金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

28

新聞購読のお申込み

迫る人材不足 自動化投資待ったなし
ロボやAGVなど多様化

 自動化への投資を積極的に行う金型メーカーが増えている。人材不足が顕著になり、働き方改革など長時間労働を是正する動きが増えるなかで、生産性を高めるには自動化が不可欠だからだ。これまでのオートルーツチェンジャー(ATC)やオートワークチェンジャー(AWC)などを活用した工作機械の稼働率を高める動きに加え、近年ではロボットを活用したり、自動搬送車(AGV)を導入したりするなど、自動化も多様化している。自動化投資を積極的に続ける現場を取材した。

自動搬送ロボットが動く三豊機工の工場内

 「採用には本当に苦労している。新卒は大半が大手ユーザーに行く」。中部地区の超大手の金型メーカーが嘆くほど、金型業界も人材確保は難しい。今年8月の全国の有効求人倍率も1・63倍と高止まりしており、少子高齢化が進む中で、人材の悩みは改善しそうにない。そんな状況が続く中、生産性を高めるために、自動化投資を行う金型メーカーが増えている。

 ランプなどのプラスチック金型を製造する名古屋精密金型(愛知県知多郡)が取り組むのは機上測定を活用した生産性の向上だ。最近導入した大型マシニングセンタに機上計測機を搭載。これまで人が行っていた測定作業を自動化するとともに、測定することで加工後の「戻り」を減らす。

 冷間鍛造金型の日新精機(埼玉県春日部市)では機械加工の自動化を進める。多品種少量でも夜間運転ができるようにATC搭載の放電加工機などを導入。これまでの電極作成の効率をほぼ倍増させた。昨年にもAWC付きの高精度5軸機を導入し、夜間の電極自動加工を進めている。

 こうした機械加工での自動化に加え、最近ではロボットやAGVを活用した自動化の動きも金型業界で広がってきている。

 冷間鍛造用金型の三豊機工(愛知県春日井市)では、自動搬送ロボットを2台導入。決められた時間に巡回するものと、呼び出しに応じて動くものを使い分けている。目的は人の移動を減らすこと。舟橋佳孝社長は「無駄な運搬を減らせば人は持ち場を離れず、加工に専念できる」と話す。

 ロボットの活用で付加価値を生み出そうとしているのが、CFPと呼ばれる板鍛造技術メーカーのサイベックコーポレーション(長野県塩尻市)だ。同社は、双腕型協働ロボ2台、多関節6軸ロボ6台を導入し、既に、医療部品向けの自動化を実現している。平林巧造社長は「詳しくは言えないが、これまでの金型とプレス技術に自動化で価値を付加できるよう現在研究している」という。

 人手不足が加速するなか、いかに人を介さず生産性を上げるかー。自動化への工夫がこれまで以上に金型づくりでの課題となってきそうだ。

金型新聞 平成30年(2018年)10月10日号

関連記事

【金型生産実績】2021年6月 9.7%減の283億8,000万円

プレス型は14.0%減、プラ型は15.0%減 2021年6月の金型生産は、前年同月比9.7%減の283億8,000万円となったものの、前月比では25.5%増と大きく回復した。数量は前年同月比23.4%増と大幅に増加したが…

広がる微細精密の世界インターモールド2017〜進化する金型〜

広がる微細精密の世界インターモールド2017〜進化する金型〜

広がる微細精密の世界 面粗さRa0.1㎛以下要求  微細精密な金型を求める動きが強まってきている。電気自動車(EV)や、自動運転、安全機能の強化など自動車の高機能化で、「車の電子化」が進み、車載用電子部品やLEDなどの微…

三恵技研工業 増肉加工、超ハイテン冷間プレス【特集:プレス加工の未来】

自動車用マフラーやボディ部品などを手掛ける三恵技研工業(東京都北区、03・3902・8200)は近年、プレス加工の技術開発に力を入れる。主要顧客である自動車産業でEV化や現地生産化が進み、事業環境が大きく変化する中、増肉…

ジェービーエムエンジニアリング 積層専用CAMに条件パラメータを自動制御できる機能を追加

  高速・高精密積層加工を実現 ジェービーエムエンジニアリング(大阪府東大阪市、06-6744-7331)は積層専用CAM「ADDITIVE MASTER LUNA」に、新機能「リアルタイムプロセスコントール」を追加した…

日本電産マシンツール 金属3Dプリンタの中型機を開発

JIMTOFで初披露 日本電産マシンツールは、パウダDED方式を採用した金属3Dプリンタ「LAMDAシリーズ」に中型機「LAMDA500」を追加、9月1日から販売を開始した。 最大造形サイズは、航空・宇宙、自動車、建設機…

トピックス

AD

FARO スキャンしたらすぐに結果まで:工数低減を実現

金型のメンテナンス、修復、複製に3次元測定アームを活用 製品を製造するために欠かせない金型ですが、そのメンテナンスには多くの課題が存在します。金型は使用するうちに摩耗し、時... 続きを読む

関連サイト