日本金型工業会西部支部・型青会(清水一蔵会長・福井精機工業社長)は10月21日、会員で冷間鍛造金型を手掛ける阪村エンジニアリング(京都市伏見区)の工場見学会を開催した。 阪村エンジニアリングは、フォーマーメーカー阪村機械…
冷間圧造工具の一大生産拠点
三豊機工(愛知県春日井市)

冷間圧造工具で高いシェアを誇る三豊機工(舟橋佳孝社長、本社・愛知県春日井市)の生産拠点、鹿児島工場は、今年度も工作機械など最先端機械・装置の設備投資を継続し、技術革新に磨きを掛けている。「海外で生産するのでなく国内で生産することで最大の利点を生かす」(舟橋社長)ことがその背景にある。約2万㎡の広大な敷地にあるA~I棟まで9棟の工場(約8500㎡)では、高精度金型の生産と新製品開発が着々と進められていた。
鹿児島工場(鹿児島県南九州市川辺町)は、鹿児島県薩摩半島の中央部に面した盆地にある。1991年に操業し、2009年4月に本社と鹿児島に分散していた冷間圧造工具の生産拠点を鹿児島に集約し、一貫生産体制を整えた。
工場の他には、グループ会社が経営する薩摩黒豚や名古屋コーチンの飼育、さらには約450ヤード打ちっぱなしの天然芝のゴルフグランドなどがある。一口で言い表せば壮大で優雅で実益を伴ったところに工場がある。

冷間圧造工具は、鋼材の切断から切削加工、熱処理、研削加工、型彫り・ワイヤ放電加工、5軸マシニングセンタ加工を経て、ラップ、表面処理し、最後に寸法・形状を検査し出荷する。
設備機械は、標準品のように見えても特殊仕様に改造されているものが多く、舟橋社長が特に拘る工程は「焼入れ」。同社はサイズごとに炉を使い分け、最適処理を施している。焼入れのムラ、バラつき、硬さ不足、変形を一切嫌うためで、焼入れ後に全数硬度検査をする。
500台を超す設備機械・装置も目を見張らせる。頭の先から最終工程まで、全て内製で行っているところは類を見ない。日本の高精度工作機械のショールームと思わせるほど。

同社は過去、バブル崩壊、リーマンショックによる受注激減(Max70%減)の時も、売上高の10%の設備充実を図ってきた。舟橋社長曰く「10年前に比べ、現在の最新鋭工作機械の能力は3割向上、精度も高く、古い機械を3台入れ替えれば、4台分の仕事をしてくれるものもある」からで、金型は「良い時も悪い時も工場能力のレベルアップ」に欠かせないとしている。
また、同社は「拡大より充実」に力を入れる。日本国内で製造することで、最適な設備機械の入手と優秀な人財を確保することができる。特に、「鹿児島という立地は、人財確保の上でも大規模企業が多い他府県に比べて優位」とは舟橋社長。人と設備が充実すれば、品質が向上し、納期も短縮できることが鹿児島進出の決め手になった。その結果、受注が増え、売上げ拡大にもつながった。
昨年の売上高は約35億円。うち特殊品の受注が増えている。「標準品ではいくら品質が良く長寿命で、コストパフォーマンスが高くても、価格競争にさらされる」(舟橋社長)ためで、数年前から特殊品に注力している。
また、ここ最近特に取り組んでいるのが64チタンのねじ成形用金型。テスト用にホットフォーマーを導入し、部品メーカーの引き合いを増やしている。舟橋社長は、「こういう圧造用金型が欲しい。難しい型だが三豊機工に相談してみよう・・・という文化を定着させたい」(舟橋社長)と、違いが分かるメーカーを目指している。
金型新聞 平成27年(2015年)10月20日号
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