特集 次世代車で変わる駆動部品の金型鋳造に独自の新工法 次世代自動車の技術は電動化に限らない。注目されるのがエンジンの進化だ。燃費性能を追求する新型エンジン「スカイアクティブ」。多くの自動車メーカーが電動化に力を入れる…
自動化で変わる金型メーカー 背景に従業員、事業所の減少【自動化で変わる金型メーカー】
生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるためのスキルや人材育成の内容も違ってくる。費用対効果をうまく見極めれば、キャッシュフローも大きく改善する。自動化を進めるには、様々な変化への対応力が求められる。本特集では自動化で変化する現場や各社の取り組みを取材した。
進む金型現場の自動化
内製化が活発に

背景に従業員、事業所の減少
金型製造現場の自動化が進んでいる。金型メーカー各社、これまで人手に頼っていたワークの搬送や工具交換などの作業を自動化、省人化し、より少ない人員でも金型が生産できる体制の構築を目指している。
こうした背景の一つには少子高齢化による労働人口の減少がある。経済産業省の工業統計によると、日本の金型製造業の従業員数は1991年の11万8213人をピークに減少を続け、2019年には約3割減となる8万5777人まで減少している。
また、事業所数の減少による内製化の動きも要因の一つだ。金型製造業の事業所数は1991年のピーク時に1万3115事業所あったが、2019年には6696事業所と半減した。
これまで金型や部品加工を依頼していた協力企業が減ったことで、外注していた加工を社内に取り込む企業が増加。限られた人員の中で、内製化するには生産効率の高い加工システムが不可欠となり、自動化設備の需要が拡大している。
工作機械受注の金型産業向けでも、2022年7月は前年同月比43%増の36億3000万円と19カ月連続で増加。1月から7月までの累計も224億9700万円と前年同期比で倍以上伸びており、設備投資への意欲が活発化している。
総務省の見通しでは、40年後の日本の労働人口は現状よりさらに約4割減少すると予測されている。人手不足が深刻化する中、金型メーカーにはさらなる対応が求められる。自動化はその一つ。今後も金型製造現場の自動化は進みそうだ。
日本産機新聞 2022年9月10日
関連記事
既設機よりも大型の設備を導入する金型メーカーが増えている。成形品の一体化や成形工数の増加、多数個取りなどによって、金型が大型化し、既設機だけでは対応が難しくなっていることなどが背景にはあるようだ。各社、大型の加工機やプレ…
金型業界含め国内製造業は慢性的な人手不足を抱え、加工や測定工程で自動化を図ることが大きな課題となっている。そのため、これまで複数の機械で加工していた加工工程を1台の機械に集約し、段取り工程の削減や短縮、さらに、工程間の搬…
第1部では、必要な人材像や育成について方法について議論してもらい「顧客の要望に合わせて柔軟に考えられる人」、「社長を補佐する中核的人材」などが求められていることがわかった。一方、育成では「外部からの刺激」や「任せて、考…
魂動デザインなど独自の哲学で「走る歓び」を追求するクルマづくりに取り組むマツダ。金型はそれを実現するための極めて重要なマザーツールだ。なぜ社内で金型を作り続けるのか。金型づくりを進化させるため取り組むこと、これから目指す…