金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JANUARY

31

新聞購読のお申込み

不二精工 淡路島で新工場を稼働し、大型化対応や研究開発を強化【金型の底力】

4月に竣功する洲本市の工場

同社は1920年の創業で、接点などの電子機器向けのプレス部品を強みに業容を拡大してきた。近年は、車載部品での採用も進んでおり、その精密な金型とプレス技術は世界中で認められている。

例えばスマートウォッチに搭載された気圧センサの精密部品(写真)。2・75㎜角、高さ1・3㎜の同部品は精密な絞り加工によって、切削からの置き換えに成功した。先端を円筒形状し、下部は角形状で、その面は0・015㎜という平坦度だ。「詳細は言えないが、複雑な順送プレス金型とプレス技術で実現した」(濱野雅夫社長)。

濱野 雅夫社長

こうした高度な金型やプレス技術を持ちながら、近年は樹脂と金属のインサート成形部品に注力してきた。「多くの電子機器で液晶モニターが採用され、スイッチや接点などのプレス部品は減っていく」という危機感があったからだ。そのシフトチェンジは成功し、現状では売上の60%程度がインサート部品だという。

こうした流れを強化し、より付加価値を高めるために、今年4月に淡路島の洲本市に敷地面積7400㎡、延床面積42000㎡の新工場を竣工する。

角と丸の2段絞りした気圧センサ部品

新工場の狙いは大きく3つある。1つ目は需要が増加するインサート部品のライン増強。2つ目が大型化部品の対応だ。これまでは100tの射出成形機、60tのプレス機が最大で、板厚は1㎜程度が限界だった。それぞれ220t、150t、板厚を2㎜程度にまで引き上げる。「バスバーなど電動車で増える部品に対応していく」(濱野社長)ためだ。

そして3つ目が研究開発体制の強化すること。その象徴的な一つが金属と樹脂の高密着による「エアリークをゼロ」にしたインサート成形技術だ。樹脂と金属では物性が異なるため、少なからずエア漏れが発生するが、同技術によって抑えることができるという。

エアリークゼロを可能にした部品

 元々、フープ材(材料)をプレスと樹脂成形を連続して2回行う「2連続フープ成形」を得意としてきたが、この技術を応用。1次成形では金属にシール材としてエラストマを成形し、2次成形で樹脂を成形する。さらに、途中工程で熱を加えることで、シール材と金属、樹脂の密着性を高めた。これまで密着性を高めるために必要だった金属への表面処理なども不要になり「工程を減らすこともできる」(濱野社長)。

評価装置も内製し、水槽内の1Mpaの水圧をかけて試験でもエアリークはなかったという。すでに、エア漏れを嫌う、いくつかの部品で採用されているほか、現在も複数の顧客との共同で研究を進めている。

濱野社長は今後について「金属と樹脂だけでなく、他の異材成形にも挑戦したい。また、自動化への対応を進めることで、顧客への提供価値を最大化させていきたい」。

会社の自己評価シート

淡路島に工場を新設するなど積極的な展開を図っていることから「未来に投資する力」を高いと回答。また、記事内にもあるように精密プレスや開発力など「技術力」も強みとみている。一方で、それらの技術や投資力をPRしていくことが課題といえそうだ。

会社概要

  • 本社: 大阪市西淀川区姫里3‐5‐4
  • 電話: 06・6472・9409
  • 代表者: 濱野雅夫社長
  • 創業: 1920年
  • 従業員: 53人
  • 事業内容: 超精密プレス部品の金型制作からプレス加工まで、樹脂と金属による複合成形加工など。

金型新聞 2023年2月10日

関連記事

石井洋平さん ユーチューブに動画投稿【ひと】

「どうも、石井精工のユーチューブチャンネルです」。2021年から動画投稿サイト「ユーチューブ」に自社の紹介動画や、使用した工具のレビュー動画などを投稿する。約2年で動画本数は100本を超え、登録者数は1000人を突破した…

「新規事業に挑戦、やってみなければ分からない」藤井精工社長・藤井福吉氏

会社の未来を考え新規事業に挑戦やってみなければ分からない 金型メーカーに生産計画はありません。受注産業で顧客次第ですから。「来月どうしようか」。これを毎月のように繰り返しています。当社も創業から46年間、同じように事業を…

差別化できる設備投資、従来とは違う戦い方で次世代につないでいく 中村稔氏(日新精機社長)【鳥瞰蟻瞰】

当社は創業から50年間、冷間圧造金型一本で事業を続けてきました。しかし、10年後も同じように事業を続けていられるかというと、そうは考えていません。今ある仕事は相当減っていると思います。感覚的な予測になりますが、だいたい3…

【新春特別インタビュー④】ツバメックス代表取締役・多田羅 晋由氏「緩やかな連携が進む、経営者は思考の変革を」

もっと広義な意味に 緩やかな連携が進む 経営者は思考の変革を 〜M&A・企業連携〜  1959年生まれ、大阪府出身。82年サンスター技研に入社、2005年同社代表取締役、19年2月ツバメックス代表取締役に就任し、…

この人に聞く
東京鋲螺工機 高味寿光社長

国際競争に負けない型づくり  冷間鍛造金型メーカーの東京鋲螺工機(埼玉県新座市、048・478・5081)はこの10年間で、売上規模を倍増させた。リーマンショック後の急激な落ち込みから、超硬合金の直彫り加工技術の開発や顧…

トピックス

関連サイト