金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

27

新聞購読のお申込み

トヨタの型づくりはどう変化していくのか?モビツー・大澤部長×モノエン・堀田部長インタビュー【変わるトヨタの型づくり】

PART4:モノエン・モビツーのトップに聞く金型メーカーに期待すること

技能絶やさぬ取り組み / 型にとらわれぬ柔軟な視点

人の動き、 カンコツを定量化

次世代車の中でも、やはり電動化へのインパクトは大きい。金型への影響をどうみますか。

大澤 電動化で高出力のモーターや電池が求められる中、部品が高精度になり、型技術は高度化していく。どんな加工技術が必要になるか注視しておくことが重要だと思う。

特にパワートレーン系の競争は激化していくと思います。お客様が求める車、すなわちクリーンで、航続距離が長く、快適な車に見合ったパワートレーンユニットが作れる型技術、ひいてはモノづくり技術が必要になる。

外装部品はどうですか。

大澤 昨年末に電動車を30車種発表したように、電動車のトレンドに合った意匠性の高い金型はこれまでと変わらず求められると思う。

堀田部長はどうですか。

堀田 同じく、高精度、微細化は加速し、意匠性の高いモノが必要になると思う。異なる視点でいえば試作でしょうか。様々な素材が登場しているので、試作のバリエーションは増えていく。安価な金型や3Dプリンタの活用なども考えられる。こうした変化に対して、大澤部長もよく言われますが、型を造るのではなく「形」を創るという視点が必要だと思う。

大澤 我々は金型を造ってはいますが、その目的は車に必要な部品の「形」を創ること。その目的のためなら、金型レスで創るという方法があってもいい。

「金型レス」とは厳しいご意見です。

大澤 アプローチは2つあります。一つは金型レスと言いましたが、金型を早く安く造ること。例えば、極限まで機能を最小限にしてしまえばそうした金型も可能です。もう一つは本当に金型なしで創ること。金型メーカーさんはそうした対応は得意だと思う。

どうしてですか。

大澤 金型メーカーさんは様々な加工機を持ち、加工工程や重要点を熟知しているからです。それはいろいろなモノづくりを理解しているということ。金型にこだわらず、治具や簡易型など、カタチを創ることができる手段を考えられるはずです。時代に即して柔軟に対応することが大切だと思う。

CNへの対応も喫緊の課題となっています。

堀田 解の一つはデジタルのフル活用だと思う。デジタルを使って一発で作り込み、金型の戻りを減らせれば、その分の電力量は削減できる。ただ、デジタル活用は当社だけでは完結できないことも多く、協力先を巻き込みながら進めたいと思う。 

また現在、エネルギーマネジメントや24時間稼働などを進めているところで、我々がCNのトップバッターとなって皆さんにいろいろな手法を紹介できればいいと思う。

大澤部長は。

大澤 大きくは3つあります。一つは型の軽量化や最適化。日本のプレス型は欧米に比べ3分の2ほど軽く、扱う際のエネルギーが少なくて済む。これをもっと追求する。2つ目は無駄な材料を減らすこと。1枚の鉄からいかに多く製品を作るか。とにかく無駄なものは出さない。3つ目がリユースやリサイクル。型部品のリユースを考えています。また、二酸化炭素を出さない素材開発など、様々なメーカーと協業しながら進めているところです。

一緒に高い山を目指したい

金型メーカーに期待することを教えて下さい。

堀田 デジタル化への対応を進め、仲間になって欲しい。一方で、リアルにモノを作る部分はなくならないし、そこを絶やしてはいけない。なので、いろいろな工法を試すなど、量産の技術を探索して欲しいと思います。

また、我々の技術が必ずしも優れているわけではない。実際に他社と同じワークを5軸加工で比較した際、大変勉強になった。そんな、切磋琢磨できる関係であって欲しいですね。

大澤 最も言いたいのは、「技能を絶やさないで欲しい」ということです。技能は日本の宝です。アメリカでは型技術が衰退し、海外から金型を購入せざるを得ず、苦労したこともあります。そうならないために、技能を絶やしてはいけない。

何をすればいいでしょう。

大澤 デジタルが有用なのは明らかになってきました。人の動きをモーションキャプチャで把握したり、カンコツを定量化したりできます。我々1社だけでなく、一緒にこうした取り組みを共に進めたいですね。

「一緒に」ですか。

大澤 豊田章男社長が「自動車業界にいる550万人とともに歩む」と表現しています。それと同じことです。我々は日本の産業を大事にしたい。デジタルを使えば技能を定量化することもでき、人づくりも早くできます。登山で例えるなら、これまで1合目から登っていた山に、5合目から登れるかもしれない。そうするともっと高い山に登ることも可能です。皆さんと一緒に高い山を目指したいと思います。

金型新聞 2022年6月9日

関連記事

かいわ 自社で商品生み出す道に

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

【この人に聞く】ハスキー統括部長・千葉紀久氏「ホットランナの市場拡大を」

ホットランナの市場拡大を  今年、日本法人設立30周年を迎えたハスキー(東京都町田市、042-788-1190)。プリフォーム射出成形システムの世界最大手でありながら、ホットランナメーカーとしての側面も持つ。日本では20…

【特集】新時代の金型自動化

現場の生産性向上、人手不足の解消に向けて、多くの金型企業が関心を寄せる自動化。近年の自動化技術は目覚ましい進化を遂げており、ロボットやIoT、AIなどの次世代技術によって、これまで以上に高度な自動化が可能になっている。こ…

「『金型灼熱』の技術強みに 省エネなど製品開発」 平和電機社長・大澤孝佳氏

各種工業用ヒーターや金型均熱システムなどを手掛ける平和電機(愛知県一宮市、0586-77-4870)は独自のエンジニアリング力を強みに、金型メーカーの様々なニーズに応える。近年はSDGsなど循環型社会への貢献を目指し、新…

高精度、省人化ニーズが高まる国内市場で注力すること 田代勝氏(三菱電機 産業メカトロニクス事業部長)【この人に聞く】

三菱電機は50年以上に渡って、高精度、高性能な放電加工機を開発し、付加価値の高い金型づくりに貢献してきた。近年では省人化ニーズへの対応に注力する他、金属3Dプリンタを開発するなど技術領域を広げている。同社は今後、金型業界…

トピックス

関連サイト