金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

14

新聞購読のお申込み

金型磨きロボット開発
近畿大学・理工学部 原田 孝教授

パラレルで力制御、高速・高精度

 金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に制御し、高速・高精度に磨けるロボットを開発した。今なお研究を続け、滑らかな動きで曲面や角も加工もできるよう追究するという。その性能は、そして今後の展開は―。

金型磨きロボット 原田教授は昨年、パラレルリンク構造の金型磨きロボットを独自開発した。4本のアームで保持具と砥石を支持し、砥石を前後させて金型の表面を磨く。往復を繰り返しその面が磨けると、横方向にスライドし再び前後運動で加工していく。

 このロボットの特長は、駆動の仕組みにパラレルリンクを、動力源にトルクむらが極めて小さい特殊仕様のDDモータを用いたこと。4本のアームはDDモータの動力と機械的な仕組みだけで動く。このため複数のモータ制御などで起きる動きの誤差が極めて少なく、砥石にかけるトルクの制御もし易い。自重も軽くなり、振動が僅かで素早い動きもできる。

 これまでの多関節式磨きロボットなどは動作の精度やスピード、砥石が金型にかける圧力の制御が課題だった。だがこのロボットは精密、高速な動きと圧力の強弱を制御して磨ける。原田教授は「開発したロボットは、職人の3倍以上の速さで磨き動作が可能、高速磨き動作を制御できれば、精密な磨きを大幅に効率化できる」と話す。

 原田教授は、学会で論文賞も受賞するパラレルメカニズムの第一人者。金型磨きロボットは、同大が2012年に始めた「近大金型プロジェクト」の一環として、これまで培った技術を金型の技術開発に生かせないかと取り組み始めた。

 現在も研究は進行中。今のロボットでは平面は磨けるが、3次元曲面や角の磨きで形状に合わせた砥石の動きや金型への圧力に課題が残る。原田教授は「高速磨きの時にも研磨面を鏡面並みの高品位に加工する条件を探索し、ロボットの動きや制御に取り込んでいきたい。しなやかで滑らかに磨けるように研究を重ねていく」と意欲的だ。


プロフィール

 1962年生まれ、京都市出身。1987年大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了、神戸製鋼所入社。2000年三菱マテリアル神戸ツールズ(現三菱マテリアル)、06年近畿大学助教授、12年同大教授。博士(工学)。専門はパラレルメカニズム、精密機械など。


金型新聞 平成28年(2016年)4月18日号

関連記事

「『金型灼熱』の技術強みに 省エネなど製品開発」 平和電機社長・大澤孝佳氏

各種工業用ヒーターや金型均熱システムなどを手掛ける平和電機(愛知県一宮市、0586-77-4870)は独自のエンジニアリング力を強みに、金型メーカーの様々なニーズに応える。近年はSDGsなど循環型社会への貢献を目指し、新…

【ひと】明輝 技術部・センシル クマールさん 高度な技術に挑むインド出身の金型設計者

インド・ムンバイ出身。2018年に来日し、プラスチック金型メーカーの明輝に入社した。担当は設計。自動車内外装品や機能部品など大小様々な金型を手掛けている。 金型技術者だった父親の影響で幼い頃から金型に興味を持っていた。地…

【新社長に聞く】アカマツフォーシス  稲波 孝 社長

【新社長に聞く】アカマツフォーシス 稲波 孝 社長

技術提案力磨き、生産効率高める 信頼されるパートナーに いなみ・たかし1968年生まれ、大阪府四条畷市出身。86年太成高校(現太成学院大学高校)卒、赤松合金工具に入社。2006年営業技術部長、19年総括本部長、20年12…

J-MAX 新工場建設や船活用でCO2削減【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

自動車の大型プレス用金型及び部品を製造するJ‐MAX。特に、ハイテン材・超ハイテン材用の金型で高い技術を有し強みを発揮している。「2030年度までに、CO2排出量を2013年度比半減、50年度にはカーボンニュートラル実現…

この人に聞く2015 <br>アカマツフォーシス 赤松 隆司社長

この人に聞く2015
アカマツフォーシス 赤松 隆司社長

生産性高める技術提案 シナジー生むプロ集団に  昨年10月、兄の憲一会長から経営のバトンを受け継いだ。歯車などの精密冷間鍛造金型を手掛けるアカマツフォーシスが取り引きするのは、自動車部品などのメーカー。「金型を通じて顧客…

トピックス

関連サイト