金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

27

新聞購読のお申込み

自動化で変わる金型メーカー 背景に従業員、事業所の減少【自動化で変わる金型メーカー】

生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるためのスキルや人材育成の内容も違ってくる。費用対効果をうまく見極めれば、キャッシュフローも大きく改善する。自動化を進めるには、様々な変化への対応力が求められる。本特集では自動化で変化する現場や各社の取り組みを取材した。

進む金型現場の自動化

内製化が活発に

背景に従業員、事業所の減少

金型製造現場の自動化が進んでいる。金型メーカー各社、これまで人手に頼っていたワークの搬送や工具交換などの作業を自動化、省人化し、より少ない人員でも金型が生産できる体制の構築を目指している。

こうした背景の一つには少子高齢化による労働人口の減少がある。経済産業省の工業統計によると、日本の金型製造業の従業員数は1991年の11万8213人をピークに減少を続け、2019年には約3割減となる8万5777人まで減少している。

また、事業所数の減少による内製化の動きも要因の一つだ。金型製造業の事業所数は1991年のピーク時に1万3115事業所あったが、2019年には6696事業所と半減した。

これまで金型や部品加工を依頼していた協力企業が減ったことで、外注していた加工を社内に取り込む企業が増加。限られた人員の中で、内製化するには生産効率の高い加工システムが不可欠となり、自動化設備の需要が拡大している。

工作機械受注の金型産業向けでも、2022年7月は前年同月比43%増の36億3000万円と19カ月連続で増加。1月から7月までの累計も224億9700万円と前年同期比で倍以上伸びており、設備投資への意欲が活発化している。

総務省の見通しでは、40年後の日本の労働人口は現状よりさらに約4割減少すると予測されている。人手不足が深刻化する中、金型メーカーにはさらなる対応が求められる。自動化はその一つ。今後も金型製造現場の自動化は進みそうだ。

日本産機新聞 2022年9月10日

関連記事

関東製作所 渡邉社長インタビュー 【特集:営業ってどうする?】

デジタルマーケティングで見込客を獲得 近年は国内の金型市場が縮小しており、いかに新規開拓を行うかが大きな課題となっており、効率良く営業活動を展開するための仕組みやシステムの構築も求められる。年間の新規引き合い件数500件…

日本発条がササヤマと資本提携する理由【ササヤマ challenge!Next50】

自動車のシートなどを手掛ける日本発条は2015年、ササヤマと資本提携した。日本発条にとって技術連携のパートナーであるササヤマはどんな存在なのか。魅力、期待すること、今後取り組みたいことは。シート生産部の岡井広行氏と安田雅…

【検証】変わる金型基金 新たな船出<br>解散後、新制度に移行

【検証】変わる金型基金 新たな船出
解散後、新制度に移行

 今年11月をめどにいったん解散し、新制度への移行を進める日本金型工業厚生年金基金(上田勝弘会長)。なぜ制度移行なのか。加入者にどんな影響があるのか。基金の存在意義や、制度移行を連載企画で検証する。1回目は年金制度の仕組…

自動化で変わる人材 マルチ技術者を育成【自動化で変わる金型メーカー】

生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるた…

【特集:技能レス5大テーマ】2.機械制御

AI活用し、自動で最適制御 放電加工機やマシニングセンタなどによる加工は加工が進むにつれて状況が変化する。切削加工では切削工具の摩耗や欠損、びびり(加工振動)、熱変位、放電加工では電極の消耗、加工深さや板厚・ノズル離れ量…

トピックス

関連サイト