生産性1.5倍に 7月から本格稼働 キヤノンモールド(茨城県笠間市、0296-77-8171)が建設を進めていた「本社・友部事業所」が4月に竣工した。同市内に分散していた6工場を集約し、生産効率を高める。7月には本格稼働…
IoT金型でサブスク型ビジネスモデルを構築 IBUKI【特集:利益を生むDX】
DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。
IoT×特許で価値創造

繁閑の波が激しい中で、いかに売上を安定させるか、金型メーカーにとって大きな課題だ。加飾技術に強みを持つIBUKIはセンサを内蔵したIoT金型を活用し、成形数に応じて利益をもらうサブスクリプション(定額課金型)や、特許による知財戦略で収益の安定化を図っている。
同社では7年前から、金型内にセンサを取り付け、不良現象の数値化や不良時に警告を出すIoT金型を手掛けていた。サブスクを考えたのは「加飾技術を使いたい」という中国企業からの要望がきっかけ。「タッグを組むなら金型販売にとどまらず、技術や指導料も含んだ形にできないか」(中東秀喜社長)とサブスクを検討した。

加飾技術を盛り込んだIoT金型の販売費に加え「IoT金型で成形数を数え、その製品1個当たりの利益に対して一定割合の金額を頂く」(中東社長)2段階で収益に貢献する形にした。
ただ、両社でこのビジネスモデルは合意しているものの、完成に至っていない。「中国では無形のサブスクに対して会計や税務の解釈が難しい」からだ。中東社長は「中国でやり方を再考する一方、(サブスクで利益還元しやすい)欧米でも検討したい」という。
一方、国内でもIoT金型は浸透し始めている。金型費は1・2倍~1・5倍になるそうだが、「金型内の見える化によって、不良要因の早期特定や不良率の低減に繋がったなどの評価を頂いている」。売上全体の1割程度をIoT金型にしたいという。
IoTで収益化を模索する、もう一つが特許による知財戦略だ。これまで「技術流出は止められないため、特許を積極的に取得していなかった」という。しかし、「特許とIoTを活用すれば、守りや攻めにも生かせるのではないか」と考え、特許取得を進めている。
想定するのが次のような形だ。例えば、サブスク契約したIoT金型で成形を管理できれば金型技術を悪用されにくい。また「特許を取得していれば、特許料やIoT使用料など別の形でお金を頂戴することも可能ではないか」という。こちらのビジネスはまだ検討段階だが、「IoT×特許」で新たな収益モデル構築を目指す考えだ。
会社概要
- 本社: 山形県西村山郡河北町谷地字真木160-2
- 代表者:中東秀喜社長
- 設立: 1956年
- 従業員: 61人
- 事業内容:射出成形用の金型の設計・製造、各種プラスチックの成形品の試作及び量産。
金型新聞2023年2月10日
関連記事
「SAIMS247」の推進役、藤木孝弘専務はその目的の一つに「次の50年を担う人材の育成」があるという。自らの体験を振り返りつつ、思いを語ってもらった。 金型の魅力をもっと社員に知って欲しい SAIMS247のもう一つの…
国内最大の工作機械展いよいよ開幕!! 世界最大級の工作機械見本市「JIMTOF2022(第31回日本国際工作機械見本市)」が11月8日から13日までの6日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕する。主催は東京ビッグサ…
プラスチック射出成形用金型メーカーの豊洋エンジニアリング(福岡県遠賀町、093-293-0114)は4月1日、「T・D・Cモールド」に社名を変更した。創業から30期目を迎えるのを機に、精密金型や微細加工を得意とする企業の…
超精密、高精度、短納期、長寿命化—。こうした高度化する金型へのニーズに対応するには、あらゆる加工技術や素材技術が必要だ。中でも、鏡面性が得られるのか、離型性が高いのか、長寿命化が図れるのかなど、金型の本質的な機能に直結…


