初心者でも使い易い汎用機 内面研削盤メーカーの入野機工(埼玉県川口市、046・874・7444)はこのほど、「汎用精密内面研削盤IIGシリーズ」を発売した。累積販売台数が3100台超の実績を誇る「YIGシリーズ」をリニュ…
JFEスチール ギガキャストに対抗、大型部品統合する冷間プレス
従来11部品だったリアメンバを3部品に削減
JFEスチールはこのほど、1470MPa級の超高張力鋼板(超ハイテン材)で自動車の大型部品を統合する冷間プレス技術を開発した。新技術の適用対象部品は、後面衝突から車体保護を担う「リアメンバ」。リアメンバのサイズは長さ1600㎜、幅1400㎜、深さ140㎜で、トヨタ自動車「カムリ」をベースに開発した。

従来のリアメンバは11部品(左右サイドメンバ4部品ずつ、クロスメンバ3部品)で構成されていたが、開発した技術を活用することで、3部品(左右サイドメンバ1部品ずつ、クロスメンバ1部品)へ削減。自動車製造時の生産性向上やコスト削減に貢献する。
開発に携わった揚場遼主査研究員は「後面衝突から車体を保護する性能を満たすため、サイドメンバの前部分は分厚い板材、後ろ部分は少し薄い板材を使用し、強度差を持たせた状態での部品統合に成功した」と話した。また、「今回対象としたリアメンバなどの複雑な形状部品は、冷間プレスによる成形が難しく、980MPa材の導入が限度だった。従来と比較し、難易度が高い1470MPa材での技術確立は大きな進化であり、最大のPRポイントだ」。
1470Mpa超ハイテンの冷間プレスは、成形時の「寸法精度」や「破断」が課題となる。超ハイテン材は降伏点が高く、プレス時に製品内部の応力によるスプリングバックが大きくなる。そのため、成形時に狙った寸法精度にすることが難しい。
「通常は最終工程でスプリングバック量を見込み、金型を作り込む。しかし、超ハイテン材は、最終工程での応力が高くなるため、前工程で金型構造を最適化し、最終工程で発生する応力を相殺する技術などを活用し、狙った寸法精度を実現した」(揚場主査研究員)。成形時の「破断」は割れが発生する部位へ材料供給できるような金型構造にすることで対応した。
ギガキャストなどの他工法と比較した新技術の利点は、適切な範囲での統合を活かした柔軟性。ギガキャストやホットスタンプで大量の部品を統合することはメリットがある一方でデメリットも多く、物流コスト上昇や、部品損傷時の修繕が広範囲に及ぶなどの課題がある。
「冷間プレスによる適切な範囲での部品統合は、可搬性の確保やリペアの負担軽減が可能だ。大量の部品を1つにすることは性能面の低下も危惧されるが、適切な範囲で柔軟に導入できるため、性能とコストのバランスに優れた提案ができる」(揚場主査研究員)。
今後について揚場主査研究員は「現状はコスト削減の具体的な数値化ができていないため、顧客と共に具体的なコスト削減の算出を進める。外部の調査機関も利用し、ホットスタンプなどの他工法と比較したコストメリットを算出し導入メリットを周知していきたい」。
金型しんぶん2025年8月10日号
関連記事
「金型メーカーが情報管理をするのは、自社の知的財産を守るためと顧客情報を守るための2つの意味で重要だ」と話すのは、飲料や化粧品などのプラスチック金型を手掛ける打田製作所の打田尚道社長。同社は15年ほど前に社内で情報シス…
金型・部品加工の見積作成における最大の課題は、相応の専門知識がないと見積作成が困難であるという点だ。そのため、熟練者の経験への依存度が高く、さらに加工業者間での金額差異の問題も発生している。これらの課題に対して、半自動化…
成形の動きを再現 プラスチック金型メーカーのコガネイモールド(長野県佐久市、0267・68・0505)は、4月17~19日にインテックス大阪(大阪市住之江区)で開催された「インターモールド2024」に、「ミニチュア金型」…
3Dプリンターの手軽さと切削加工機の具現化精度を兼ね備える3D造形ソリューション「Labonos(ラボノス)」。9月10日号で、その特徴を生かし試作樹脂型を自動造形することで試作品製作の様々な課題を解決する方法を紹介した…