自動化と人材育成—。自動車産業に関わらず、あらゆる製造現場において共通の課題となっている。人手不足は深刻化しており、課題解消に自動化、省力化は欠かせない。いかに若手に技能を伝承していくかも喫緊の課題となっている。一方で、…
松井製作所 皮革と樹脂をコンパウンドした新素材の販売を開始
松井製作所(大阪市中央区、06・6942・9555)はこのほど、皮革と樹脂をコンパウドした新素材の販売を開始した。射出成形で本革同様の質感が再現可能で、単なる材料販売にとどまらず、成形技術のサポートを含めた包括的なソリューション提案により、新素材の可能性を追求していく。
本革の質感を射出成形で再現
今回、取り扱いを開始した新素材の名前は「KOLLAMAT(コラマート)」。ドイツの自動車用シートメーカー・BADERが開発した。シートの製造工程において、本来は廃棄される皮革の端材を樹脂素材にコンパウンドしたもので、射出成形に用いる。松井製作所が国内での独占販売権を取得し、1㎏あたり2500円(税別)、一袋(17㎏入り)から販売する。

コラマートの特長は、樹脂素材ながら射出成形で本革同様の肌触りや香りといった質感が再現できる点だ。従来の革製品は、型押しや縫製といった加工方法が一般的だったが、松下健二郎常務取締役は同素材について、「極端な話、金型があれば革の質感でどんな形も再現出来る。従来の革素材の加工に比べても成形の自由度が格段に上がった」と説明する。
また、廃材を再利用したアップサイクル素材として、サステナビリティの観点からも活用の意義は大きいと考える。
革繊維の含有量別に3種類取り揃え、樹脂温度や金型温度、射出速度といった成形条件によって、皮目の露出具合も調整できる。耐久性に優れ、本革同様に自然な経年変化が楽しめるのもポイントだ。
シボ転写やバレル研磨でより深みのある表情付けも可能。顔料の調合で本革にはなかった色合いも再現でき、アレンジの用途は広い。


同社は、この5月に開催された「付加価値ある意匠デザインを実現するものづくり技術2025」(主催:日経ものづくり)にコラマートのサンプル品を出展。来場者からの反応は上々だったという。
現状では外観に高級感を求められる容器での引き合いがあり、今後は作業工具のグリップやカメラの筐体部など、ハイエンドで意匠性が重視される分野への展開を視野に入れる。

ユーザーと一体で開発推進、製品化支援も
コラマートはその特性上、通常の樹脂材料に比べ吸湿性が高く、ピンゲートに革の繊維が詰まる可能性もあり、取り扱いにはノウハウが必要となる。そのため松井製作所は、販売に先立ち一年前より素材の研究を重ね、適切な成形条件などの知見を深めてきた。素材単体での販売はもとより、ユーザーへの技術支援にも力を入れる。
希望するユーザーには、適切な使用方法をレクチャーしたいとの考えから、用途をヒアリングしたうえでサンプルの有償提供も行う。
ヒアリングの段階で、顧客のニーズを確認の上、希望があれば同社が枚方事業所に構える「テックスタジオ」と、金型メーカーの富士精工(群馬県太田市)で試作に応じる。
さらに、松井製作所が取り揃える同素材に適した成形用の設備機器も併せて提案することで、全面的な支援体制を整えた。
こうした取り組みから、定量目標では2027年までに50㌧の販売を目指す。ユーザーとのコミュニケーションを通して潜在需要を掘り起こす考えだ。「まずはデザイン上のニーズを引き出すことが大事。お客様と一緒にこの素材で様々なアプリケーションを開発していきたい」(松下取締役)と、新市場の開拓が始まった。

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