金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…
がんばれ!日本の金型産業特集
アタイス工業 荒木 孝信 社長
異形・複雑、自由自在
試作で開く鍛造の可能性
ドーン…。鍛造プレス機が金型を打ちおろす音が場内に響く。金型を開き、そこから出てきたのは直径わずか9㎜ほどの金属の歯車。傾斜のある小さな歯が10個あり、この細かな形状を多軸プレス機で仕上げる。
ここは冷・熱間鍛造金型メーカー、アタイス工業・本社工場のトライ施設。自動車部品メーカーなどから依頼を受け、開発した金型を試し打ちする。試作結果は設計や製造にフィードバックし、金型の調整と試作を重ね、最適なプレス加工条件を導き出す。
トライ施設は新たな領域の金型の技術研究を目的に2015年に新設した。奥田和匡技術部長は「新素材や薄肉、中空、複雑形状など様々な部品の金型開発にチャレンジしている」と話す。
そうした新たな金型への挑戦を支えているのは、1968年の創業から約50年の間に培ってきた高度な金型づくりの技術だ。鍛造金型はパンチやダイの仕上がりや型構造が耐久性や塑性加工精度のカギを握る。奥田技術部長は「磨き、型設計、解析などの技術を高め、独自の金型技術を確立してきた。これが開発の技術の基盤となっている」。
いま取り組んでいるのは、次世代自動車に用いる部品の金型だという。荒木孝信社長は「開発への道筋をつけ新たな領域を開いていきたい」と意気込む。
磨きのノウハウ、マンツーマンで
鍛造金型には数万~数十万個の部品を一定の高い品質で生産し続ける加工精度や耐久性が求められる。荒木社長は、そうした金型の性能を高めるにはパンチやダイなどの内面を極めて滑らかに仕上げることが最も重要だという。
そのためアタイス工業では磨きの技術者の育成に力を入れている。砥石の選び方や使い方を熟練者が若手にマンツーマンで指導。1000分の1㎜台の精度に仕上げる技能を次代に伝承している。
荒木社長は、「精密な磨きは、緻密で感性の高い日本人の最も得意とする分野。五感を生かして精度の高い磨きができる技術者を育てていきたい」と話す。
アタイス工業は広島(広島アタイス工業)や兵庫(アタイス)、奈良(キョーシン)に製造子会社があり、ここでも技術者が金型を磨き、4社で月に約4000型を生産する。
グループ4社は2008年のリーマン・ショック後、大幅に受注を落としたものの、その2年後にはリーマン前の水準に回復。荒木社長は「当社の高い技術力が認められたからだと思う。なかには海外進出した企業からの受注もあった」という。
荒木社長は日頃から社員に「和を大切に」と指導する。「金型は個人プレーでは作れない。磨き、加工、測定、そして幹部、新人の全ての人が力を合わせることが競争力へとつながる」。
会社メモ
代表者=荒木孝信氏
創業=1968年
所在地=大阪府東大阪市水走3-10-20
資本金=3500万円
TEL=0729-62-5151
FAX=0729-62-4545
関連子会社=広島アタイス工業、アタイス、キョーシン
従業員数=単体55人、連結193人
事業内容=冷・熱間鍛造金型設計・製作
主な設備(グループ全体)=5軸マシニングセンタ4台、3軸マシニングセンタ8台、ターニングセンタ1台、放電加工機32台、ワイヤ放電加工機15台、細孔放電加工機6台、NC旋盤27台、複合NC旋盤2台、汎用旋盤37台、ターレット旋盤2台、ポリゴン研削盤1台、プロファイル研削盤1台、円筒研削盤18台、平面研削盤23台、内径研削盤15台、砥石成形機1台、フライス盤23台、カールツァイス製3次元測定器3台、コントレーサ4台、画像測定器5台、熱処理炉3台。
金型新聞 平成29年(2017年)4月12日号
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