金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

30

新聞購読のお申込み

がんばれ!日本の金型産業特集
東郷 東 成生 社長

ナノ金型に挑む
地下工場で徹底した温度管理
★桜島_R

ICリードフレーム(L/F)やモータコアなどの精密プレス金型を手掛ける東郷の本社工場は鹿児島市の市街地から少し離れた小高い山の山頂部にある。この工場そのものが、精密にこだわる同社の金型づくりの象徴だ。山頂部を切り取るようにしてある4つの工場の大半は地下にある。桜島からの火山灰の影響をシャットアウトできる2重ドア構造で、徹底的に管理された室温環境の中で金型が生み出されている。

作る金型はもちろん高精度での超精密な金型ばかり。写真にある桜島を模したワークは厚さ80μmのリン青銅で、溝幅50μm、ピッチは0.1㎜の超微細ワークだ。L/F金型では最狭インナーリード先端ピッチ0.14㎜加工技術を確立。研削加工でも面粗さ0.2S以下を実現している。

高精度ばかりではない。短納期も強みだ。ICL/F用金型であれば約3週間。コネクタ金型であれば仕様確定後であれば2週間で納品できる体制を整えている。

ここまでしてもニーズに応える金型づくりに終わりはない。全面地下にあるメーン工場の温度は23度±0.8度以内に管理。それでも東成社長は「まだ甘い。機械で発生する熱を全て外に出すようにして、±0.3度に抑える」と更なる上を目指す。その先に見据えるのは「ナノ金型」だ。「現在実用的なナノレベルの金型はない。測定もできてお客に評価してもらえる、そのレベルの金型を作りたい」と次世代の金型づくりに挑む。

挑戦の歴史が人を育てる
★東郷P1_R

環境が人を育てると言われる。東郷では「挑戦」し続ける環境が育成につながっている。不思議にも同社は約10年ごとに挑戦してきた歴史がある。1985年、ものづくり基盤の少ない鹿児島で、社長自らフライス盤一つで会社を興したことも挑戦だ。当時「金型重量=価格」(東社長)だった時代に、半導体向けの微細金型に挑み、高付加価値路線に舵を切った。

10年後の96年。「顧客の精度要求に応える」ために、地下工場を建設。ICL/Fの金型に参入したのもの同時期だ。それも挑戦する同社らしい。既存顧客の半導体ユーザーの海外進出が決まり、「仕事がなくなる崖っぷちの状況」のなか、「お金はいらないから検証して欲しい」と独自の手法で作った金型を持ち込み、受注につなげた。05年には「自動車向けの仕事がしたい」と願いを叶えるべく、モータコアの金型に着手。そして2015年。ナノレベル金型に挑戦し、量産も本格化させる予定で、「他にも挑戦を考えている」(東社長)と言う。

たゆまぬ挑戦を重ねることで人も育ってきている。13年にタイに拠点設立したこともあって、最近は若い社員から「次はアメリカ進出だ」と言う意見も聞こえてくるそう。そんな声を聞いて東社長は「9割以上思った時点で夢は叶う」と嬉しそうに話す。人材やものづくりの基盤が揃った今「これからが楽しみ」と話す東社長。今後は会社のモットーとして掲げる「一流の世界企業を目指す」ことに挑み続ける。


会社メモ
★東社長_R

代表者=東 成生社長
資本金=9000万円
売上高=約12億円
創業=1985年
従業員数=70人
本社工場=鹿児島県鹿児島市川田町2194
電話=099・298・8050
FAX=099・298・7942
主な業務内容=精密プレス金型の設計製造。
設備機械=マシニングセンタ「AZ150」(ソディック)など3台、ジグボーラー「YBM850V」(安田工業)1台、型彫り放電加工機「AP1L」(ソディック)など3台、ワイヤ放電加工機「AP650L」など14台、平面研削盤「SGC94」(ナガセインテグレックス)など7台、成型研削盤「SHSD-80」(ナガセインテグレックス)など9台、トライプレス「MXM-80」(山田ドビー)など7台、CAD「NeoSolid」(C&Gシステムズ)など10台など。
会社方針=「挑戦・誠意・創意工夫」


金型新聞 平成28年(2016年)1月10日号

関連記事

鋳造型に超硬<日型工業>

鋳造型に超硬<日型工業>

鋳造金型メーカーの日型工業(埼玉県川口市、渡辺隆範社長)は、超硬合金製の金型実用化に向けて技術開発に着手した。直彫切削加工技術を高め、長寿命化が求められる鋳造金型での採用を目指す。将来的には鍛造金型なども視野に入れている…

リョービ ギガキャスト試作始動

リョービは3月17日、菊川工場(静岡県菊川市)に導入した6500tのダイカストマシンを稼働させた。まずはギガキャスト向けの試作をメインに請け負い、砂鋳物から試作までを自動車メーカーらに提案する。金型工場も併設。当初は仕上…

メカトロテックジャパン2015開幕

次代の加工技術一堂 出品444社・団体 今年最大規模 ポートメッセなごや 10月21~24日 5軸、難削材工具、機上測定  今年国内最大級の工作機械見本市「メカトロテックジャパン2015(MECT2015)」(主催:ニュ…

ニチダイ 鍛造型の状態可視化するダイセットを開発

センシング機能でDX推進 冷間鍛造金型を手掛けるニチダイはダイセット内に荷重や変位、振動など各種センサを組み込み、金型の状態を可視化するセンシング機能を持った『インテリジェントダイセット』を開発。これにより、型寿命や製品…

ナガラ三重第2工場が竣工<br>トライ用大型プレス機を設備

ナガラ三重第2工場が竣工
トライ用大型プレス機を設備

 プレス金型メーカーのナガラ(名古屋市中川区、052・362・6066)は9月23日、三重工場の第2工場竣工式を開き、取引先や協力会社、金型業界関係者147人が詰め掛けた。同工場はトライ用の大型プレス機を設備し、高まる大…

トピックス

関連サイト