金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

03

新聞購読のお申込み

日本精機 AM技術でギガに挑む【特集:ギガキャストの現在地】

ソディックと共同開発、大型3Dプリンタを導入

AM技術を武器にギガキャスト向け金型で需要開拓を狙うのが、ダイカスト金型メーカーの日本精機だ。まずは、高い熱交換機能が求められるギガ向け金型で、AMで造形した入れ子部品の採用を目指す。将来は金型全体の受注も狙う。

同社では、2021年に金属3Dプリンタを導入し、ダイカスト金型の入れ子などで採用を広げている。強みは造形が難しいとされる大同特殊鋼が開発したSKD61材「HTC」で造形できること。欧州では、ギガ向けの金型で、金属3Dプリンタで造形した入れ子部品の採用が増えていることから、日本でも増えると判断し、投資を強化する。

ソディックと共同開発した大型の3Dプリンタ

その一つがソディックと共同開発した大型サイズの造形できる「LPM450」の特殊仕様機を9月にも導入する。450㎜角サイズの大型が造形できるのが特長で、造形精度や速度を高められる機能を盛り込んだ。

同装置を導入した理由について、「ギガ向けの金型では大型の入れ子が求められるため、それに対応する狙いもある。しかし、既存の部品でも大型機だと多数個取りのように複数造形できるので、生産性向上にもつながる」(松原雅人常務取締役)。また、金属3Dプリンタ以外にも、大型造形したワーク向けに大型の熱処理装置も導入した。

こうして明確に投資に踏み切ることができるのは、欧州でギガ向けの金型メーカーに入れ子を納品した実績があるからだ。松原常務は「欧州では、3Dプリンタによる入れ子はマルエージング改良鋼がメインで、HTCで造形したいという声は多く、国内でも増えてくるはず」とみる。

将来的は3Dプリンタで造形した入れ子にとどまらず、ギガ向けの金型本体の受注にも広げていく考えだ。松原常務は「日本国内でも分割型になるのが既定路線だろう。当社の現有設備でも十分キャビやコアの加工ができる」。需要を見極めながら「型合わせに必要な大型のクレーンなどの投資も考えている」。

会社概要

  • 本社:愛知県名古屋市守山区中志段味2799
  • 電話:052・736・0611
  • 代表者:代表取締役社長辻村正稔氏
  • 創業:1920年
  • 従業員:62人
  • 事業内容:ダイカスト金型の設計製作、金属AM部品製造など。

金型新聞 2024年9月10日

関連記事

新栄ホールディングス 金型、プレス加工メーカーをグループ化【特集:連携・M&Aで乗り越える】

金型、プレス加工メーカー3社を傘下に置く新栄ホールディングス(東京都中央区、中村新一社長)。金属プレス加工メーカーの新栄工業(千葉市花見川区)がM&A(合併・買収)で取得したアポロ工業(埼玉県吉川市)と飯能精密工…

【検証】変わる金型基金 新たな船出2
3つの大きな課題解決へ

 日本金型工業厚生年金基金(上田勝弘理事長、以下金型基金)が今秋に制度移行を進める狙いは、現制度で抱える課題を解決するとともに、退職金の年金化など福利厚生の持続可能な制度の構築にある。以降2号にわたり、今の大きな3つの課…

金型メーカーアンケート 値上げ進むも道半ば【特集:どうする値上げ】

材料費や電気代の高騰が続き値上げが不可避の中、金型メーカーのユーザーへの価格転嫁は進んでいるのか。本紙はその実態を調べるため、金型メーカーにアンケートを実施した。結果から、値上げが受け入れられるようになりつつあるものの道…

前澤金型と福井県工業技術センターは金属AMを活用してどんな金型を開発したのか

金型や部品の造形で金属AMを活用する際、必ず指摘されるのがコスト。装置の価格はもとより、粉末材料が高価なことに加え、設計や解析などに多くの工数が発生するため、どうしても製造コストは高くなる。一方で、高い冷却効果による生産…

小林機械 中古機械の簡易審査リース開始

100〜500万円の機械が対象 小林機械(群馬県館林市、0276・74・4406)はこのほど、みずほリース(東京都港区)と提携し、簡易審査による中古機械のリースを開始した。動産総合保険を付与し、割賦販売にも対応する。現金…

トピックス

関連サイト