金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

06

新聞購読のお申込み

金型磨きロボット開発
近畿大学・理工学部 原田 孝教授

パラレルで力制御、高速・高精度

 金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に制御し、高速・高精度に磨けるロボットを開発した。今なお研究を続け、滑らかな動きで曲面や角も加工もできるよう追究するという。その性能は、そして今後の展開は―。

金型磨きロボット 原田教授は昨年、パラレルリンク構造の金型磨きロボットを独自開発した。4本のアームで保持具と砥石を支持し、砥石を前後させて金型の表面を磨く。往復を繰り返しその面が磨けると、横方向にスライドし再び前後運動で加工していく。

 このロボットの特長は、駆動の仕組みにパラレルリンクを、動力源にトルクむらが極めて小さい特殊仕様のDDモータを用いたこと。4本のアームはDDモータの動力と機械的な仕組みだけで動く。このため複数のモータ制御などで起きる動きの誤差が極めて少なく、砥石にかけるトルクの制御もし易い。自重も軽くなり、振動が僅かで素早い動きもできる。

 これまでの多関節式磨きロボットなどは動作の精度やスピード、砥石が金型にかける圧力の制御が課題だった。だがこのロボットは精密、高速な動きと圧力の強弱を制御して磨ける。原田教授は「開発したロボットは、職人の3倍以上の速さで磨き動作が可能、高速磨き動作を制御できれば、精密な磨きを大幅に効率化できる」と話す。

 原田教授は、学会で論文賞も受賞するパラレルメカニズムの第一人者。金型磨きロボットは、同大が2012年に始めた「近大金型プロジェクト」の一環として、これまで培った技術を金型の技術開発に生かせないかと取り組み始めた。

 現在も研究は進行中。今のロボットでは平面は磨けるが、3次元曲面や角の磨きで形状に合わせた砥石の動きや金型への圧力に課題が残る。原田教授は「高速磨きの時にも研磨面を鏡面並みの高品位に加工する条件を探索し、ロボットの動きや制御に取り込んでいきたい。しなやかで滑らかに磨けるように研究を重ねていく」と意欲的だ。


プロフィール

 1962年生まれ、京都市出身。1987年大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了、神戸製鋼所入社。2000年三菱マテリアル神戸ツールズ(現三菱マテリアル)、06年近畿大学助教授、12年同大教授。博士(工学)。専門はパラレルメカニズム、精密機械など。


金型新聞 平成28年(2016年)4月18日号

関連記事

ナガセインテグレックス 新藤良太新社長インタビュー

とんでもない良い会社に 超精密のナガセインテグレックス(岐阜県関市)で画期的なイグタープ(IGTARP)デザインの導入など開発部門を率いてきた新藤良太常務が、昨年10月、代表取締役社長COOに就任した。長瀬幸泰社長は、代…

【新春特別インタビュー④】ツバメックス代表取締役・多田羅 晋由氏「緩やかな連携が進む、経営者は思考の変革を」

もっと広義な意味に 緩やかな連携が進む 経営者は思考の変革を 〜M&A・企業連携〜  1959年生まれ、大阪府出身。82年サンスター技研に入社、2005年同社代表取締役、19年2月ツバメックス代表取締役に就任し、…

日本金型工業会 魅力度WGリーダー 平岡良介氏に聞く【特集:日本金型工業会第14回定時総会】

ラジオ、YouTube、インスタ、金型フェス 「魅力度WG」が取り組むのは、金型の魅力を世の中に発信すること。その主なターゲットは工学系の大学や工業高校の学生です。金型に興味を持ち、金型業界で働いてみたいと思う学生を増や…

電動車で変わるプレス機械のニーズ 高精度、大型化が加速する[プレス加工技術最前線]

高張力鋼板(ハイテン材)の増加や、自動車の電動化で必要となるプレス部品の精密化などにより、プレス金型は高度化している。金型はプレス機の精度や剛性に倣ってしまうため、これまで以上に金型とプレス機の両方の知見が重要になってい…

新春金型メーカー座談会
〜女性の活躍を考える〜

 製造業において、人手不足は深刻な問題となっている。困難な採用環境、熟練者の高齢化などに加え、働き方改革関連法の完全施行もあり、金型メーカー各社も対応に苦慮している。特に人手不足への対応は、生産性の向上はもとより、女性の…

トピックス

関連サイト