金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

15

新聞購読のお申込み

高濃度セルロースファイバー
パナソニック

材料と成形方法を確立 

新素材で成形したワーク

 パナソニックマニファクチャリングイノベーション本部はセルロースファイバーを55%以上の高濃度で樹脂に混ぜ込む複合技術と、その成形技術を確立した。素材の軽量化やプラスチックの削減、木目調の自然な外観などの利点を生かし、アサヒビールと共同でビール用カップ(写真)も開発した。強度や色彩など素材の特性をさらに高め、パナソニックの家電製品などへの採用を広げる考えだ。

 一般的にセルロースナノファイバーはパルプ繊維をほぐすのに水を使用し、再乾燥させるため多くの二酸化炭素を排出する。同社では水を使わず、溶けた樹脂内で繊維をほぐし、二酸化炭素の排出も少なくて済む「全乾式プロセス」を開発した。このプロセスで製造した素材は「セルロースファイバーは直径10~20μmのものが多く、一部にナノサイズのものも含むことが特長」(マニュファクチャリングソリューションセンターの大熊崇文課長)だ。

 18年には、この素材を柄の部分に採用したクリーナも発売し、従来比で1割以上の軽量化に成功した。今回はこの時よりも高い55%以上の濃度で樹脂に混ぜ込む複合技術を開発した。高い濃度ながら、白色の材料の生成を可能にし、着色の自由度も増したという。「ここまで高い濃度のものはあまりない」(大熊氏)という。

 合わせて、高濃度な素材を成形する加工技術も確立。「金型、成形ともに様々なノウハウが盛り込まれている」(成形技術開発センター峯英生課長代理)ため、詳細は明らかにできないが「流動性や金型の温度管理、ガス抜きなど様々な工夫を凝らしている」(峯氏)という。

アサヒビールとカップ開発

 今夏には、この55%以上の高濃度なセルロースファイバーを使ったビール用カップをアサヒビールと共同で開発した。従来のポリプロピレン(PP)を使ったカップに比べ、大幅にプラスチックの使用量削減につながった。着色剤がなくても、自然な木目調の外観や、色合いをランダムに変えて成形もできるという。

 今後について、峯氏は「素材の特性を高めるとともに、独特の色合いを出したり、色むらの再現性を高めたりしていく。まずは家電製品を中心にパナソニックの製品群に提供していくが、アサヒビールのようなパートナーとも手を組み、採用を拡げていきたい」としている。

金型しんぶん 2019年12月10日

関連記事

金型組立を省力化
ユーロテクノ

エアクッション金型組立台  ユーロテクノ(東京都杉並区、03・3391・1311)はこのほど、エアで金型を浮かして組み立てを簡単にする作業台「エアクッション金型組立台」を発売した。  オーストリア・モイスブルガー社製。可…

【ウェブ限定】最新AM機の受注開始―DMG森精機

【ウェブ限定】最新AM機の受注開始―DMG森精機

SLM式で小物を造形 子会社REALIZER社とコラボ  DMG森精機はこのほど、積層造形技術のセレクティブレーザメルティング方式(以下、SLM)を用いたLASERTEC30SLMの受注を始めている。同製品は今年2月に子…

【金型テクノラボ】岡本工作機械製作所 大型プレートの高精度、高効率な平面研削技術

順送プレス金型などの大型プレートは、平面度を維持するために再研削によって何度も繰り返し使用されている。また、焼き入れ処理を行うため、反りが発生し、加工時間の増加や測定方法などが課題となっている。ここでは、このような金型プ…

イイダモールド 樹脂製梱包装置を開発

輸送コストを大幅削減  樹脂射出成形用金型などを手掛けるイイダモールド(茨城県筑西市、0296-22-7256)はこのほど、金型などの重量物を輸送する新しい梱包装置「ファストキャリー」を自社で開発し、発売した。木枠が不要…

瑞穂工業 コーティングとは異なる表面処理技術『SurmoX処理』【金型テクノラボ】

様々な分野で超硬合金の金型が使用されているが、その寿命向上が課題となっている。コーティングとは異なる表面処理技術である『SurmoX処理』(写真・断面図)は、冷間鍛造金型や伸線ダイスの凝着抑制、粉末成形金型の離型性向上・…

関連サイト