金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

14

新聞購読のお申込み

金型はワクワクする仕事 山中雅仁氏(日本金型工業会会長)【この人に聞く】

今年6月の日本金型工業会の総会で、3期6年会長を務めた小出悟氏(小出製作所社長)に代わり、新たに会長に就任した山中雅仁氏(ヤマナカゴーキン社長)。「金型づくりはもっとワクワクできる魅力的な仕事のはず。ワクワクするために儲けられる業界にしなければならない」と話す。「取引環境の改善」や「データを共有するなどの協調領域の拡大」、「広報活動の強化」、「営業力の強化のための支援」に取り組みたいという。同氏に今後抱負や取り組みなどを聞いた。

山中雅仁(やまなか・まさひと)
1994年オハイオ州立大学機械工学科修士課程修了。89年ヤマナカゴーキン入社。96年常務取締役、2010年代表取締役社長。1965年生まれ、58歳。

儲けられる業界に

就任のあいさつで「儲かる業界にしたい」と強調しました。

私の持論として、仕事はワクワクしないとダメだと思っています。そして、本来金型業界はワクワクできる魅力ある業種のはずです。なぜなら、社会課題を解決できるツールを提供できる存在だからです。例えば環境問題で注目を集める生分解性プラスチック。これを採用した製品を生み出すには高度な金型技術は欠かせません。社会課題を解決できる業界ってワクワクしませんか。

もっとワクワクするには、キチンと儲けなければいけません。面白いことをするには、人材も設備も重要ですし、そのために投資できるだけの資本を稼ぐ必要があります。

ただ、我々自身も長年の考え方を改める必要があります。かつてのように、金型メーカーは金型を作って終わりの時代ではありません。ユーザーのベストパートナーとなって社会の課題解決策を提示できる存在だと自覚すべきです。ユーザー業界にも、そうした認識を持ってもらうために、もっと情報や存在感を発信していく必要があります。

具体的な取り組みは。

一つは現在追い風となっている「取引環境の改善の徹底」です。歴代の会長が訴えてきてくれたこともあり、改善は進んでいます。この流れを加速させるためにも継続して訴えていきます。

もう一つが「協調領域の拡大」です。具体的にはこれからですが、業界のさまざまなデータを共有できないかと考えています。この数年で人工知能(AI)が飛躍的に進化し、金型づくりを大きく変える可能性を秘めています。しかし、個社でAI活用といってもデータ量も少なく難しい。

各社提供できる範囲でさまざまな金型づくりのデータを共有し、AIを活用して、金型づくりを効率化できないかと思っています。会員企業はそれを自由に活用できるようにしたいと思います。

他には。

「広報活動の強化」も進めます。役員改選で理事は若返りましたし、女性理事も誕生しました。こうした若い力を借りながら、ユーザー業界に社会課題を解決すベストパートーであることを訴えていきたいと思います。

営業の強化も重要だと訴えています。

金型の7割は自動車向けだと言われており、自動車づくりの変化は大きく影響します。当社が手掛ける冷間鍛造型も同じく、電動車の登場により、大きな変化の中にあり、儲けるのが難しくなっています。

それでも利益を出すには、当社の課題でもありますが、営業の強化は欠かせません。シンプルにみれば、金型メーカーの稼ぐ力=技術開発力×営業力です。金型業界は長年投資してきたこともあり、技術開発力が高い会社は多い。一方、取引先が固定化されている企業が多いため、総じて営業力は弱い。各社立場や手法は異なると思いますが、営業プロセスの見える化や営業体制の見直しが重要だと思います。営業強化の参考となるような講習会や勉強会を開きたいと思います。

金型メーカーに一言。

大きな変革期にある今、自社を磨き、競争することは当然ですが、個社では対応できないことも多くなっており、協調することも必要です。日本金型工業会は同業者の団体なので、協調できる領域はたくさんあるはずです。また、インターモールドに無料で出展できることも大きなメリットです。ワクワクする業界にするために、ぜひとも参加して欲しいと思います。

金型新聞 2024年8月10日

関連記事

ギガでアルミのニーズ高まる 木村鋳造所 木村崇専務インタビュー

薄肉の低圧鋳造技術を強みとするドイツのグルネバルド社と提携し、砂型鋳造で、アルミの試作部品を手掛ける木村鋳造所。同社の木村崇専務は「アルミの大型試作部品は急増している」と話す。試作はいずれ量産に移行するため、金型の動向を…

金型磨きロボット開発<br>近畿大学・理工学部 原田 孝教授

金型磨きロボット開発
近畿大学・理工学部 原田 孝教授

パラレルで力制御、高速・高精度  金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に…

進化する金型のスマート化

 ITやセンシング技術を駆使した「金型のスマート化」が進んでいる。温度や圧力など様々なセンサを金型に取り付け、インターネットに接続することで、金型の状態がいつでもどこでも把握できるようになるほか、取得したこれらのデータを…

変化対応できる体質への転換 春田善和氏(冨士ダイス社長)【この人に聞く】

今年1月、超硬合金製の耐摩耗工具や金型を手掛ける冨士ダイス(東京都大田区、03・3759・7181)の新社長に春田善和氏が就任した。同氏は管理畑を歩み、財務部長や企画部長を歴任。海外拠点の立ち上げや、事業戦略の策定などに…

ササヤマ 笹山勝社長に聞く コア業務に専念できる環境に【特集 攻める設備投資】

自動車のシートや骨格部品などのプレス金型を手掛けるササヤマは金型の競争力を高めるため、金型づくりのDXとベトナム子会社のデータ製作力の強化に取り組む。デジタル技術で金型づくりを効率化し、ベトナム子会社を同社グループのデー…

トピックス

関連サイト