パラレルで力制御、高速・高精度 金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に…
AMや真空炉など積極投資 北田博治氏(アッサブジャパン社長)【この人に聞く】
ウッデホルムやボーラーブランドで知られる特殊鋼メーカーのアッサブジャパン。昨年には、日本進出70周年を迎え、金属3Dプリンタ(AM)事業の強化や、真空炉を設備投資するなど積極的に事業展開を進めている。世界中で販売するグローバルネットワークを生かした情報提供力や、サステナブルな材料を武器に、「単に材料を供給するメーカーではなく、ソリューションを提案できる企業を目指す」という、北田博治社長にAM事業や設備投資、今後の方針などを聞いた。
ソリューション型企業目指す
AM強化や真空炉など積極的に投資している。
AM事業は設計から造形、解析までを一貫で対応できる台湾のグループ企業と連携している。日本国内の自動車メーカーやダイカスターに台湾で造形した入れ子部品を供給した実績も出ている。
真空炉は袋井工場に2台導入した。600㎏と小型の200㎏サイズで、6barという高圧に対応する。ハイエンドな材料のパフォーマンスを高めるには真空炉が欠かせない。新たな素材を採用して頂くためのテスト的な意味合いが強い。
こうした投資の狙いは。
両事業で売上を増やすことが主目的ではない。金型メーカーはこれからも顧客であり、熱処理メーカーもパートナーだ。よく例えるのだが、当社はイチゴを作っている農家。最終ユーザーがどんなイチゴを求めるのか、それを知るため小さな洋菓子店を営んでいるようなもの。顧客課題を解決するには、素材の知見だけでなく、熱処理やAMなど関連技術も重要になる。
ユーザーの海外展開が増える中、グローバルネットワークも強み。
アッサブの親会社であるフェストアルピーネは売上高約3兆円で、多様な鋼種に加え、世界中に500社の100%子会社を持つ。そこで得た情報やノウハウは惜しみなく提供する。それが日本法人の役割でもある。
具体的には。
最近注目されるギガキャスト向け金型には、当社の「DIEVAR」を始めとするダイカスト向け鋼種が広く使われている。ギガを検討するユーザーに材料や熱処理の特性などを伝えている。また、北米で医療関連の金型を供給したいという要求があった。国内には流通していない材料だったので、当社のネットワークで調達したこともある。
今後目指すところは。
世界中でサステナブルも欠かせないテーマとなっている。本社のあるオーストリアでは、発電に化石燃料を一切使わないため、サステナブルな材料として評価されることも多い。これらを数値化しており、環境面の強みも訴求していきたい。
さらに、AM事業や真空炉の投資などを強化し、材料をコアとしたソリューションを提供できる企業を目指したい。
金型新聞 2024年3月10日
関連記事
コロナをチャンスに 「金型メーカーとして、コロナ禍で何かできることはないかと思ったのです」。そう話すのは、金型技術を活かし、フェイスシールドを作成した城南村田(東京都大田区、03-5744-3555)の青沼隆宏社長。 …
考え方や能力異なる 人材活躍するワンチーム 時代の変化にしなやかに ~ダイバーシティ~ 1976年生まれ、北海道札幌市出身。99年工学院大学工学部機械工学科を卒業し、オーニックに入社。2013年、社長に就任。経営理念で…
ダイカスト金型メーカーの七宝金型工業・松岡寛高社長はアメリカ、カナダ、メキシコの北米市場の開拓に向けて、金型メーカーが手を取り合い、設備、技術、営業活動でサポートし合うパートナーシップを進めている。同社は2015年にメキ…
冶具、成形、部品… ポートフォリオ構築 今年6月に創業60周年を迎えた大型プラスチック金型を手掛ける立松モールド工業。60年を機に、事業部制を採用し、成形の強化、冶具や部品の販売など金型をコアに事業ポートフォリオを構築…