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がんばれ!日本の金型産業特集
日清精工 岩谷 清秀 社長

自社製品でB to Cへ
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自社製品の開発へ舵を切る

「顧客から選ばれる技術を持たなければいけない」と岩谷社長は話す。

プラスチック・ダイカスト金型を手掛け、大きさは小物~850tまで製造可能だ。多くの企業がオンリーワン技術を磨いているが、さらに難しいのはそれをいかに『商品化』できるかだ。「現在の事業モデルでは付加価値は生み出せない」。商品化は実績がないので難しいと思われたが、自社製品の開発、B to BからB to Cの商売へシフトしようと判断。デザインCADを導入し、プラスチック成形品=商品に成りえる物を探し始め、つけまつげケースに着目。デザイン性の良い高級品が市場にないことから、サンプル品を製作する。

初めは地元のコンビニ、ダンス教室、美容室などを回り苦労の連続。紹介を通じて東急ハンズへ。
ケースの薔薇のデザインはデジタルフリーデザイン(商標登録)の切削加工による独自のシボ加工で凹凸が微細できれい。金型から生み出された商品だからこそ剥がれない高級感から好評を得る。さらにフルカラー印刷を手掛ける塗装企業の協力を経て、iPhoneカバーケースの商品化、販売に成功。

その後、つけまつげケースを香港へ輸出、ディズニー関連商品のOEMや金型加工技術を活かした複雑形状の弁当用小分けカップの金型など様々な相談事が同社に舞い込む。「自社製品がなければご縁がなかったことも多い」と自社商品が技術力の見本となっている。「次の目標は成形機を持ちたい」と夢は膨らむ。

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適正見極め 根気強く教える

「ベトナム人、フィリピン人も含め、若い人たちが現場で活躍している」と、笑みで現場の若手にエールを送る。以前は若い人を採用すると、現場の中核になり始める時に辞めていくのが悩みの種だった。「これからという時に辞められると、現場の士気も下がる」。

人材育成は業界が抱える悩みだ。岩谷社長はベトナム人の評判を聞き、面接のためベトナムへ。エンジニアとして正社員で迎える。言葉の問題以上に「彼らは日本の文化を勉強したいと思っている。まじめで、努力家」と太鼓判を押す。日本人も採用し、現場は20代で、ベテランがいない状況になった。「若手は失敗する。でも、ベテランも失敗はある。彼らが成長すれば、工程も短縮でき、利益率は年々良くなる」と成長ラインが見えている。決算も前年比10~20%アップする見込みだ。

岩谷社長には持論がある。「人には適材適所があり、金型屋に必要な人材は言われたことをもくもくとやるタイプ」。採用活動では大阪お仕事フィールドサポートステーションから1週間の体験で来た人に軽作業をさせ、作業内容から採用を決める。かりに対人関係が苦手な子でも金型屋には向いている場合があるという。

自社製品で多くのことが変わった。自社製品を扱うMILCA事業、金型製造、ホームページの充実に加え、「モールドくん」というマスコットキャラクター、デジタルフリーデザインは商標登録された。「自社製品が伸びれば、組立工場、倉庫の問題が出てくる」と次なる課題も見え、視界は良好。


会社メモ

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代表者=岩谷 清秀社長
所在地=大阪府東大阪市柏田西1-11-2
電話=06・6727・3717
FAX=06・6727・6034
設立=1973年
資本金=7670万円
業務=プラスチック用金型・ダイカスト用金型の設計・製造、自社製品「MILCA事業」、各種金属加工
URL=http://www.nissinseikou.com/
マスコットキャラクター=モールドくん
主な設備=高速マシニングセンタ(牧野フライス製作所、大阪機工)、汎用フライス盤(静岡鐵工所)、放電加工機(ソディック、三菱電機)、ワイヤーカット加工機(三菱電機)、3Dプリンター(OBJET)、3DデザインCAD(FreeForm)、CAD/CAM(ソリッドワークス、Mastercamなど)。


金型新聞 平成27年(2015年)5月14日号

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