金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

26

新聞購読のお申込み

―スペシャリスト―リバン・イシカワ
金型の経験生かし心配り

精密金型部品

キャビティやコア、スライドコアなどの金型部品を専門に手掛ける会社がある。富山県南砺市のリバン・イシカワ。金型づくりで培った経験を生かし、独自の工夫や細やかな心配りで自動車関連メーカーの金型部門や金型メーカーなどの要望に応えている。一方、高硬度材の直彫りやプレス型用など、新たな分野にも挑戦し活躍の舞台を広げている。

高硬度材切削やプレス型用

ダイカスト金型の部品

ダイカスト金型の部品

いくつもの凹凸が連なり、滑らかな曲面が伸びる。複雑な形状の表面は、艶やかに銀色に輝く。これはダイカスト金型の部品(写真)。リバン・イシカワではこうした金型部品を全国の金型メーカーなどから受注し、マシニングセンタやワイヤ・形彫放電加工機を駆使して部品を作る。本社工場には、5軸マシニングセンタを中心に最新鋭の工作機械が並ぶ(写真)。

現在は金型部品専門だが、もともとは金型メーカー。創業(1970年)当時はプレス部品などを手掛けていたが、まもなく金型製作を開始。それから約30年、自動車部品などのプラスチック金型を作っていた。リバン・イシカワの強みは、これまでの金型づくりの経験を部品製作に生かしていること。

その一つが、製作に入る事前の打ち合わせ。例えば、依頼を受けて届いた図面に、指示が抜けていることがある。その部品の特性から、不備に気がつき、顧客に電話やメールで問い合わせる。顧客の手を煩わせず、かゆいところに手が届く。

切削加工した高硬度材金型部品やレンズ金型

切削加工した高硬度材金型部品やレンズ金型

金型部品の品質不良で多いのは、指示不足に気づけなかったことによる加工の不具合。石川幹人社長は「金型づくりの経験があるから気づけるし、こちらから提案もできる。寸法不良、加工不具合などは極めて少ない。お客様から絶大な信頼を得る自信がある」。

手掛ける分野広げる

そしてもう一つの工夫が、加工現場でも紙の図面で金型部品の製作の進捗や品質を確認するようにしていること。設計部門では加工データをつくる際、必ず設計図面を作図し、その図面は金型部品とともに切削や放電、測定と各部門を渡っていく。

「紙の図面と部品が一対になっているから間違いにくいし、ほかの技術者との相談もし易い。だからあえてペーパーレス化せずにいまも紙を使っている」という。

最新鋭の設備が並ぶ

最新鋭の設備が並ぶ

一方、高硬度材の直彫り切削や、レンズ金型の入れ子の製作など新たな技術にも挑戦している。共に数年前から取り組み始め、精度面では実用化できる技術を確立。今春のインターモールドでは、高硬度材の歯車の鍛造金型の入れ子や、レンズのリフレクターの入れ子を切削加工したサンプルを出品した。

石川社長は「製作分野も今の主力のプラスチックやダイカストからプレス、鍛造へと広げていきたい。技術力も磨き、対応できる分野も広げ、自動車関連メーカーの金型部門や金型メーカーなどの要求により一段と答えていけるようにしていく」。


会社概要

石川社長

石川社長

本社:富山県南砺市国広62
TEL:0763・62・1783
代表取締役:石川幹人氏
創業:1970年
事業内容:金型部品製作、航空機部品などの加工、機械加工。


金型新聞 平成28年(2016年)11月14日号

関連記事

【新春特別インタビュー①】日本金型工業会会長・小出 悟氏(小出製作所社長)「旧態依然の手法通用せず、今こそ変わるべき時」

旧態依然の手法通用せず 今こそ変わるべき時 〜金型産業ビジョン〜  1955年静岡県生まれ。78年に工学院大学機械工学科を卒業後、名古屋の金型メーカー高橋精機工業所に入社し、金型づくりを学ぶ。81年にアルミダイカスト金型…

この人に聞く
パンチ工業 森久保 哲司 社長

ものづくりへの回帰 昨年11月、パンチ工業(東京都品川区、03-6893-8007)の社長に就任した。「ものづくりへの回帰」を掲げ、商品開発や加工技術のレベルアップなどに取り組み、今まで以上にユーザーの要求に応えていく考…

【我ら金型応援隊】トクピ製作所 超高圧で自動化促進

産業用高圧ポンプや高圧クーラントユニットの製造、販売を手掛けるトクピ製作所は、超高圧クーラントユニットの製造に注力している。 「HIPRECO」は、最大30Mpaの水圧で刃先からクーラント液を噴射。切屑を細かく分断、排出…

【金型応援隊】日本精密機械工作 プロに喜ばれるツールを

「徹底したプロ志向を目指した」と語るのは、日本精密機械工作の伊藤俊介社長。このほどハンドグラインダー、「リューターフレックス極 LF‐300」を発売した。 「LF‐300」は、同社の過去の人気商品「リューターフレックス」…

フジ 金属積層造形で異種材金型を製造【金型の底力】

自動車やオートバイ用エンジンなどの金型を手掛けるフジは、金属積層造形(AM)と5軸複合加工ができるDMG森精機の「LASERTEC65 DED hybrid」を2022年6月に導入した。国内で約10台しか導入されていない…

関連サイト