従業員が満足して働ける、働きやすい魅力的な職場を作ることで、多様な人材が企業に集まってくる。そうして集まった人材は、長く会社にいて力になってくれる。そんな考え方から独自の社内制度を設け、活用する企業は多い。では、金型メー…
IoT金型でサブスク型ビジネスモデルを構築 IBUKI【特集:利益を生むDX】
DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。
IoT×特許で価値創造

繁閑の波が激しい中で、いかに売上を安定させるか、金型メーカーにとって大きな課題だ。加飾技術に強みを持つIBUKIはセンサを内蔵したIoT金型を活用し、成形数に応じて利益をもらうサブスクリプション(定額課金型)や、特許による知財戦略で収益の安定化を図っている。
同社では7年前から、金型内にセンサを取り付け、不良現象の数値化や不良時に警告を出すIoT金型を手掛けていた。サブスクを考えたのは「加飾技術を使いたい」という中国企業からの要望がきっかけ。「タッグを組むなら金型販売にとどまらず、技術や指導料も含んだ形にできないか」(中東秀喜社長)とサブスクを検討した。

加飾技術を盛り込んだIoT金型の販売費に加え「IoT金型で成形数を数え、その製品1個当たりの利益に対して一定割合の金額を頂く」(中東社長)2段階で収益に貢献する形にした。
ただ、両社でこのビジネスモデルは合意しているものの、完成に至っていない。「中国では無形のサブスクに対して会計や税務の解釈が難しい」からだ。中東社長は「中国でやり方を再考する一方、(サブスクで利益還元しやすい)欧米でも検討したい」という。
一方、国内でもIoT金型は浸透し始めている。金型費は1・2倍~1・5倍になるそうだが、「金型内の見える化によって、不良要因の早期特定や不良率の低減に繋がったなどの評価を頂いている」。売上全体の1割程度をIoT金型にしたいという。
IoTで収益化を模索する、もう一つが特許による知財戦略だ。これまで「技術流出は止められないため、特許を積極的に取得していなかった」という。しかし、「特許とIoTを活用すれば、守りや攻めにも生かせるのではないか」と考え、特許取得を進めている。
想定するのが次のような形だ。例えば、サブスク契約したIoT金型で成形を管理できれば金型技術を悪用されにくい。また「特許を取得していれば、特許料やIoT使用料など別の形でお金を頂戴することも可能ではないか」という。こちらのビジネスはまだ検討段階だが、「IoT×特許」で新たな収益モデル構築を目指す考えだ。
会社概要
- 本社: 山形県西村山郡河北町谷地字真木160-2
- 代表者:中東秀喜社長
- 設立: 1956年
- 従業員: 61人
- 事業内容:射出成形用の金型の設計・製造、各種プラスチックの成形品の試作及び量産。
金型新聞2023年2月10日
関連記事
金型材で困りごとは? 11月まで 大同特殊鋼は8月から日本全国の金型メーカーらを対象としたアンケート調査を実施する。金型材の使用状況や、困りごとなどをヒアリングし、材料開発につなげる。 本紙発刊の「金型工場名鑑」のデータ…
誰でも高精度な研削 金型づくりで欠かせない研削加工。仕上げに近い工程のため、熟練技能を必要とする領域は多い。しかし近年、長年培った経験やノウハウを持っていなくても高精度の研削加工ができる機械や装置などが登場している。人手…
現場の生産性向上、人手不足の解消に向けて、多くの金型企業が関心を寄せる自動化。近年の自動化技術は目覚ましい進化を遂げており、ロボットやIoT、AIなどの次世代技術によって、これまで以上に高度な自動化が可能になっている。こ…
実機展示、セミナーも開催 スイスの工作機械メーカー、GFマシニングソリューションズの日本法人(横浜市神奈川区、045・450・1625)が、横浜ショールームを改装、拡張した。フロア面積を約2・5倍に拡大。展示スペースを広…