金型新聞 平成29年(2017年)1月20日号
周辺技術の進化でIoT加速
インターモールド2017〜進化する金型〜
金型がデータ収集 遠隔監視や事前予測
金型メーカーが、生産性の向上や金型の高機能化にIoTを活用する動きが広がっている。金型そのものの品質やコスト、納期に次ぐ、新たな価値を生み出し競争力を強化するのが狙い。センサなどの周辺技術の進化により、IoTに対応する動きが加速しそうだ。
金型分野でのIoTには、大きく分けて2つある。一つは、他の製造業と同様、工場をIoT化するというもの。今回のインターモールド2017でもIoTに対応した機械や機器、ソフトウェアなどが多数出展される。セキュリティ面や、通信規格の統一など普及への課題はまだまだ多いが、その技術動向は常に注視しておく必要がある。
一方で、もう一つの動きとして挙げられるのが、金型自体をIoTに対応させるもの。金型自体に温度や、圧力、音など様々なセンサを取り付けて「知能化」することで、稼働時のデータを収集・解析する。そこから得た情報を使って、遠隔監視や、不具合の事前予測、トレーサビリティ、条件出しのサポートなどに活用できる。すでに、金型メーカーを中心にそうした技術開発が進められている。
プラスチック金型メーカーのIBUKI(山形県西村山郡)や、岐阜多田精機(岐阜県岐阜市)は、大学やコンサル企業と連携して、センサを埋め込んだ金型を開発。温度、圧力など金型内のデータを収集し、金型立ち上げ時のトラブル防止や不具合発生時の原因究明に役立てようとしている。
プレス金型メーカーの日進精機(東京都大田区)は、IT企業と共同でプレス音から異常を検知するシステムを開発した。プレス機に音センサを取り付け、データを蓄積。過去のデータと比較し、事前にトラブルを防ぐサービスを提供する。
鍛造金型メーカーのヤマナカゴーキン(大阪府東大阪市)では、ドイツ製のボルト型センサを販売し、鍛造工程をモニタリングする技術を開発している。
また、金型メーカーだけでなく、金型部品、ソフトウェア、設計など幅広い企業が連携して、こうした機器やサービスを開発している。クライムエヌシーデー(神奈川県相模原市)の高橋百利会長を中心とした組織「かしこい金型研究会」がその一つだ。同会は、IT技術を活かした金型づくりを目指し、様々な企業や大学が連携して研究を進めている。現在は、パンチの欠損を自動検知するシステムなど8つのテーマを研究中だ。
こうした動きの背景にあるのは、「金型の付加価値をいかに高められるか」。かしこい金型研究会の高橋会長は、「今までの低価格、短納期、高品質だけで差別化を図るには、限界がある」と話す。金型に新しい価値を加えるツールとして、IoT技術をうまく活用することが、競争力を高めるために必要となっている。
また、成形メーカーも「金型のIoT化」を望む。あるプレスメーカーは、「生産工程の改善や、生産ラインを遠隔監視するために、金型の稼働率を可視化したい」と話す。すでに一部の大手企業では、そうしたシステムの導入が進んでいるという。
今回のインターモールドでも、金型内の圧力や温度を計測できるシステムやセンサなど、金型をIoT対応させるために必要な製品が多数出展される。また金型展では、実際にIoT対応への技術開発を進める企業の展示も見られる。工作機械などの生産設備だけでなく、こうした製品や技術にも注目したい。
※カッコ内は型種IBUKI(プラスチック)
金型に温度や圧力、接触式センサを埋め込み、成形時の金型内データを収集する。
かしこい金型研究会(プレス)
複数の企業で、金型部品の欠損を自動検知するシステムなどを開発中。
岐阜多田精機(プラスチック)
金型に様々なセンサを取り付け、型内の温度や圧力の変化を計測する。
日進精機(プレス)
プレス機に音センサを取り付け、プレス音から異常を検知する。
ヤマナカゴーキン(鍛造)
ドイツ製のボルト型センサを輸入販売。
金型新聞 平成29年(2017年)4月12日号
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