金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

28

新聞購読のお申込み

金型の寿命、1.5~5倍に<オカノブラスト>

WPCと鏡面

ハイスなどの微粒子を高速衝突させて金属を鍛錬するショットピーニング(WPC処理)と、鏡面に磨いて耐摩耗性を高めるラッピング。オカノブラスト(堺市中区、072・234・0999)は、この2つの加工を複合させて金型の寿命を飛躍的に伸ばす独自の技術を持つ。もともとある部品メーカーのために開発したが、今では冷間鍛造やプレスの金型に広く採用されている。
同社が「タフラット」と呼ぶこの技術は、WPC処理をした後でラッピングをする。WPCは微粒子の衝突による鍛錬と熱処理の効果で硬度や疲労強度が高まるが、微粒子の打撃痕で微細な凹凸ができ、クラックの原因になる。ラッピングするのはこの凹凸をなくすため。つまりタフラットは鍛錬をした表面をさらに磨き、強度も耐摩耗性も高める技術。金型に使えば、寿命が1・5~5倍に伸びるという。

ショットピーニング(上)
ラッピング(下)

8年前にある輸送機部品メーカーから冷間鍛造金型の耐久性を高める方法について相談を受けたのがきっかけ。試行錯誤の末に自社の2つの加工を組み合わせてみたら金型の寿命は驚くほど伸びた。WPCとラッピングを一貫するため別々に加工(1日、3~5万円)するのと比べて費用は5分の1~10分の1に。加工時間も30分~1時間ほどしか掛からない。
金型に使えると分かり、昨年11月には輸送機部品メーカーとこの処理技術で共同特許を取得。国の補助事業にも選ばれ、加工後の疲労強度を検査する装置も導入した。金型メーカーからの受託(WPC・φ100~150㎜長さ2mまで、鏡面・φ400㎜まで厚さ100㎜まで)も始め、今では冷間鍛造やプレスの金型での採用が増えているという。
オカノブラストはショットブラストを基盤技術とするWPCやラッピング、二硫化モリブデンショット、ブラスト処理を手掛ける。岡野俊之専務は「ブラストの技術は今なお、未知数。これからも加工精度を高めたり、組み合わせたりして、金型などに役立つ技術を見つけたい」。

オカノブラスト
▽大阪府堺市中区東山644、072・234・0999
▽設立1982年▽代表取締役・岡野俊博氏▽社員数24人
▽事業内容・ブラスト処理、WPC処理、二硫化モリブデンショット、ラッピングの受託加工。

金型新聞 平成26年(2014年)5月14日号

関連記事

サーモグラフィティクス 高熱伝導でハイサイクル【金型応援隊】

高熱伝導グラファイト複合素材の開発や製造を手掛けるサーモグラフィティクスは、金型向けのサービスを強化している。高熱伝導グラファイト(1700W /m・k)を金型の中に独自の複合化技術で埋め込み熱伝導率を高めることで高速昇…

三菱マテリアル 中部TCでオープンハウス<br>次世代工具など展示

三菱マテリアル 中部TCでオープンハウス
次世代工具など展示

 三菱マテリアル加工事業カンパニー加工技術センター(さいたま市、http://carbide.mmc.co.jp)は、12月2・3日の2日間、中部テクニカルセンター(岐阜県安八郡神戸町横井1528‐1、0584・27・4…

冨士ダイス 車載や半導体関連が好調 22年3月期

売上18.7%増の168億円 冨士ダイス(東京都大田区、03-3759-7181)の2022年3月期売上高は、18.4%増の168億7400万円だった。営業利益は11億1300万円。半導体関連の金型や、車載電池用金型、光…

JIMTOF1

機械の祭典開幕‼︎
東京ビッグサイト11月17日

第28回日本国際工作機械見本市 機械、工具の最新技術一堂  「日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」が東京都江東区の東京ビッグサイトで、11月17日に開幕する。出展者数は969社で、5518小間と過去最大での開…

ネットワーク化進む  金型関連企業

ネットワーク化進む 金型関連企業

「力」合わせる時 技術交流、共同受注 技術力を誇る日本の金型メーカーが、連携・組織化なりチーム・ネットワーク化を始めている。何れも好調な滑り出しで、20人以下の事業所が89%(2012年工業統計)を占める業界に新たな事業…

トピックス

関連サイト