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オピニオンリーダーインタビュー 金型の魅力は何ですか【特集:金型の魅力知っていますか?】
金型はものづくりの原点であり多くの製品の大量生産に欠かせないマザーツール。社会的な役割や金型の技術革新や金型づくりにおいてその魅力は何だろうか。日本金型工業会の山中雅仁会長と元ホンダエンジニアリング・車体領域・執行役員の田岡秀樹氏に聞いた。
多様な技能習得できる

金型は工業製品の大量生産に欠かせないことからマザーツールと呼ばれます。自動車やスマホ、家電、半導体…。世の中の多くの製品は金型で作られています。金型が無ければ大量に作れない。人々の豊かな暮らしは金型が支えています。
金型の社会的な役割はとても大きい。金型の技術が進歩しないと製品も進化しない。例えばスマホが高機能化しているのはより小さな部品を作れる金型が開発されているからです。金型は様々なイノベーションの重要なカギを握っています。
金型はいくつもの工程を経て作られます。成形を解析し→金型を設計し→NCプログラムを作り→工作機械で加工し→組み立て→微調整して仕上げて完成する。多くの金型メーカーはこれらの工程を社内で手掛けます。
金型メーカーの殆どは中小企業。技術者ひとりが複数の工程を兼務することもあり、いくつもの技術を習得できます。経営者との距離が近く会社が一丸となりプロジェクトに挑むこともあります。自らの技能を高め、チームプレーで課題に挑む魅力があります。
日本の金型はトップノッチの領域で世界をリードしています。微細や精密、高精度、新たな工法などの金型は日本が得意としています。自動車の電動化や自動運転、高速光通信、遠隔医療などの技術開発には日本の金型が大きく関わっています。
突き詰めて探求しノウハウをすり合わせて課題に挑む。そうした日本人の気質やものづくりの文化がマッチしているからだと思います。中国などが追い上げてきていますが、トップノッチの領域は今後も日本が先頭を走ると思います。
日本の金型メーカーがこれから取り組むべきは、社会の課題を解決する金型を開発することだと感じます。例えば、脱炭素という社会課題に対し、成形不良ゼロの金型を開発する。素材や生産活動の無駄を減らしCO2削減に貢献できます。
金型の殆どは発注者の要望で作ります。そうではなく金型メーカー自らのアイデアで社会課題を解決する金型を開発する。そうすることで社会に貢献し必要とされる。事業が成長し金型業界は新たな発展をすると思います。
型屋がなければ車は作れない

自動車は3万点以上の部品の集合体で、その8割以上が金型で作られています。スマホや電子機器など量産品も同様に全て金型が必要です。つまり、世の中の製品の大半は「金型屋が『できる』って言わない限り、成立しない」のです。それだけ金型は重要なものです。
しかし、その重要性は学生の皆さんにあまり知られていません。なぜなら、金型を始め、生産技術領域は大学や工業高校、専門学校のシラバスには入っていないからです。
しかし、知る人が少ないからこそ、金型づくりを知れば強みになります。例えば、自動車メーカーに入社を希望する人は、研究開発、車体設計、エンジン設計などを希望する方が多いでしょう。
しかし、そうした部署を目指すにしても、金型を知る学生が少ないので、金型の知識を持つ学生は間違いなく重宝されます。欧州の自動車メーカーでは、金型技術者が重要な地位を占めており、日本でもそうなっています。
入社後も本人次第で開発の最前線に立つことは可能です。デザインや研究開発など、どの道を行くにしろ、金型を知ることはアドバンテージになります。なぜなら、金型から見たデザイン、研究開発という希少な視点を持てるからです。
一方で、学生の皆さんにとって、金型がこれからも重要であり続けるかは気になるところでしょう。特に「AI時代」になろうとしている今、なおさらです。
しかし、私はむしろ「金型はAIに勝てる技術」かもしれないと考えています。なぜなら、限られた工程の中で、製品を量産化させる工夫や考えを提案すること、開発に携わる前後工程や協力先などの社外の人達との関係構築などは人間にしかできないからです。
ただし、注意は必要です。金型は設計や加工、仕上など多様な工程を経て出来上がります。金型の全体像を知らず、工程の一部しか知らない「専門家」になってはダメです。単なる「設計屋」、「機械屋」では、AIの進化によって、取って変わられるかもしれません。
そうならないためにも、常に好奇心を持ち視野を広げる努力をすること、そして人と違うことをやり続けてください。
金型しんぶん2026年9月10日号
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