金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

30

新聞購読のお申込み

難しい金型
日本へUターン

日本工業大学大学院教授 横田 悦二郎氏に聞く

★DSC_0051_R

「ユニット」や「軽量化」がカギ

 日本金型工業会で学術顧問を務める、日本工業大学大学院の横田悦二郎教授は「国内に戻る金型は出て行った時と内容は異なり、高度化して回帰している」と指摘する。そうした需要を獲得するために「今まで以上の技術開発や連携が不可欠だ」と話す同教授に「国内回帰の現状」について聞いた。

技術開発や連携必要

―金型は回帰していると言われますが特徴は。
 「2つのケースが考えられる。家電などでよくあるが高級機種を日本で製造するため、部品などの金型も含め丸ごと日本で造ろうとするという動きだ。しかしこうした例は少ない。もう一つは日本から出て行った時とは内容が異なって戻ってくるケースだ。国内回帰と言われるものの多くがこちらのタイプだろう」。

―異なる形とは。
 「ユーザーも日本で金型を作るなら、付加価値の高い金型を求める。だから、出て行った時よりも難しく、高度化して戻ってくる。自動車も電機も同じく、そのキーワードは『軽量化』と『ユニット化』だ」。

―具体的に教えて下さい。
 「海外では普通に射出成形をしていた部品が、軽量化のために、熱可塑性樹脂などの新素材を使うことで、これまでとは違う種類のプラ型になって戻ってくる。プレスでも超ハイテンは冷間プレスではなく熱間プレスなどになって戻って来る」。

 「ユニット化はコスト削減が目的だ。海外では複数の金型を使い別々に成形していたが、日本ではコストを下げるために一体化しようとする。金型サイズは大きくなることも多く、2色や多色成形など複合的な金型になっている」。

―複雑化、大型化への対応が必要になりますね。
 「高度化して戻って来るのだから、全く同じ金型を作っているだけでは、そうした需要は掴めない。新たな技術開発に挑戦することは必要だろう。ただ、その方向性は大型化や高度化だけでもない。例えば日本では順送プレス金型が増えているが、新興国では成形ノウハウもなく、価格の高い順送金型を購入できる余裕もない。単発型を複数使う方が安く成形できることもある。だから、新興国では安い単発型が求められていたりもする。安くて儲かる型を作るのも一つの開発だと言える」。

―ニーズに合った開発が必要ですね。しかし、経営に余裕がないのも事実です。
 「だからこそ連携がカギになる。小型を強みとする企業と大型を得意とする会社が連携すればいい。金型は設備や人が受注の制約条件になってしまうことが多い。しかし、日本の金型業界を一つの金型メーカーとして捉えれば、設備も人もそろっていて、何でもできるはずだ。円安に加え、日本のユーザーも高品質なものづくりを求めている今、高付加価値の金型を作ることができる日本企業にとってはチャンスだ」。

金型新聞 平成28年(2016年)2月10日号

関連記事

【新春特別インタビュー⑦】大貫工業所社長・大貫 啓人氏「売れるものをつくり、境地まで突き詰めることが大事」

売れるものをつくる 物価の高い国で勝負 境地まで突き詰めることが大事 〜海外展開〜  1964年生まれ、茨城県出身。大学卒業後、87年大貫工業所に入社。営業で新規得意先を次々と開拓する一方で、得意先とのやり取りを通じて金…

金型の異常をAIで検知するカメラシステム【金型応援隊】

AI・ロボット開発のベンチャー企業a‐roboは2023年2月、プラスチック成形中の異常を検知し、成形機を制御するカメラシステム「GROW‐V」を発売した。 カメラの画像情報をもとにAIが金型の異常を検知する。既存のシス…

【金型の底力】キヤノンモールド世界に誇れる「見通せる工場」

世界一の金型メーカーへ 新本社工場が本格稼働 キヤノンモールドは移転を進めていた「本社・友部事業所」を7月から本格稼働させた。市内に分散していた工場を1か所に集約。自動化や人・モノの移動を減らすなどして、従来比で1.5倍…

齋藤俊明さん 金型若手経営者が集う「天青会」会長【ひと】

今年5月、日本金型工業会東部支部の若手経営者が集う『天青会』の第52代会長に就いた。会員が減少傾向にある中、「もう一度“にぎわい”を取り戻したい」。卒業したOBにもイベントへの参加を呼びかけ、交流の輪を広げる考えだ。 埼…

シミズプレス 金型工場を新設し高精度化と外販の強化【金型の底力】

プレス加工メーカーのシミズプレス(群馬県倉賀野市、027-320-2880)は今年10月、金型工場を新設した。これまでプレス量産工場内にあった金型加工設備を移設。金型加工の高精度化を図り、モータコア用金型など新規分野の開…

トピックス

関連サイト