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イワタツール トグロンハードドリルの挑戦
焼入れ鋼に穴があく
金型製作工程を短縮
設備強化で需要に対応
イワタツール(名古屋市守山区、岩田昌尚社長)が2010年に発売したトグロンハードドリルは焼入れ鋼用穴加工ドリルとして、ここ数年需要が急増し供給が追いついていない状況だ。同社の岩田社長は「直近3ヵ月で前年対比すると、2倍ほど伸びている」という。特にトグロンハードシリーズの『トグロンハードロングドリル』は焼入れ鋼に高精度な深穴加工が可能で、プラスチック金型のエジェクタピンの穴加工などに使われ、金型の製造工程を大きく変えた。「発売当初は全然売れなかった」というトグロンハードドリルの誕生経緯や製品特長、今後の取り組みを紹介する。「始まりは硬い材料を削れるドリルを作ることだった」と岩田社長。特にユーザー要望があったわけではなく、創業時からセンタードリルのメーカーで新ドリルの開発を進めていた岩田社長は「ある理論に基づき刃先形状を大幅に変えたら硬い材料に穴があいた」。これを機に発売したのがトグロンハードドリル。だが、「発売時は売れなかった」という。従来焼入れ前に穴加工するのが通常で、「焼入れ鋼に穴加工するのは稀。市場性が薄かった」と振り返る。
ところが、機械メーカーを通じて金型メーカーの三洋技研(プラスチック金型)が『焼入れ鋼にドリルで深穴加工を試したい』と申し出があり、試作したドリルなどを用意しテスト加工を行った。すると、「安定した精度で穴加工でき、これならリーマ無しで寸法通りの加工ができる(1穴加工時間80秒以下)」と高評価を得て、焼入れ鋼に深穴加工ができるトグロンハードロングドリルが誕生、三洋技研の承諾を得て、新製品として販売を図る。
トグロンハードロングドリルは焼入れ鋼など高硬度材(HRC40~72)と高精度をキーワードに、独特な刃先形状を持つドリル。岩田社長は「通常のドリル形状と違い、ボールエンドミルの設計に共通点が多い」と、その独特な切れ刃ねじれが『とぐろを巻く』をイメージしたことから製品名に『トグロン』と名付け、3枚刃設計で高精度な穴加工を実現。ある海外の大手おもちゃメーカーは焼入れ鋼にH7以上の穴精度が出せる工具として、金型のエジェクタピンの深穴加工に使用し、金型の製作日数を3日から1日に短縮。これまで熱処理後に細穴放電やワイヤーカットなど複数機械を使用した加工をマシニングセンタに集約することで位置決めなどの段取りが減り、金型製造の工程削減やリードタイム短縮につながるため、日本の金型メーカーの採用も増加。現在は工具径φ0.8~6㎜(20Dの場合)を用意し、在庫は30Dまで揃え、さらに50Dも発売する予定だ。今後はトグロンハードシリーズの生産強化とラインアップの拡充を図ると岩田社長は言う。年間数億円を投じ工場設備を強化し需要増に対応する。製品ラインアップも「今はHRC40~72という広範囲を1製品で対応しているが、HRC40以上・50以上・60以上といった細かな製品群やオイルホール付で部品加工の分野にも対応していきたい」と語る。今年創業90周年を迎える同社の躍進は始まったばかりだ。
会社概要
代表者=岩田 昌尚社長
住所=名古屋市守山区花咲台2-901-1
電話=052・739・1080
生産品目=トグロンシリーズ、センタードリル、SPセンター、特殊切削工具、ハンドグラインダー、熱処理業務など。
金型新聞 平成30年(2018年)6月8日号
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