自動車の大型プレス用金型及び部品を製造するJ‐MAX。特に、ハイテン材・超ハイテン材用の金型で高い技術を有し強みを発揮している。「2030年度までに、CO2排出量を2013年度比半減、50年度にはカーボンニュートラル実現…
金型メーカー座談会<どうなる2014年 どうする今後の展開>
1月10日号のつづき
樫山 どんな方法で新規開拓しているんですか?
鈴木 インターネットで調べたり、展示会等に行き情報を集めたりします。ただ、プレス金型の納入先ですと顧客の幅が狭くなるので新規への挑戦が必要になってくると思います。
樫山 少し目線を変える必要があると思います。例えばデジタルシボ加工の「D3テクスチャ」というものを手掛けていますが、全く関係がなかった企業とつながるなど、横の連携が広がっていますし、視点を広げることで、会社としては良い方向に進めるのかなと考えています。基本的に金型メーカーが新規顧客を見つけることはそんなに簡単なことじゃないんですね。6年ほど前、展示会に出展した時「出すものがない」ということになりまして。これだけ良い機械があって、良い金型を作りますって言っても、お客さんに全く響かない。それがデザイン系の展示会にでると、メーカーさんでもこれまで縁が無かったデザイン部門とか開発部門と繋がりができたりします。
司会 ある意味で新しいチャネルですね。
樫山 今生き残っている金型メーカーは技術やコストなど、何かしら特長を持っています。同じ土俵で競争すると結局値段でしか入れないということになってしまいます。だから、違うアプローチを考えないとダメだと思います。値段以外のところでどうやって顧客とつながりを持つか、お客さまの目線に入る機会をどうやって増やしていくかを考えないといけないと思います。普通のアプローチで金型をPRしても、共感はされますがひっかかりは少ないと思いますね。
司会 ネットワークはどのように広げるのですか。
樫山 それこそ、天青会の勉強会や交流会なども一つの機会ではないでしょうか。
司会 金型メーカーの事業所数は、2011年の工業統計では7588社で、事業所数の減少も顕著です。
樫山 確かに外注先でもやれるところ減っている気がします。
鈴木 小規模な会社は年齢の高齢化が進み、跡継ぎがいないため廃業しているケースも多いです。今はまだ日本には金型メーカーが多数あるため、金型部品や製作用ツールが短納期で安く仕入れることができますが、金型メーカーが少なくなれば、スケールメリットがなくなり、簡単にツールが入手できなくなる危険があります。
渡辺 確かにそうですね。知らない間にかなり仕入れ先が変わっているんですよ。調べてみると、廃業したとか、縮小してできないとか、外注先がかなり変わっているんです。日本で金型を作れるところが無くなっちゃう危険もありますよ。
司会 自動車業界の変化も金型メーカーにとっては気になるところです。自動車の軽量化が進んでいますが鋳物部品は減っていませんか。
渡辺 減っていると思いますよ。昔の車の部品は全て鋳鋼で、それが鋳鉄になり、アルミになり、マグネシウムになりという流れになっています。昔やっていた、インテークマニホールドなども樹脂になっています。それが内燃機関をやっているメーカーとしては目下の課題ですね。でもまだ20~30年は無くならないと思います。10年のうちにどこに軸足を置くのかは決めておいた方が良いでしょうね。
司会 自動車の軽量化に伴い、ハイテン材も増えています。
鈴木 塑性変形が難しい材料が増えており、そのノウハウを高めているところです。ただ、難しい材料が増えれば増えるほど、日本企業が優位に立てる部分も大きくなると思います。海外では高ハイテンの金型はあまりできないですからね。
司会 CFRPもやっているんですよね。
鈴木 グループ企業内でCFRP成形用の金型を製作しています。自動車や住宅設備などユーザー・用途は色々ありますね。ただ、材料メーカーも試行錯誤しているので開発型のものが多いですね。言えない部分が多いです。
金型新聞 平成26年(2014年)2月10日号
関連記事
EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…
時には経営者、時には教え諭す教育者—。工場長には多様な役割が必要だ。こうしたマルチタスクをこなすために、どのようなことを意識しながら、責務を果たしているのか。現役工場長に、工場長としての哲学を聞いた。 工程管理の見える化…
EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…
経営者が語る 精密加工や新分野に挑戦 2月10日号のつづき 司会 次年度には設備投資の一括償却が可能になるという話も出ていますが、投資計画に変更などありますか。 鈴木 毎年の積み重ねが重要ですからね。日本でどのようにもの…