金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

21

新聞購読のお申込み

日本精機とソディック ダイカスト金型向けの大型金属3Dプリンタを共同開発

ダイカスト金型メーカーの日本精機(名古屋市守山区、052・736・0611)とソディックは技術提携し、ダイカスト金型向けの大型金属3Dプリンタを共同で開発する。金型向けの金属3Dプリンタを手掛けるソディックと、プリンタで金型の造形実績を持つ日本精機のノウハウを融合。年内をめどに、造形が難しいとされるSKD61相当粉末材で、大型サイズの入れ子が造形できる機種の開発を目指す。ダイカスト金型でのプリンタの活用領域拡大につなげる。

日本精機がプリンタで造形したワーク。大型化でこのサイズの部品を4個取りも

共同開発するのは、敷き詰めた金属粉末をレーザーで造形していくPBF方式のプリンタ。ダイカスト金型で適用が期待されているSKD61相当の粉末材で450㎜角のサイズを造形できる大型機種を開発する。

現在ダイカスト金型では、冷却効果を高めるため、SKD61相当粉末材で造形した入れ子を採用する動きが広がりつつある。ただ「需要の拡大が期待できる450㎜角の大型サイズは割れやすく、造形が簡単ではない」(日本精機の松原雅人常務取締役)ことから、共同でこの課題に取り組む。

JIMTOFでソディックが発表した金属3Dプリンタ「LPM450」をベースに開発する。造形中のガス濃度やレーザーなど様々なパラメータをリアルタイムで監視できる機能を実装し、常に最適な状態で造形できるノウハウなどを日本精機が提供する。また、プリンタだけでなく、造形後の最適な焼入れや焼き戻し条件なども共有する。

日本精機は一昨年にGEアディティブ社の金属3Dプリンタを導入し、すでに350点以上の入れ子を造形している。造形が難しいとされる大同特殊鋼のSKD61相当材「HTC」に特化しているのが強みで、すでに240㎜角まで造形できるノウハウを持つ。「450㎜角のサイズに対応するために、協業先を探していた」(松原常務)。

一方、ソディックのプリンタは、ベースプレートに必要な部位のみを正確に造形できる位置決め機構を生かした「ハイブリッド造形」が強み。LPM450は450㎜角サイズの造形が可能で、造形中に熱処理を行う独自の「SRT工法」と、その工法に適したSKD61の改良材「SVM」を提案している。「SVMの進化に加え、金型メーカーが求める機能をさらに強化したかった」(ソディックの上席執行役員工作機械事業本部岡崎秀二副事業部長)と協業に踏み切った。

松原常務は「国内で開発やサービス体制が整うソディックと協業することで、ダイカスト金型用の大型造形を実現させたい。そして日本の金型業界が競争力を高めるために金属3Dプリンタを当たり前の技術にしていくとともに、装置の販売にも注力したい」と話す。

岡崎副事業部長は「ダイカスト金型に適した3D造形はまだ課題が多い。広く普及させるには安定した造形品質、造形技術、熱処理、仕上げ加工までの金型製造技術を確立させることが重要。経験豊富な日本精機様と協力し合うことで、3Dプリンタを使った金型製造を盛り上げていきたい」としている。

金型新聞 2023年4月10日

関連記事

成形不良を出さない生産システムの確立
岐阜大学 王志剛副学長に聞く、スマート金型開発の行方

 岐阜大学が2018年に3カ年の研究開発である「スマート金型開発拠点事業」を始めた。労働人口減少時代を想定し、従来にはない高効率な生産システムの確立を目指し、金型を使った量産システムの不良率ゼロを目標に掲げる。同事業は文…

DIAコートエンドミルが好評
チャンピオンコーポレーション

グラファイトやCFRP向け  金型部品や金属機構部品メーカーのチャンピオンコーポレーション(大阪府東大阪市、072-964-2511)が手掛ける切削工具が好評だ。中でも、コストパフォーマンスに優れ、グラファイトやCFRP…

倉敷機械 初心者でも簡単に操作可能なCADソフト

初心者でも簡単に操作可能  倉敷機械(新潟県長岡市、0258-35-3040)はこのほど、次世代操作系CADソフトウェア「Predeus(プレデウス)」を発売した。初心者でも簡単に操作できる機能を多数搭載。営業や購買など…

【金型テクノラボ】ゴーショー 5軸ミリング+研削による金型の高精度加工

 日本に比べて欧州ではかねてから、金型加工用の設備に3軸加工機よりも5軸加工機を導入するケースが目立つ。5軸機を活用するメリットは何か、どのような加工に適用でき、どんな効果が表れるのか。今回の金型テクノラボは、5軸機によ…

最大1tまで搬送
昭和飛行機工業

金型向けの 電動アシスト台車  昭和飛行機工業(東京都昭島市、042-541-2111)はこのほど、最大重量1tまでの金型搬送に適した電動アシスト台車「LUXST Safer(ラクスト セーファー)」を発売した。保守メン…

トピックス

AD

FARO 樹脂成型品や自動車シートの測定での3次元測定アームの活用と新製品Qua...

樹脂成型品の工程管理・不具合解析 樹脂成型品の工程管理や不具合解析の現場では、実際の製品や試作品と設計図との差異把握や、製品や金型の工程ごとの変化量把握、不具合解析や要因分... 続きを読む

関連サイト