金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

16

新聞購読のお申込み

AMや真空炉など積極投資 北田博治氏(アッサブジャパン社長)【この人に聞く】

ウッデホルムやボーラーブランドで知られる特殊鋼メーカーのアッサブジャパン。昨年には、日本進出70周年を迎え、金属3Dプリンタ(AM)事業の強化や、真空炉を設備投資するなど積極的に事業展開を進めている。世界中で販売するグローバルネットワークを生かした情報提供力や、サステナブルな材料を武器に、「単に材料を供給するメーカーではなく、ソリューションを提案できる企業を目指す」という、北田博治社長にAM事業や設備投資、今後の方針などを聞いた。

アッサブジャパン社長 北田 博治(きただ・ひろじ)氏
1965年生まれ、大阪市出身、産業能率大学卒業。日本の金型材料関連メーカーで14年にわたり海外展開に従事。2019年アッサブジャパン入社、同年社長。

ソリューション型企業目指す

AM強化や真空炉など積極的に投資している。

AM事業は設計から造形、解析までを一貫で対応できる台湾のグループ企業と連携している。日本国内の自動車メーカーやダイカスターに台湾で造形した入れ子部品を供給した実績も出ている。

真空炉は袋井工場に2台導入した。600㎏と小型の200㎏サイズで、6barという高圧に対応する。ハイエンドな材料のパフォーマンスを高めるには真空炉が欠かせない。新たな素材を採用して頂くためのテスト的な意味合いが強い。

こうした投資の狙いは。

両事業で売上を増やすことが主目的ではない。金型メーカーはこれからも顧客であり、熱処理メーカーもパートナーだ。よく例えるのだが、当社はイチゴを作っている農家。最終ユーザーがどんなイチゴを求めるのか、それを知るため小さな洋菓子店を営んでいるようなもの。顧客課題を解決するには、素材の知見だけでなく、熱処理やAMなど関連技術も重要になる。

ユーザーの海外展開が増える中、グローバルネットワークも強み。

アッサブの親会社であるフェストアルピーネは売上高約3兆円で、多様な鋼種に加え、世界中に500社の100%子会社を持つ。そこで得た情報やノウハウは惜しみなく提供する。それが日本法人の役割でもある。

具体的には。

最近注目されるギガキャスト向け金型には、当社の「DIEVAR」を始めとするダイカスト向け鋼種が広く使われている。ギガを検討するユーザーに材料や熱処理の特性などを伝えている。また、北米で医療関連の金型を供給したいという要求があった。国内には流通していない材料だったので、当社のネットワークで調達したこともある。

今後目指すところは。

世界中でサステナブルも欠かせないテーマとなっている。本社のあるオーストリアでは、発電に化石燃料を一切使わないため、サステナブルな材料として評価されることも多い。これらを数値化しており、環境面の強みも訴求していきたい。

さらに、AM事業や真空炉の投資などを強化し、材料をコアとしたソリューションを提供できる企業を目指したい。

金型新聞 2024年3月10日

関連記事

ポートフォリオを再構築 畠山英之氏(キヤノンモールド社長)【この人に聞く】

「金型づくりへのパッションが強い」—。今年4月、キヤノンモールドの社長に就いた畠山英之氏が抱いた同社への第一印象だ。その情熱を武器に、超精密金型など同社でしかできない型づくりを進める一方、海外拡大や外販強化など「事業ポー…

人が集まる場づくりを<br>金型工業会東部支部 鈴木 教義支部長(鈴木 社長)

人が集まる場づくりを
金型工業会東部支部 鈴木 教義支部長(鈴木 社長)

この人に聞く 金型の社会的価値訴え  「日本の金型業界にとって今は変化の時期だが、チャンスでもある」と話すのは、日本金型工業会の東部支部長に就いた鈴木の鈴木教義社長。好機なのは、金型の高度化が進み日本のメーカーしかできな…

堀江亜衣奈さん 醍醐味は職人技の瞬間【ひと】 

「六角パンチやピンの研削加工では多少寸法のズレが発生するため、補正するのが常ですが、狙い通りに寸法がハマッた瞬間はヨシッとガッツポーズします」と笑顔を見せるのは堀江亜衣奈さん(22)。精密鍛造金型や部品を手掛ける阪村エン…

5年で売上高30億円
ジェービーエム 小谷 幸次社長に聞く

 Mastercamの世界販売1位を記録するジェービーエムは今年、創業50周年を迎えた。同社は近年、CAD/CAMのほか、ロボットシミュレーション、計測、積層技術など幅広い分野のソフトウェアを拡充し、生産現場の自動化・省…

経産省素形材産業室 星野昌志室長が語る「素形材産業ビジョン」に込めた思い

経済産業省は3月28日、金型を始めとした日本の素形材産業が今後進むべき方向性についてまとめた「素形材産業ビジョン」を12年ぶりに公表した。3代目となる2025年版ビジョンでは、日本の素形材産業の現状や課題をまとめ、204…

トピックス

関連サイト