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【金型テクノラボ】日型工業 熱変位抑える高機能金型によるゆがみの抑制

鋳造で使われるシェル中子型は280℃前後まで金属を加熱して成形するため、熱の影響を大きく受ける。これまで鋳造の世界では、この熱による変形が大きな課題で、成形不良の要因となってきた。高機能な断熱材を活用することなどで、熱を制御し、最大限に熱による変形を抑制することに成功した「高機能金型」の技術詳細や、そのメリットを紹介する。

はじめに

写真① 熱変位を抑制できる「高機能金型」の断面

当社は1966年の創業の鋳造型メーカーで、重力鋳造金型(Gravity Die Casting)や、低圧鋳造(LowPressure)金型、砂型鋳造金型を中心に手掛けてきた。これまでダイカスト型や樹脂型を手掛けてきた実績もある。

筆者自身は金型営業に携わって約30年近くになる。その経験の中で、最も多いクレームが金型の熱ひずみによる不良。鋳造で使用されるシェル中子型は280℃前後まで金属を加熱して成形するので、熱の影響を大きく受けるためだ。

熱変形自体は金型メーカーの責任ではないが、「顧客が抱える課題を解決する」のが当社のスタンス。そして、20年以上その課題と向き合い、社員とともに開発し、熱変位を最大限に抑えた「高機能金型(写真①)」(特許取得済み)だ。

高機能金型の特長

写真② 金型に組み込むシート型ヒーター

高機能金型の特長は、金型全体の温度を最適化(一定温度)することで、熱膨張によるゆがみを抑えること。

構造はシンプル。一般的に使われるシート型の熱ヒーターを金型に組み込み(写真②)、金型を280℃まで加熱する(シート型のヒーターで面加熱させることが好ましいが、棒ヒーターやガス加熱でも可能(写真③))。

高炉などで耐熱用として使われている断熱材を金型に組み込み、プレートで固定することで、金型表面からの放熱を防ぐ。

これらの仕組みにより、金型の内部温度を一定にすることに成功した。熱変位を抑えて、一定温度で成形することで、成形ムラを無くし、成形精度、バリレス、サイクルタイムを向上に貢献する。

シェル中子成形の現場は高温になり、職場環境としては厳しい。特に夏は成形機廻りの温度が50℃を超える環境も珍しくない。高機能金型では断熱効果により輻射熱を感じずに成形が出来るため、職場環境も改善にもつながっている。

多岐にわたる効果

写真③ 棒ヒーターでの加熱にも対応できる

二酸化炭素削減にも貢献

熱変位を抑えることができる高機能金型のメリットは多岐にわたる。まず当然ながら①成形精度が向上する。②温度が安定しているのでバリレスの効果も期待できる。③サイクルタイムの向上にもつながる。すでに実績のあるディスク中子型(シェル)では、最大で35%程度向上した事例もある。④部品のゆがみを抑えることができるので、部品そのものの軽量化に役立つ。

そして近年では、製造業では避けて通れない⑤二酸化炭素削減効果が期待できる。保温効果が高いので、省エネにつながるためだ。すでに採用して頂いた企業では、電力量の25%カットに成功したケースもある。カーボンニュートラルが不可避になっている今、電力量削減のメリットは大きい。

ユーザーでの評価高く

2018年に、高機能金型の開発に成功して以降、様々なお客様に提案し続けてきた。すでに採用実績も出始めてきている。2019年には、当社のお客様の1社であるアイシン高丘様で、30型を採用して頂いた。

採用部署からは、金型の保温効果が高く、省エネにつながり、生産性が大幅に向上したとの評価を頂いている。今後は「他の部品への水平展開をしていきたい」との声も頂戴しており、高機能金型の効果が実際に確認され始めている。

同業者への技術供与も

今後は高機能金型の市場を広げていく活動を行っていきたい。まずは、当然ながら既存顧客に加え、シェル中子型を使うユーザー企業に提案を広げていく。すでに採用を前向きに検討して頂いているユーザーも出始めている。

高機能金型の導入が広がっても、当社の製造キャパシティには限界があるし、全ての需要をカバーできるわけではない。そのため、同業の金型メーカーからの申し出があれば、当社が特許を取得しているので、安価でライセンス契約を結び、より良い製品づくりをサポートできる体制を広げていきたい。

日型工業

  • 代表取締役 渡辺隆範氏
  • 埼玉県川口市南鳩ヶ谷3-20-15
  • TEL:048-283-6111

記者の目

今回紹介した「高機能金型」のメリットは、精度やサイクルタイムの改善が期待できること。それらもさることながら、注目したいのが二酸化炭素の削減効果だ。今後重要な提案の切り口になるのは間違いない。金型技術を使って二酸化炭素削減にどう貢献するか。新たなテーマとして取材したいと思う(山)。

金型新聞 2021年8月10日

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