金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

22

新聞購読のお申込み

不二精工 淡路島で新工場を稼働し、大型化対応や研究開発を強化【金型の底力】

4月に竣功する洲本市の工場

同社は1920年の創業で、接点などの電子機器向けのプレス部品を強みに業容を拡大してきた。近年は、車載部品での採用も進んでおり、その精密な金型とプレス技術は世界中で認められている。

例えばスマートウォッチに搭載された気圧センサの精密部品(写真)。2・75㎜角、高さ1・3㎜の同部品は精密な絞り加工によって、切削からの置き換えに成功した。先端を円筒形状し、下部は角形状で、その面は0・015㎜という平坦度だ。「詳細は言えないが、複雑な順送プレス金型とプレス技術で実現した」(濱野雅夫社長)。

濱野 雅夫社長

こうした高度な金型やプレス技術を持ちながら、近年は樹脂と金属のインサート成形部品に注力してきた。「多くの電子機器で液晶モニターが採用され、スイッチや接点などのプレス部品は減っていく」という危機感があったからだ。そのシフトチェンジは成功し、現状では売上の60%程度がインサート部品だという。

こうした流れを強化し、より付加価値を高めるために、今年4月に淡路島の洲本市に敷地面積7400㎡、延床面積42000㎡の新工場を竣工する。

角と丸の2段絞りした気圧センサ部品

新工場の狙いは大きく3つある。1つ目は需要が増加するインサート部品のライン増強。2つ目が大型化部品の対応だ。これまでは100tの射出成形機、60tのプレス機が最大で、板厚は1㎜程度が限界だった。それぞれ220t、150t、板厚を2㎜程度にまで引き上げる。「バスバーなど電動車で増える部品に対応していく」(濱野社長)ためだ。

そして3つ目が研究開発体制の強化すること。その象徴的な一つが金属と樹脂の高密着による「エアリークをゼロ」にしたインサート成形技術だ。樹脂と金属では物性が異なるため、少なからずエア漏れが発生するが、同技術によって抑えることができるという。

エアリークゼロを可能にした部品

 元々、フープ材(材料)をプレスと樹脂成形を連続して2回行う「2連続フープ成形」を得意としてきたが、この技術を応用。1次成形では金属にシール材としてエラストマを成形し、2次成形で樹脂を成形する。さらに、途中工程で熱を加えることで、シール材と金属、樹脂の密着性を高めた。これまで密着性を高めるために必要だった金属への表面処理なども不要になり「工程を減らすこともできる」(濱野社長)。

評価装置も内製し、水槽内の1Mpaの水圧をかけて試験でもエアリークはなかったという。すでに、エア漏れを嫌う、いくつかの部品で採用されているほか、現在も複数の顧客との共同で研究を進めている。

濱野社長は今後について「金属と樹脂だけでなく、他の異材成形にも挑戦したい。また、自動化への対応を進めることで、顧客への提供価値を最大化させていきたい」。

会社の自己評価シート

淡路島に工場を新設するなど積極的な展開を図っていることから「未来に投資する力」を高いと回答。また、記事内にもあるように精密プレスや開発力など「技術力」も強みとみている。一方で、それらの技術や投資力をPRしていくことが課題といえそうだ。

会社概要

  • 本社: 大阪市西淀川区姫里3‐5‐4
  • 電話: 06・6472・9409
  • 代表者: 濱野雅夫社長
  • 創業: 1920年
  • 従業員: 53人
  • 事業内容: 超精密プレス部品の金型制作からプレス加工まで、樹脂と金属による複合成形加工など。

金型新聞 2023年2月10日

関連記事

この人に聞く2015 <br>製造業コンサルティング <br>O2(オーツー)松本 晋一社長

この人に聞く2015
製造業コンサルティング
O2(オーツー)松本 晋一社長

潜在する魅力引き出す 製造×サービスで価値を創造  プラスチック金型メーカーの安田製作所は今春、社名を「IBUKI」に変更した。昨年9月、同社を傘下に収めた、製造業向けのコンサルティング会社O2(東京都港区)の松本晋一社…

【ひと】ベントム工業社長・本田大介さん システム会社を立ち上げた金型経営者

システム会社立ち上げた金型経営者  クラシック音楽事務所の営業から父親が創業した鋳造・ダイカスト金型メーカーに転職。会社を受け継いだ後、工程管理を手掛けるシステム開発会社を設立した。異色の金型経営者だ。  入社した当初は…

木谷電器 木谷健一郎社長に聞く 要望ヒントに金型開発

端子や太陽光発電関連機器を手掛ける木谷電器(大阪府枚方市、072・855・1492)は、取引先の要望をヒントに新たなプレス金型の研究開発に取り組む。時代のニーズに応えるプレス技術を開発し、未来を拓く新しい事業に発展させた…

清水龍司さん 承継に向けて社内改革を進める【ひと】

群馬県高崎市でプレス加工を手掛けるシミズプレスの3代目として生まれた。しかし、当初は会社を継ぐ気はなかった。 転機となったのは大学1年時。「これからさらに成長する国や地域を見ておきたかった」と中国に短期留学した。そこで語…

山口製作所 アモルファス箔のモータコアの量産に挑む【特集:自動車金型の未来】

特殊な型内積層技術を開発 電動車を始め次世代車で採用が増えるモータ。脱炭素の観点からも、その効率化は欠かせない。その一つとして注目を集めるのが、磁気特性の高いアモルファス箔を採用したモータコア。金型からプレスまで一貫して…

トピックス

関連サイト