多様な成形品、技術を披露 エンドミルの製造工法やモーター関連の成形品も 金型展2022では、最新技術を駆使して作った金型や成形品が披露された。現在のトレンドとなっている持続可能な社会や電気自動車に関連する成形品など、様々…
インターモールド2024総集編
4月17~19日にインテックス大阪(大阪市住之江区)で金型加工技術の専門展「インターモールド2024」が開催された。工作機械や切削工具、ソフトウエア、測定機器メーカーなど376社が出展。併催の「金型展」や「金属プレス加工技術展」も含めて3万7,057人が来場し、多くの金型メーカー経営者、技術者などで賑わった。会場では金型現場の課題を解決する最新技術が展示された。技能レス、自動化、デジタル活用など、会場で注目を集めた展示を紹介する。
「技能レス」で人手不足対策、熟練技能を誰でも簡単に
労働人口の減少はあらゆる産業で喫緊の課題。このため、今回のインターモールドでは「人手不足対策」を意識した展示が多かった。中でも、熟練技能を持つ技能者不足が顕著なことから、初心者でも高度な加工や段取りができる「技能レス」の提案が目立った。
工作機械メーカーでは、安田工業が「精度だけじゃないスマートYASDA」をテーマに、加工の効率化をアピールした。そのひとつが「加工原点の設定をプログラムなしでできる機能」。コントローラでモニタを確認しながら設定したい地点にプローブをワークに当てると原点設定ができる。プログラム作成のノウハウが必要ないため、新人技術者もその作業ができるという。
三菱電機は機上計測を搭載したワイヤ放電加工機「MPシリーズ」を展示。機内で測定でき、測定から追い込み加工までの段取りを削減でき、加工時間を大幅に短縮につながる。高度な技能が必要な再段取りが不要なため、熟練作業者でなくても加工ができる。CAMとも連携し、測定プログラムを加工機に入力しなくても、CAM上で設定ができる。
一定のスキルやノウハウが求められる研削盤でも「技能レス」の展示が目立った。ポイントナインは「平面研削盤用画像投影システム」を発表。CCDカメラで最大600倍までワークを拡大でき、0.001㎜の位置決めが容易にできる。このため、熟練作業者でしかできなかった追い込み加工を簡単に行うことができる。
アマダマシナリーはデジタルプロファイル研削盤「DPG-150」を出展。デジタルプロジェクターを搭載し、技能が必要な計測をデジタル化することで、経験の浅い技術者でも高精度な加工を可能にした。
牧野フライス製作所は刃先の高さを簡単に調整できるフライスカッタ「フラッシュセットミル」を発表。これまで職人が行ってきたフライスカッタの刃先高さの調整を締付時に1μm以下に簡単にそろえることができる。10枚刃では従来60分かかっていたものが10分でできるという。 ブルーム‐ノボテストはワーク測定用ソフトの新版「フォームコントロールⅩ(エックス)」を発表した。加工後のワーク形状を工作機械内で自動測定。その測定結果に基づき、工具の摩耗補正までを自動で行い、追加工をしやすくした。また、対話式のアプリケーションで、測定プログラムを簡単に作成できるほか、測定パスの最適化機能も搭載している。
AI活用した機械やソフト、DX実現するITツール
金型現場のデジタル変革(DX)を実現する製品やサービスのニーズが増す中、機械やソフトウエアメーカーはAI技術を活用した製品を展示。また、スタートアップ企業によるITツールの展示や、自社で内製したシステムを外販するメーカーの展示も目立った。
三菱電機は、新型の大型形彫り放電加工機「SG70」を展示した。加工状態に合わせて条件を自動で調整する独自のAI技術「Maisert(マイサート)」を搭載し、オペレーターによる加工のバラつきを低減。大物ワークでも安定し高精度加工を可能にした。
C&Gシステムズは、AIによって切削条件を自動算出できる機能を実装したCAD/CAM「CAM-TOOL(キャムツール)」の新版「20.1」を発表した。同機能は同社に加え、MOLDINO(モルディノ)、ゼノーテック、岡山大学との4者共同で開発。被削材のデータと、MOLDINOの工具データを入力すると、「データマイニング」を活用したAIが最適な回転数、送り速度、最大切込み量の最適な条件を算出する。使用した切削条件はデータベース化し、自社の加工ノウハウとして蓄積していくことができるという。
また、生産管理システム「AIQ(アイク)」でも、オプションとしてAIによる類似図面検索機能を搭載。過去のデータから類似図面を検索可能。設計だけでなく、見積もりや、工数計算にも活用できるという。
こうした機械やソフトメーカーに加え、新たに金型産業に対してITツールを提案するスタートアップ企業の展示も少なくなかった。2016年に創業したカミナシが展示したのが、現場における検査記録や点検表、報告書や日報などあらゆる紙業務を電子化するクラウドシステム「カミナシ」。ノーコードで既存の紙帳票を専用アプリに落とし込むことができ、簡単に導入することができるという。
2018年創業のTebikiは、クラウド教育システム「Tebiki(テビキ)」を展示。同システムは、「動画で学ぶ現場のカンコツ」をテーマに、スマホで撮影した動画を簡単に編集でき、いつでもどこでも視聴できる技能伝承ツールとして開発。紙のマニュアルや熟練者からの指導を動画に置き換えることができ、これまで伝えるのが難しかった現場の勘・コツを分かりやすく教えることができる。
また、社内改善のために内製したITシステムを外販する企業も目立った。大同メタル工業は、VRコンテンツが簡単に制作できるクラウドソフトを展示。熟練作業者の作業動画をクラウド上にアップロードし、画面の指示に従って操作するだけで、簡単にVRコンテンツが作成可能。動画と違って360度から作業風景を見ることができる。自社の軸受生産工程向けに内製したもので、金型業界での需要も見込み、出品したという。 岐阜県のプレス加工メーカー、樋口製作所は、内製した3Dモデル解析システム「Hawk AI」を展示。熟練技能者のノウハウを蓄積したAIによって、読み込んだプレス図面から加工実現性を解析し、問題点や対策のフィードバックが可能。熟練技能者でなくても加工前の打ち合わせで問題個所を洗い出すことができ、顧客へのレスポンス向上が期待できる。ノウハウの継承、人材育成にも活用できるという。
協働ロボットによる自動化提案目立つ
従来の産業用ロボットとは異なり、安全柵なしでも設置できる協働ロボット。限られた作業空間や、小規模な生産ラインでも導入でき、現在多くの製造現場で採用が進んでいる。「インターモールド2024」でも協働ロボットを活用した展示が多くみられた。
ミツトヨは、三次元測定機「MiSTAR555」に協働ロボットとワークストッカーを組み合わせてパッケージ化した「MiBOT e-system」を展示。短期間でシステム立ち上げが可能なため専門人材がいなくても簡単に自動化システムの導入が可能。また、ワークの搬送や段取りだけでなく、測定プログラムの作成も自動測定プログラム生成ソフトウエア「MiCAT Planner」によって自動化。測定にかかる工数を大幅に削減できるという。
オークマは、立形マシニングセンタ「MB-46V」と移動式協働ロボット「OMR20」を組み合わせた展示を披露。ロボットのプログラム作成やセッティングは、ガイダンスに従うだけで簡単に行うことができ、ロボットのティーチングも必要ないという。ワークは最大30種類まで登録可能。会場では銅電極加工の自動化を実演した。
産業機械輸入商社のユニテック・ジャパンは、金属表面処理装置「ユニフィニッシュ」に協働ロボットを組み合わせた磨き処理の自動化システムを披露した。「ユニフィニッシュ」の横にロボットとワークストッカーを配置し、ロボットがワークを装置内に投入。自動で表面処理を行い、ワークを交換していく。これまで時間や手間がかかっていた磨き工程を自動化し、省人化につなげることができるという。
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