金型の売上高7・7%増 ニチダイ(京都府京田辺市、0774・62・3481)の2024年3月期の金型事業の売上高は、前年同期比7・7%増の51億1000万円だった。国内の主力ユーザー向けや海外向けが増加した。 精密部品事…
日本精機 AM技術でギガに挑む【特集:ギガキャストの現在地】
ソディックと共同開発、大型3Dプリンタを導入
AM技術を武器にギガキャスト向け金型で需要開拓を狙うのが、ダイカスト金型メーカーの日本精機だ。まずは、高い熱交換機能が求められるギガ向け金型で、AMで造形した入れ子部品の採用を目指す。将来は金型全体の受注も狙う。
同社では、2021年に金属3Dプリンタを導入し、ダイカスト金型の入れ子などで採用を広げている。強みは造形が難しいとされる大同特殊鋼が開発したSKD61材「HTC」で造形できること。欧州では、ギガ向けの金型で、金属3Dプリンタで造形した入れ子部品の採用が増えていることから、日本でも増えると判断し、投資を強化する。

その一つがソディックと共同開発した大型サイズの造形できる「LPM450」の特殊仕様機を9月にも導入する。450㎜角サイズの大型が造形できるのが特長で、造形精度や速度を高められる機能を盛り込んだ。
同装置を導入した理由について、「ギガ向けの金型では大型の入れ子が求められるため、それに対応する狙いもある。しかし、既存の部品でも大型機だと多数個取りのように複数造形できるので、生産性向上にもつながる」(松原雅人常務取締役)。また、金属3Dプリンタ以外にも、大型造形したワーク向けに大型の熱処理装置も導入した。
こうして明確に投資に踏み切ることができるのは、欧州でギガ向けの金型メーカーに入れ子を納品した実績があるからだ。松原常務は「欧州では、3Dプリンタによる入れ子はマルエージング改良鋼がメインで、HTCで造形したいという声は多く、国内でも増えてくるはず」とみる。
将来的は3Dプリンタで造形した入れ子にとどまらず、ギガ向けの金型本体の受注にも広げていく考えだ。松原常務は「日本国内でも分割型になるのが既定路線だろう。当社の現有設備でも十分キャビやコアの加工ができる」。需要を見極めながら「型合わせに必要な大型のクレーンなどの投資も考えている」。
会社概要
- 本社:愛知県名古屋市守山区中志段味2799
- 電話:052・736・0611
- 代表者:代表取締役社長辻村正稔氏
- 創業:1920年
- 従業員:62人
- 事業内容:ダイカスト金型の設計製作、金属AM部品製造など。
金型新聞 2024年9月10日
関連記事
金型メーカーら32チーム 400人が参加 狭山金型製作所(埼玉県入間市、04・2934・7683)は2月9日、商品開発などを手掛けるMACHICOCO(大阪府東大阪市、06・6720・8735)らが運営するモノづくり集団…
金型や部品の造形で金属AMを活用する際、必ず指摘されるのがコスト。装置の価格はもとより、粉末材料が高価なことに加え、設計や解析などに多くの工数が発生するため、どうしても製造コストは高くなる。一方で、高い冷却効果による生産…
2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)」の実現を目指す動きが加速している。欧州の規制強化などに伴い、サプライチェーン(供給網)全体でのCO2排出量を示す「スコープ3」への対応を進める…
活路を創造、混沌に挑む 日本の金型業界にも少しずつ明るさが戻ってきた。とはいえ、受注水準はいまだリーマンショック前の8割程度だ。そんななか、日本金型工業会は「新金型産業ビジョン」を策定した。そこでは、金型業界の向かうべ…


