金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

24

新聞購読のお申込み

がんばれ!日本の金型産業特集
浅井金型 浅井 理男 社長

金型を軸にものづくりプロデュース

デザインから成形まで一貫サポート

浅井金型 技術 プラスチック金型の製造及び成形(360tまで)行う同社が力を入れているのは『製品デザイン』から手掛け、金型及び成形(1000個から)まで一貫生産でサポートする企業だ。従来、金型販売を主力としていたが、「リーマンショックで仕事が減った」と金型需要の減少、価格競争化といった時代の変化を感じていた。

そこへユーザーから板金で出来た空気清浄機を樹脂化したいと依頼が舞い込む。ところが「製品図面がなくデザインから考える必要があった」と、デザイナーを求め、大阪工業大学の細野幸敏教授と出会い、大学生に製品デザインを依頼。学生も企業から金型を学ぶチャンスと協力関係ができる。これをきっかけに現在は大阪デザインセンターを中心とする産学連携のものづくりデザインサポートに参加。

その後、新価値創造展など展示会にも出展する。「デザインも含めた一貫生産の依頼はある。当社ですべて行ってほしいという要望も多い」と浅井社長。新商品の企画も同展示会で受注し、金型作りを軸としながら『ものづくりプロデュース』という次世代に向けた新しい基盤作りに力を注ぐ。「同業者や異業種とも連携している」と、ものづくりに困っている企業をサポートしながら、会社の将来像を浅井社長は「若い子が金型屋でお金儲けができる企業にしたい」と若い人材の活躍で企業の活性化を図る。

他社とコラボし、スタッフ同士で情報交換

浅井金型 人 「若い世代が金型について知らないのは金型企業が情報を発信してこなかったからだと思う」と浅井社長は危惧し、もっと企業情報(技術も含む)をオープンにすることが重要と説く。同社は『ものづくりプロデュース』を立ち上げる中で、近隣の金型メーカーや異業種企業とコラボレーションし、スタッフ間の交流も積極的に行う。「他社の金型屋を見る機会は少ない。スタッフ同士ならどんな加工しているのか、どんな工具を使っているのかなど情報を得ることができる」。

さらに20代の若手も採用。金型を知らなかったため、互いを良く知ろうと長期間にわたり面談などを繰り返した結果、浅井社長は将来の同社のイメージを描く。それは若手社員をもっと営業など外の世界へ行かせ、ベテランの金型職人は彼をバックアップする体制にし、若手社員中心の『ものづくりプロデュース企業』へと変革することだ。

加えて、社内改革にも着手。浅井社長は営業に集中し、工場の生産計画などは現場が指揮を執る。受注が増えた場合、生産計画を現場が考え判断する「考える体質づくり」を推進し月毎の売上の見える化を図った。社外向けにはHPや社長ブログを通じて情報発信を強化するほか、金型のコストダウンを図れる「金型のチェンジシステム(ベースを共有し入れ子を変える)」も提案。「情報をオープン化するのは勇気がいる」。技術流出などリスクもあるが、「企業をオープンにし、情報を発信することは信頼も得られる」と自信を見せる。


会社メモ

浅井理男社長

浅井理男社長

代表者=浅井 理男氏
設立=1987年
資本金=1000万円
住所=大阪府羽曳野市誉田1641番地
電話=072・956・9037
FAX=072・956・9041
HPhttp://www.a-mold.co.jp
従業員数=6人
受賞歴=医療機器製造一般、エコアクション21、経営革新計画承認企業、大阪ものづくり優良企業賞2012『匠』、平成27年がんばる中小企業小規模事業者300社など。
主な設備=マシニングセンタ(牧野フライス製作所)、NCフライス盤(牧野フライス製作所)、立形フライス盤(牧野フライス製作所)、ワイヤー・放電加工機(三菱電機)、樹脂成形機(日精樹脂工業)、3次元CAD/CAM(ヴェロジャパンなど)。


金型新聞 平成29年(2017年)4月12日号

関連記事

アルム NCプログラム自動作成ソフトの1カ月無料体験キャンペーンを実施

アルム(石川県金沢市、076-225-7743)は機械工具商社ジーネットと連携し、3月から全国の部品加工や金型メーカーを対象に、NCプログラム自動作成ソフト「ARUMCODE1」を1カ月間無料で試用できる体験版USB無料…

【INTERMOLD・金型展・金属プレス加工技術展 総集編】
金属プレス加工技術展

新素地、軽量化に対応 海外でのサポート力も  自動車業界がCASEによって大変革期にある中、金型メーカーだけでなく、プレス部品メーカーも大きな変革に迫られている。こうした中で、20数社が出展した金属プレス加工技術展では、…

2月の金型生産実績

2月の金型生産実績

前年同月比 5.7%増の361億1,900万円 プレス型は9.5%増、プラ型は2.7%増   日本金型工業会(会長牧野俊清氏)は、経済産業省機械統計(従業員20人以上)による2017年2月の金型生産実績をまとめた。それに…

深穴座ぐりを工程短縮
ダイジェット工業

タイラードリル3D・5Dタイプ ダイジェットの公式製品紹介は、こちらから 現場の課題  金型への3L/Dや5L/Dなど深穴の座ぐりで、効率良く高精度に加工できる工具が求められていた。 提案・効果  「3Dタイプ」と「5D…

抜き加工のカス上がり防ぐ〜ハルツ〜

独自のボタンダイ開発  プレス金型メーカーのハルツ(横浜市金沢区、045-783-8601)はこのほど、抜き加工のカス上がりを防ぐボタンダイを開発した。ダイの内径にボールプランジャーや凸材を埋め込み、抜きカスが上がるのを…

関連サイト