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長瀬産業 金型冷却水管の洗浄液、メンテ効率良く短時間に

化学品や電子材料など国内有数の化学専門商社の長瀬産業(大阪市西区、06・6535・2410)はアルミダイカストやプラスチック金型などのメンテナンスに最適なシリカスケール除去液「N‐SR004B」(特許出願済み)を開発した。金型の冷却水管内に堆積したシリカスケール(水垢など)を簡単に除去し、メンテナンス作業の効率化を図ることができる。

ダイカストは高温で溶融したアルミを成形するため、冷却水管にシリカスケールが堆積しやすく、メンテナンスはドリルを使用して手作業での除去、または洗浄液を使って除去するのが一般的だが、「つらい作業や従来の洗浄液だと除去するのに1~2日かかっており、労力と時間に課題を抱えていた」と先進機能材料事業部の細田賢氏は語る。

そこでダイカスト金型などを手掛ける日本精機(愛知県)と「N‐SR004B」を共同で開発。『より安全な薬液』をテーマに、電子業界で培った微細洗浄のノウハウを活かし、金型にダメージを与えず、強力にシリカスケールを除去できる洗浄液を開発した。

主な特長は①消防法非危険物・非毒劇物②常温使用(25度)で高い洗浄性能③各種金属材料へのダメージ低減④重曹との混合で中和し、一般産業廃棄物で処理可⑤繰り返し使用可能(複数回)で、金型用高熱伝導率材(HTC材)やマルエージング鋼、SKD材で製作した冷却水管に対し、60~120分で洗浄が完了。洗浄後の冷却水管の寸法変形も0・1㎜以内と金型へのダメージも少なく、メンテナンス作業の自動化や効率化を実現。

また、同社検証(ダイカスト金型・鋳造後金型温度比較)では4万ショット後に洗浄すると固定型で初期(200度)と同等の220度、可動型も初期と同等の150度まで冷却性能の回復が見られ、成形時の生産性向上や金型寿命向上に寄与。

今後について「ダイカスト金型のメンテナンスは手作業や薬液の効果が薄いなどであきらめるケースが多いと聞く。製品の認知度を高め、現場の作業時間の短縮や生産性向上、金型寿命の向上に貢献したい」と細田氏。同社は除去液だけでなく、工作機械メーカーのソディックや日本精機と共同で洗浄装置も開発。今後は展示会やセミナー、HPで認知度の向上を図り、顧客課題に寄り添いながら提案を図る。同製品の問い合わせは06・6535・2410まで。

金型しんぶん2025年5月10日号 

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