金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

06

新聞購読のお申込み

がんばれ!日本の金型産業特集
宮澤精機 宮澤 幸弘 社長

変幻自在の絞り、曲げ
技術_R
50年のノウハウで金型に独創のアイデア

「強みは設計です」と話すのは、丸・角・異形絞りの順送プレス金型を手掛ける宮澤精機の宮澤幸弘社長。弱電関連の製品をメーンに、絞りは最大15㍉角、曲げは最大30㍉角までの金型を製作。とくに角絞り型を得意とし、側面形状を成形する技術に特長がある。
宮澤社長が「金型製作のスタート地点である設計から、課題解決に向けたアイディアを提供している」と話すように同社の金型づくりを支えているのが設計だ。生産性の向上や使いやすさなどユーザーが抱える課題を解決する金型を設計できることに強みを持つ。それを実現するのが、長年積み重ねた「知識」と「ノウハウ」にある。「知識」とは、入社当時、金型に関して全くの素人で血眼になりながら金型関連の参考書を読み漁り、ドラフターでゼロから設計を学んだという宮澤社長のキャリアそのもの。「ノウハウ」とはデータベースだ。創業から50年間に蓄積された加工や設計の情報をデータで見える化し、あらゆるユーザーの要求に対応できるようにした。
それら2つの強みによって、たとえば従来まで1分間に30個しか成形できなかった電子機器の小物部品を100~150個まで高速プレス成形できるような順送金型を設計したこともある。設計力を武器にユーザーの生産効率の改善に寄与した好例だ。設計を強みに持つことで、今までにない新しい金型のアイディアを提供し、受注型企業ではなく、自ら発信する提案型企業を目指している。

人_R
設計・加工の技能を併せ持つ多能工を

設計を強みに持つからこそ、設計者の育成には力を入れている。「ドラフターで一から金型を設計できる人材を育てたい」と話す宮澤社長。近年、2次元・3次元CADなどの登場により、型設計はより効率的に、より簡単にできるようになった。しかし、そうした便利なシステムによって、「設計の基礎を知っている本物の設計者が減少してしまった」と宮澤社長は危惧する。だからこそドラフターのような「原点回帰」によって基礎から教え込み、設計の技術力向上を図る。
その活動は社内どころか海外にも及ぶ。2年半ほど前からベトナムのバリア・ブンタウ省の職業訓練学校で現地の人々に金型設計を教えている。日本よりソフトが充実してない分、「日本よりも一人一人の学ぶ意識や吸収力が高く、優秀な設計者が生まれる土壌がある」という。将来的には、ベトナムに金型設計者を配置し、プレス金型の設計拠点として、グローバルでの展開も構想中だ。
また、設計だけでなく加工技術の教育も大切している。それぞれの加工工程にベテランの熟練工を配置して、若手従業員に現場で加工技術を教え、「様々な工程に対応できるオールマイティな人材」を育てている。そうするのは、金型製作の全工程を理解することで、企業の一員としてだけではなく、1人の金型屋として独り立ちし、高い加工技術力を身に付けてほしいという思いから。
今後も設計と加工の両方に高い技術力を持ち、将来に繋がる金型技術の向上を目指す。


会社メモ

代表者=代表取締役 宮澤 幸弘氏
創立=1964年12月
所在地=東京都大田区本羽田2-12-1-411号
TEL=03・5736・1050
FAX=03・5736・1064
URL=http://homepage2.nifty.com/miyazawaseiki/
従業員数=10人
事業内容=精密順送プレス金型、設計、製作(金型専門)、部品加工、プレス加工など。
主な設備=ワイヤーカット加工機(三菱電機)1台、DIAX放電加工機(三菱電機)1台、フライス(牧野フライス製作所)2台、成形研磨機(日興機械)2台、成形研磨機(岡本工作機械)1台、成形研磨機(三井ハイテック)1台、平面研磨機(岡本工作機械)1台、CAD(倉敷精機)1台、CAD(オリベッティ)1台、プレス35t(アマダ)2台、プレス10t(アマダ)2台、ボール盤(エンシュウ)3台、タッピングマシン、1台、投影機(東芝)1台、工場顕微鏡(ニコン)1台。

金型新聞 平成27年(2015年)1月10日号

関連記事

平岡工業 精密部品加工・調達代行【特集:金型メーカーのコト売り戦略】

調達の効率化サポート 自動車のウェザーストリップのゴム金型や切断折曲機などを手掛ける平岡工業のもう一つの事業が、精密部品加工・調達代行サービスだ。金型や切断折曲機で培った技術や協力企業とのネットワークを活かし様々なニーズ…

冷間鍛造で新市場開拓
ニチダイ

電池ケースなど視野  冷間鍛造金型などを手掛けるニチダイは独自の鍛造技術を駆使して新たな市場の開拓に乗り出す。まずは、電気自動車などで脚光を浴びる電池ケースやバッテリー市場向けに鍛造技術を応用して、ケースの強度向上や生産…

刃先交換式工具を拡充
MOLDINO

荒、仕上げ用など3製品  MOLDINO(東京都墨田区、03-6890-5101)はこのほど、刃先交換式工具シリーズから高送りラジアスミルなど3製品を発売した。製品ラインアップを拡充し、金型加工の多様なニーズに対応する。…

【金型生産実績】前年同月比 8.7%増の259億1,400万円

プレス型は10.7%増、プラ型は0.4%増 2021年8月の金型生産は、前年同月比8.7%増の259億1,400万円となった。前月比では11.9%減。数量は前年同月比3.2%減で、前月比でも14.1%減の3万3,995組…

AM研究会 キックオフミーティングを開催

産官学で連携、日本で普及へ 3次元積層造形(AM)の技術研究や日本での普及を目指すAM研究会(中野貴由委員長・大阪大学教授)は8月29日、大阪大学吹田キャンパス(大阪府吹田市)でキックオフミーティングを開催した。会員をは…

関連サイト