金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

22

新聞購読のお申込み

北米市場で連携促す 松岡寛高氏(七宝金型工業社長)【この人に聞く】

ダイカスト金型メーカーの七宝金型工業・松岡寛高社長はアメリカ、カナダ、メキシコの北米市場の開拓に向けて、金型メーカーが手を取り合い、設備、技術、営業活動でサポートし合うパートナーシップを進めている。同社は2015年にメキシコに工場を建設。日系や欧米メーカー、現地ローカル企業の開拓を図ってきたが、広大な国土や商習慣の違い、中国など海外との競争など1社で展開する難しさを感じる。松岡社長は「日本の金型メーカー同士が横のつながりを強化し、連携し合えれば、北米市場の開拓も可能性がある」と語る。その思いを聞いた。

松岡寛高氏(七宝金型工業社長)

横のつながりを強化

連携を模索する背景は。

2015年にメキシコへ進出したが、北米市場は低価格な中国の金型メーカーに押され気味で、価格、納期、ギガキャストなど大型需要に対し、1社だけで対応するのは難しいと感じたが、数社でサポートし合うことができれば、対応できることも増える。

どのような連携を。

当社にはメキシコ工場があり、北米でアメリカの金型メーカーや北米に進出する日系金型メーカー、現地メーカーとも連携し、北米で様々なサービス拡充を図っている。金型のビジネスは顧客のそばに工場(拠点)がある方が有利。連携することで金型の修理やメンテナンスを連携先へ委託することや、自社とは異なる型種の話が来ても連携先に相談できるなど、設備、技術、営業面で互いの情報や強みを共有し、様々な需要、ニーズに対応できる。海外の金型メーカーは企業規模や資金力を持ち、技術強化も図っている。対抗するには日本の金型メーカーが一致団結することが必要だ。

そのメリットは。

昨今、日本の金型市場は低迷しており、今後も減少する可能性がある。打開するには新たな市場を切り拓くしかない。北米は日系だけでなく、欧米やローカル企業が存在する魅力的な市場。これまで日本の金型メーカーは顧客が海外展開すると、同じく顧客のそばへ海外進出していたが、現地の欧米企業やローカル企業の開拓に積極的ではなかった。その市場を中国など海外企業に奪われているが、彼らには現地工場がない。金型は製作だけでなく、アフターサービスも重要であり、日本の企業同士が連携すれば、新市場の開拓もできる。

課題となるのは。

企業連携はいかにWIN‐WINの関係を構築できるかが重要。当社もメキシコ市場で営業活動も行っており、連携先の代わりに営業することもできる。だが、金型には各社特有のノウハウがあり、技術面では互いに信頼し合える関係でなければ成立しない。当社と異なるサイズや型種など各社の得意分野、技術、設備、人材を持ち寄り、総合的に活かすことで、北米という大きな市場を一緒に開拓していきたい。

金型新聞 2024年6月10日

関連記事

下野精密 〜我ら金型応援隊〜

超硬加工なら任せて  「大事なのはQCDだ。品質が良く、価格は高すぎず、納期も短い。バランスが大事」と話すのは下野精密の下野武志社長。創業から超硬やセラミックスにこだわり、半導体や自動車関連の金型・部品を製作。精度は交差…

【新社長に聞く】共和工業・熊谷勇介社長「金型通じ、顧客の夢カタチに 」

くまがい・ゆうすけ1985年大東文化大学経済学部卒、同年共和工業入社。2013年海外営業部長、20年常務執行役員社長補佐、新潟県三条市出身、58歳。 大型の樹脂型を手掛ける地元三条市の共和工業に入社したのは1985年。以…

【インタビュー】扶桑精工・松山広信社長「攻めの企業を目指す 」

営業改革や自社ブランド開発 まつやま・ひろのぶ1980年生まれ、東京都出身。2004年立教大学卒業後、UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、営業、企画などを経験した。19年扶桑精工に入社、20年同社社長に就任し、現在に…

平和電機 工業用ヒーターの技術集団[金型応援隊]

射出成形機や押出成形機、各種金型に欠かせないもの、それは工業用ヒーターだ。バンドヒーターやマイクロシーズヒーター、カートリッジヒーターなど工業用ヒーターを手掛ける平和電機は長年培ってきたノウハウを活かし、顧客の課題解決に…

デジタル技術を活用し工法の最適化、人材育成、新製品開発に挑む熱間鍛造金型メーカー【金型の底力】

伊藤製作所(愛知県弥富市)は熱間鍛造金型やダイセットを主力とし、クランクシャフトなどの自動車向けや建機・重機、免振装置、航空機といった幅広い市場で活躍する。特に大型の金型やダイセットが得意で、ダイセットは500~6300…

トピックス

AD

FARO スキャンしたらすぐに結果まで:工数低減を実現

金型のメンテナンス、修復、複製に3次元測定アームを活用 製品を製造するために欠かせない金型ですが、そのメンテナンスには多くの課題が存在します。金型は使用するうちに摩耗し、時... 続きを読む

関連サイト