金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

21

新聞購読のお申込み

不二精工 淡路島で新工場を稼働し、大型化対応や研究開発を強化【金型の底力】

4月に竣功する洲本市の工場

同社は1920年の創業で、接点などの電子機器向けのプレス部品を強みに業容を拡大してきた。近年は、車載部品での採用も進んでおり、その精密な金型とプレス技術は世界中で認められている。

例えばスマートウォッチに搭載された気圧センサの精密部品(写真)。2・75㎜角、高さ1・3㎜の同部品は精密な絞り加工によって、切削からの置き換えに成功した。先端を円筒形状し、下部は角形状で、その面は0・015㎜という平坦度だ。「詳細は言えないが、複雑な順送プレス金型とプレス技術で実現した」(濱野雅夫社長)。

濱野 雅夫社長

こうした高度な金型やプレス技術を持ちながら、近年は樹脂と金属のインサート成形部品に注力してきた。「多くの電子機器で液晶モニターが採用され、スイッチや接点などのプレス部品は減っていく」という危機感があったからだ。そのシフトチェンジは成功し、現状では売上の60%程度がインサート部品だという。

こうした流れを強化し、より付加価値を高めるために、今年4月に淡路島の洲本市に敷地面積7400㎡、延床面積42000㎡の新工場を竣工する。

角と丸の2段絞りした気圧センサ部品

新工場の狙いは大きく3つある。1つ目は需要が増加するインサート部品のライン増強。2つ目が大型化部品の対応だ。これまでは100tの射出成形機、60tのプレス機が最大で、板厚は1㎜程度が限界だった。それぞれ220t、150t、板厚を2㎜程度にまで引き上げる。「バスバーなど電動車で増える部品に対応していく」(濱野社長)ためだ。

そして3つ目が研究開発体制の強化すること。その象徴的な一つが金属と樹脂の高密着による「エアリークをゼロ」にしたインサート成形技術だ。樹脂と金属では物性が異なるため、少なからずエア漏れが発生するが、同技術によって抑えることができるという。

エアリークゼロを可能にした部品

 元々、フープ材(材料)をプレスと樹脂成形を連続して2回行う「2連続フープ成形」を得意としてきたが、この技術を応用。1次成形では金属にシール材としてエラストマを成形し、2次成形で樹脂を成形する。さらに、途中工程で熱を加えることで、シール材と金属、樹脂の密着性を高めた。これまで密着性を高めるために必要だった金属への表面処理なども不要になり「工程を減らすこともできる」(濱野社長)。

評価装置も内製し、水槽内の1Mpaの水圧をかけて試験でもエアリークはなかったという。すでに、エア漏れを嫌う、いくつかの部品で採用されているほか、現在も複数の顧客との共同で研究を進めている。

濱野社長は今後について「金属と樹脂だけでなく、他の異材成形にも挑戦したい。また、自動化への対応を進めることで、顧客への提供価値を最大化させていきたい」。

会社の自己評価シート

淡路島に工場を新設するなど積極的な展開を図っていることから「未来に投資する力」を高いと回答。また、記事内にもあるように精密プレスや開発力など「技術力」も強みとみている。一方で、それらの技術や投資力をPRしていくことが課題といえそうだ。

会社概要

  • 本社: 大阪市西淀川区姫里3‐5‐4
  • 電話: 06・6472・9409
  • 代表者: 濱野雅夫社長
  • 創業: 1920年
  • 従業員: 53人
  • 事業内容: 超精密プレス部品の金型制作からプレス加工まで、樹脂と金属による複合成形加工など。

金型新聞 2023年2月10日

関連記事

電動系、車体系部品へ事業拡大【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車の電動化が金型に及ぼす影響は大きい。エンジンなどの減少が懸念される一方、軽量化ニーズでアルミの採用が期待されるなどダイカスト金型は変化を迫られている。では電動化でダイカストはどう変わっていくのか。昨秋のダイカスト展…

金型補修の技術伝承を支援 岩倉義典氏(岩倉溶接工業所社長)【この人に聞く】

ステンレスを主体にアルミ、チタンなどの金属の溶接加工を手掛ける岩倉溶接工業所(静岡県島田市、0547・37・4585)は今年8月から、金型溶接の受託加工事業と金型溶接・仕上げの技術支援事業を開始した。金型補修における人手…

トヨタ自動車 モノづくりエンジニアリング部
鈴木 健文 部長に聞く

コロナショックを機に、金型に求められること  5月12日、コロナウイルス拡大の影響が読めない中で、トヨタ自動車の豊田章男社長は「頼りにされ、必要とされる会社を目指し、世界中の仲間とともに強くなる」とのコメントを発表した。…

―スペシャリスト―吉備NCグループ<br>極める精密放電

―スペシャリスト―吉備NCグループ
極める精密放電

障害者を技術訓練 ±1ミクロンの要望に応える 手掛ける領域「何でも」 経済産業省の統計によると、2013年の金型メーカーの事業所は15年前に比べ、6割強の8000社程度にまで減っている。金型の供給力低下も問題だが、それ以…

関東製作所 渡邉社長インタビュー 【特集:営業ってどうする?】

デジタルマーケティングで見込客を獲得 近年は国内の金型市場が縮小しており、いかに新規開拓を行うかが大きな課題となっており、効率良く営業活動を展開するための仕組みやシステムの構築も求められる。年間の新規引き合い件数500件…

トピックス

関連サイト