新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…
真のグローバル企業に 圷祐治氏(ソディック社長)【この人に聞く】
売上高1,000億円目指す
今年3月、ソディックは、圷祐次副社長が代表取締役CEO社長執行役員に就く人事を発表した。欧米経験が長い圷社長は自身のミッションを「ソディックを真のグルーバル企業にすること」と明言する。売上高は「将来的には1000億円を達成したい」とも表明した。そのために、社員の意識改革はもとより、NCなどの次世代技術や、加工技術を強化していく戦略を描く。圷社長にビジョンや、達成に向けた施策など今後の方向性を聞いた。

1987年東京理科大工学部卒、同年ソディック入社。2005年Sodick,Inc.取締役副社長、13年執行役員営業副本部長欧米担当、24年取締役兼COO副社長執行役員。茨城県生まれ、61歳。信条は「広い視野、楽観的思考、前向き思考」。
次世代の開発や生産技術強化
海外経験が長い。
ソディックを選んだのは若くして海外を経験できると言われたから。実際、入社4年目からアメリカに赴任した。数年日本に戻ってきたこともあるが、基本は海外畑だ。
外からソディックの強みをどうみてきたか。
リニアやモーション技術、セラミックスなど要素技術は強み。放電、AM、成形機などのラインナップが豊富で、他社にはできないトータルマニファクチャリングソリューションも強みだ。今後も磨き続ける。
一方課題は。
機械は売って終わりの時代じゃない。どうソリューションを提供していくかが課題。例えば、グループ会社では金型づくりから成形までを自動化している。こうした技術や治具の構築などをパッケージで提供していく。加えて、消耗品、スペアパーツ、保守サービスを一体化したアフターサービスを強化し、販売後のサポートを着実に継続していくことも重要だ。
目指すべき姿は。
将来的には売上高1000億円。そのためには今の製品にプラスアルファが必要。先日イタリアのAM企業を買収したのは当社にない造形技術を持っていたから。必要であればM&Aだけでなく、OEM供給などで、加工のアプリケーションを学んでいく。エリアの拡大も重要で、北米、欧州、中華圏、国内をバランスよく成長させる。
他には。
開発強化も重要。直轄でグローバル開発センターを設置した。センター長にはシリコンバレーの開発拠点のトップを就けた。次世代のNCやIoT、AI活用などインフラ構築を担当してもらう。
自身のミッションは。
日本からグローバル展開するのではなく、各国の拠点が現地化した真のグルーバル企業にすること。世界のモノづくり産業に対して、各地でサポートできるラインアップや体制を構築していく。
社員の意識改革が必要。
そのために会社が「こうありたい」と宣言し、情報を発信することは重要だと思う。私のグローバルでの経験や活動を社員に伝え続ける。
金型業界に対して一言。
当社は日本の金型メーカーに育てて頂いた。今後も金型メーカーに寄り添い、加工技術を共同で開発するなど、日本の製造業の活性化に貢献していきたい。
金型しんぶん 2025年6月10日号
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