金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

05

新聞購読のお申込み

自動化で変わる金型メーカー 背景に従業員、事業所の減少【自動化で変わる金型メーカー】

生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるためのスキルや人材育成の内容も違ってくる。費用対効果をうまく見極めれば、キャッシュフローも大きく改善する。自動化を進めるには、様々な変化への対応力が求められる。本特集では自動化で変化する現場や各社の取り組みを取材した。

進む金型現場の自動化

内製化が活発に

背景に従業員、事業所の減少

金型製造現場の自動化が進んでいる。金型メーカー各社、これまで人手に頼っていたワークの搬送や工具交換などの作業を自動化、省人化し、より少ない人員でも金型が生産できる体制の構築を目指している。

こうした背景の一つには少子高齢化による労働人口の減少がある。経済産業省の工業統計によると、日本の金型製造業の従業員数は1991年の11万8213人をピークに減少を続け、2019年には約3割減となる8万5777人まで減少している。

また、事業所数の減少による内製化の動きも要因の一つだ。金型製造業の事業所数は1991年のピーク時に1万3115事業所あったが、2019年には6696事業所と半減した。

これまで金型や部品加工を依頼していた協力企業が減ったことで、外注していた加工を社内に取り込む企業が増加。限られた人員の中で、内製化するには生産効率の高い加工システムが不可欠となり、自動化設備の需要が拡大している。

工作機械受注の金型産業向けでも、2022年7月は前年同月比43%増の36億3000万円と19カ月連続で増加。1月から7月までの累計も224億9700万円と前年同期比で倍以上伸びており、設備投資への意欲が活発化している。

総務省の見通しでは、40年後の日本の労働人口は現状よりさらに約4割減少すると予測されている。人手不足が深刻化する中、金型メーカーにはさらなる対応が求められる。自動化はその一つ。今後も金型製造現場の自動化は進みそうだ。

日本産機新聞 2022年9月10日

関連記事

AM普及をサポートする企業や団体に注目

受託などサービス拡充 AMに必要なデザイン設計や材料、各種3Dプリンタ積層造形装置メーカーなどで構成される「日本AM協会」は近畿経済産業局施策「kansai‐3D実用化プロジェクト」で具体的なAM活用検証を行い、成果を発…

【検証】変わる金型基金 新たな船出3<br>年金有期化で安定運用

【検証】変わる金型基金 新たな船出3
年金有期化で安定運用

 前号では、日本金型工業厚生年金基金(上田勝弘理事長、以下金型基金)の現行制度の「定額加算」と「高い予定利率」の2つの課題とその解決策を紹介した。本号では、3つ目で最大の課題でもある「終身年金」の課題と、新制度ではどのよ…

自動車の電動化想定し、大型で複雑・高精度なプレス技術を開発[プレス加工技術最前線]

自動車の電動化や軽量化ニーズの高まり、短納期化、熟練作業者の減少など、プレス加工を取り巻く環境は大きく変化している。プレス加工メーカーへの要求も高度化しており、これまで以上に技術革新を進め、変化するニーズに対応することが…

明星金属が残業時間を減らすために徹底した2つのこと

金型の品質高めトライ減らす 明星金属工業が手掛けるのは、ボンネットやドアなど自動車ボディー部品のプレス金型。トライ&エラーを重ねて品質を高めていくため完成までの時間が予測しにくい。受注は新車開発の時期に集中するな…

新春座談会ー第2部ー
金型メーカー4社が語る
新時代の経営戦略

型青会を金型発注の窓口に 新春座談会ー第1部ー金型メーカー4社が語る 新時代の経営戦略  1月号では昨年の景況や各社の取り組みなどを報告してもらった。本号では日本金型工業会西部支部の青年部である「型青会」にスポットをあて…

関連サイト