金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…
日本鍛圧機械工業会 長利啓正会長(コマツ産機社長)インタビュー【特集:プレス加工の未来】
電動車による部品の変化や脱炭素対応などさまざまな変化に迫られている金型業界。見てきたように、こうした変化に対応すべく、プレス金型の製造現場ではいろんな取り組みを進めている。一方で、環境変化によってプレス機のニーズは変わるのか。プレス機メーカーからみたプレス技術の変化や、将来必要な技術などを日本鍛圧機械工業会の長利啓正会長(コマツ産機社長)に聞いた。

1990年東北大学工学部材料加工学科卒。2013年執行役員販売サービス本部長、20年同事業管理部長、21年小松製作所金沢工場工場長、24年現職。埼玉県出身、58歳。
高剛性で大型要求増える
プレスを取り巻く環境はどう変化しているか。
脱炭素への対応や温暖化の影響によってユーザーの動向や需要が大きく変化しています。脱炭素化への要求に対し、自動車業界では多少減速感はありますが、電動車が増加しています。温暖化で新興国ではエアコンのニーズが高まっています。さらに、ロシア・ウクライナ紛争の影響もあり、欧州を中心に家庭機器ではヒートポンプの需要が増えています。
そうした需要の変化で増えるプレス部品は。
電動車の増加によりバッテリーケース、バスバーなどの需要が高まっています。さらに電動車に加え、安定通電が必要な再エネ分野で拡大しており、バスバーにおいては2022年に1・8兆円だった市場が32年に5兆円になるという調査もあります。
さらに自動車ボディの軽量化ニーズも強く、ハイテン化により薄肉化された骨格部品が増加しています。前述のエアコンやヒートポンプ関連部品も増加しています。
こうした部品でプレス機のニーズの変化は。
一つは大型化です。バッテリーケースも大型化しています。HVよりBEVのほうがバッテリーは大きく、工程数が12~14工程ほどあり、ボルスターエリアが大きくないと対応できません。バスバーはものによってはダイエリアが大きくなりますし、厚肉化しています。エアコンの室外機も大きくなると、ダイエリアが大きくなります。
二つ目として、自動車骨格部品ではハイテンなど硬い材料が増加しており、それらをプレスするため、より能力が高く、より剛性の高いプレス機へのニーズが増えていることです。トランスファープレスでは先々の需要を見越し、3500tクラスを導入する企業が増えています。
他には。
金型にはマイナスかもしれませんが、レーザーブランキングのニーズが高まっています。お客様のプレスショップの悩みの一つは金型保管スペースです。レーザーブランキングはこの課題の解決策となります。
IoTによる予兆管理なども増えています。
さまざな手法はありますが、金型やプレス機の挙動を把握して、型寿命を予測したり、プレス機の予兆保全をしたりする動きは加速しています。AIを活用するなどこうしたサービス開発は進んでいくと思いますね。
無人化・省人化も製造業では課題です。
ドアルーフなどのプレスラインでは、10人程度の人員が必要です。欧州企業では、オフラインの計測の効率化やクレーンのオペレータを減らすためにAGVを活用する動きもあります。
こうした検査や型の交換など周辺業務の省人化要求は日本でも強まっています。課題やそれに対する手法はいろいろ考えられますが、自動化は重要なテーマの一つであることは間違いないですね。
プレス機の脱炭素ニーズはどうでしょう。
脱炭素のニーズの高まりを受け、排出した二酸化炭素に値段をつけるインターナルカーボンプライシングが大手を中心に広がりつつあります。プレス機は20年以上使うことが多く、その間に排出するCO2はぼう大です。サーボプレスはメカプレスに比べ、40%程度電力量を削減できるので、サーボ化はさらに進んでいくと思います。
金型新聞 2024年10月10日
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