2021年1月16日(土)

がんばれ!日本の金型産業特集
井上製作所 井上 行雄 社長

金型・成形・組み立て、社内一貫

技術

金型の技術生かし独自製品

金型メーカーが成形まで行うケースは増えているが、井上製作所は成形からプラスチック金型の製造に進出した会社だ。強みは、金型から射出成形、印刷、組立まで全て一貫生産できること。原価管理などに細かい成形を熟知したコスト感覚を武器に、グローバルコストで負けない製品づくりを目指している。また、金型の外販もしており、成形メーカーのノウハウを生かした金型づくりができることも強みだ。
メーンの製品は様々なメーター用カウンター。元々は自動車向けを得意としていたが、水道やガス、タンカーの流量計などのメーターにも着目し、売上を拡大。ここで金型が果たした役割も大きい。成形だけであれば製品点数に応じて金型が多くなりがちだが、同社ではメーターの種類に応じて金型も標準化、金型点数を減らした。さらに、ロングセラーの製品に関しては、金型の長寿命化を図ることでコストダウンにもつなげている。
それでも、グローバル化で国内は減少傾向。そこで営業強化のため、2011年に若手を中心に「新製品開発プロジェクト」を立ち上げ、独自製品の開発に着手。現在は、光が当たると反射し自ら発光する特殊な樹脂を使った、ラジコン用のホイールキャップ「煌(きらめき)」を開発し、商品化に向けて改良を重ねている。「技術をアピールするだけでは、仕事をもらえない時代」と製造部副部長の井上健一郎氏。金型をコア技術の一つに、他には無い商品を開発し、勝ち残りを狙う。

人

多能工化で技術力高める

「金型部門の従業員は多能工化しています」と話す井上社長。それには社長自身の経験がある。1974年、父である先代の社長が、金型も自社で製作できるように、大学卒業後すぐ井上社長を金型メーカーへ修行に出した。そこで金型づくりのノウハウを学び、5年後会社に戻り、金型工場を自ら立ち上げた。井上社長は、「自分が多能工として教えられたので、従業員たちにも同じように指導しています」と話す。一人で金型が作りきれるような人材を育成し、生産性、技術力の向上を図っている。
また、TQC(全社的品質管理)活動に力を入れている。重視しているのは管理手法そのものだけでなく、品質への考え方だ。例えば、備品一つにしても本来とは違う置き方がされていた場合、そうなった原因を一から徹底的に究明させるなど、考え方から品質を意識させている。そして各職場で、サークルを作り、優秀なサークルには、年に1回表彰する。ほかにも、作業工程など改善策を提案し採用されると、インセンティブを与える「改善提案制度」を実施。「いかにやる気を持って仕事をしてもらうか」を第一に考えている。
こうした取り組みは、一貫生産を強みとする井上製作所ならでは。従業員一人一人が全工程に責任を持ち、仕事に取り組むことで、技術力強化に繋げている。総合的な技術力で、国内市場でグローバル企業に負けない製品づくりを目指す。

井上行雄社長002

会社メモ

代表者=代表取締役社長・井上行雄氏
資本金=9000万円
売上高=6億円
創業=1948年
従業員数=60人
本社=埼玉県上尾市領家1195-1
Tel048・781・8811 Fax048・781・8810
HP=http://www.inoue-ss.com
▽設備機械=マシニングセンタ「FNC-86」(牧野フライス製作所)など2台、ワイヤーカット放電加工機「NA1200」(三菱電機)など2台、形彫放電加工機「EA12」(三菱電機)など2台、フライス盤「KSJP-55」(牧野フライス製作所)など4台、射出成型機「SE180DUZ」など26台、そのほか多数。
主な製品=プラスチック金型、各種メーター用カウンターや精密ギアなどプラスチック成形品、そのほか自社商品の開発にも取り組んでいる。

金型新聞 平成26年(2014年)4月16日号

[ がんばれ!日本の金型産業特集 ][ 金型新聞 ] カテゴリの関連記事

新春特別企画 時代をリードする8人にインタビュー⑧
オーニック 社長 難波 健氏

 1976年生まれ、北海道札幌市出身。99年工学院大学工学部機械工学科を卒業し、オーニックに入社。2013年、社長に就任。経営理念であり創業者(叔父)の意思を受け継ぎ、障がい者が働きやすい職場づくりに日々取り組む。趣味は […]

新春特別企画 時代をリードする8人にインタビュー⑦
大貫工業所 社長 大貫 啓人氏

売れるものをつくる 物価の高い国で勝負 境地まで突き詰めることが大事 〜海外展開〜  1964年生まれ、茨城県出身。大学卒業後、87年大貫工業所に入社。営業で新規得意先を次々と開拓する一方で、得意先とのやり取りを通じて金 […]

新春特別企画 時代をリードする8人にインタビュー⑥
モノの本質を学ぶ場 金型は最適な教育ツール 企業との接点が重要 〜次世代人材の教育〜

 1963年生まれ、中国・黒竜江省出身。工学部・機械工学科教授、研究テーマ:プロセス・トライボロジー、型工学、冷間鍛造・板鍛造。92年に名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程修了(工学博士)後、富山県立大学などを経て97 […]

トピックス

関連サイト