工速度、「HIH」は面精度向上や超硬材のマイクロクラック抑制、「ABZ」はテーパー加工に適している。3㎏巻から50㎏巻まで幅広い荷姿をラインナップする。
スペック- 線種 : 黄銅線など
- 質別 : 硬質、軟質
- 線径公差 : ±0.001㎜(φ0.1~0.15)、0~−0.002㎜(φ0.2~0.3)
- 引張強さ : 同社カタログを参照(広告QRコード)
- 用途 : 標準、高速、高精度、テーパー
金型新聞 2021年3月10日
関連記事
切削工具を傾けて加工ができることから、様々な効果が期待できる5軸加工。工具の側面のR形状を活用し、高能率な加工ができるバレル工具を始め、専用工具が登場している。バイスや治具でも、5軸加工をより効果的に活用するための製品が…
金属AMによる造形で重要な要素となるのが金属粉末。近年では、造形しやすいマルエージング鋼だけでなく、ステンレス鋼や、ダイカスト金型での応用が期待されるSKD61相当材など、多様な粉末材料が登場している。こうした粉末の進化…
センシング機能でDX推進 冷間鍛造金型を手掛けるニチダイはダイセット内に荷重や変位、振動など各種センサを組み込み、金型の状態を可視化するセンシング機能を持った『インテリジェントダイセット』を開発。これにより、型寿命や製品…
繊維スリング+アイボルト 金型をクレーンで吊り上げるときフックやシャックルが接触して金型を傷つける—。そんな課題を解消するのが、ルッドリフティングジャパン(大阪市西区、06-6536-8817)が販売する独・ルッド社の吊…