コストダウン、納期短縮図る 自動車用アルミダイカスト部品メーカーの美濃工業(岐阜県中津川市、0573-66-1025)は2021年3月、埼玉県熊谷市に「熊谷金型センター」を設立し、金型製造を開始した。20年10月には静岡…
AMや真空炉など積極投資 北田博治氏(アッサブジャパン社長)【この人に聞く】
ウッデホルムやボーラーブランドで知られる特殊鋼メーカーのアッサブジャパン。昨年には、日本進出70周年を迎え、金属3Dプリンタ(AM)事業の強化や、真空炉を設備投資するなど積極的に事業展開を進めている。世界中で販売するグローバルネットワークを生かした情報提供力や、サステナブルな材料を武器に、「単に材料を供給するメーカーではなく、ソリューションを提案できる企業を目指す」という、北田博治社長にAM事業や設備投資、今後の方針などを聞いた。

1965年生まれ、大阪市出身、産業能率大学卒業。日本の金型材料関連メーカーで14年にわたり海外展開に従事。2019年アッサブジャパン入社、同年社長。
ソリューション型企業目指す
AM強化や真空炉など積極的に投資している。
AM事業は設計から造形、解析までを一貫で対応できる台湾のグループ企業と連携している。日本国内の自動車メーカーやダイカスターに台湾で造形した入れ子部品を供給した実績も出ている。
真空炉は袋井工場に2台導入した。600㎏と小型の200㎏サイズで、6barという高圧に対応する。ハイエンドな材料のパフォーマンスを高めるには真空炉が欠かせない。新たな素材を採用して頂くためのテスト的な意味合いが強い。
こうした投資の狙いは。
両事業で売上を増やすことが主目的ではない。金型メーカーはこれからも顧客であり、熱処理メーカーもパートナーだ。よく例えるのだが、当社はイチゴを作っている農家。最終ユーザーがどんなイチゴを求めるのか、それを知るため小さな洋菓子店を営んでいるようなもの。顧客課題を解決するには、素材の知見だけでなく、熱処理やAMなど関連技術も重要になる。
ユーザーの海外展開が増える中、グローバルネットワークも強み。
アッサブの親会社であるフェストアルピーネは売上高約3兆円で、多様な鋼種に加え、世界中に500社の100%子会社を持つ。そこで得た情報やノウハウは惜しみなく提供する。それが日本法人の役割でもある。
具体的には。
最近注目されるギガキャスト向け金型には、当社の「DIEVAR」を始めとするダイカスト向け鋼種が広く使われている。ギガを検討するユーザーに材料や熱処理の特性などを伝えている。また、北米で医療関連の金型を供給したいという要求があった。国内には流通していない材料だったので、当社のネットワークで調達したこともある。
今後目指すところは。
世界中でサステナブルも欠かせないテーマとなっている。本社のあるオーストリアでは、発電に化石燃料を一切使わないため、サステナブルな材料として評価されることも多い。これらを数値化しており、環境面の強みも訴求していきたい。
さらに、AM事業や真空炉の投資などを強化し、材料をコアとしたソリューションを提供できる企業を目指したい。
金型新聞 2024年3月10日
関連記事
微細加工機メーカーの碌々スマートテクノロジー(東京都港区、03・3447・3421)は昨年、「碌々産業」から社名を変更した。創立120周年を迎え、これまで標榜してきた「微細加工機のリーディングカンパニーへ」から「微細加工…
あらゆる業界で叫ばれているDX(デジタルトランスフォーメーション)。各企業には、デジタル技術を使い、ビジネスモデルや組織、働き方など会社そのものの構造を大きく変えていくことが求められている。金型業界も例外ではない。次代…
メーカーとしてのプライド国内生産にこだわる ダイカスト用金型の専業メーカーであるフジイ金型。型締力800㌧までの金型に特化し、月平均25型以上の生産力を誇る。設計、製作、立ち上げ、修理と、試作から量産までトータルでサポー…
プレス金型及び量産を手掛ける大垣精工(岐阜県大垣市、0584-89-5811)は今年3月、松尾幸雄氏が社長に就任し、新たな船出に乗り出した。同社は独自の技術で世界シェア№1を誇るハードディスクドライブ(HDD)部品をはじ…