金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

26

新聞購読のお申込み

金型磨きロボット開発
近畿大学・理工学部 原田 孝教授

パラレルで力制御、高速・高精度

 金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に制御し、高速・高精度に磨けるロボットを開発した。今なお研究を続け、滑らかな動きで曲面や角も加工もできるよう追究するという。その性能は、そして今後の展開は―。

金型磨きロボット 原田教授は昨年、パラレルリンク構造の金型磨きロボットを独自開発した。4本のアームで保持具と砥石を支持し、砥石を前後させて金型の表面を磨く。往復を繰り返しその面が磨けると、横方向にスライドし再び前後運動で加工していく。

 このロボットの特長は、駆動の仕組みにパラレルリンクを、動力源にトルクむらが極めて小さい特殊仕様のDDモータを用いたこと。4本のアームはDDモータの動力と機械的な仕組みだけで動く。このため複数のモータ制御などで起きる動きの誤差が極めて少なく、砥石にかけるトルクの制御もし易い。自重も軽くなり、振動が僅かで素早い動きもできる。

 これまでの多関節式磨きロボットなどは動作の精度やスピード、砥石が金型にかける圧力の制御が課題だった。だがこのロボットは精密、高速な動きと圧力の強弱を制御して磨ける。原田教授は「開発したロボットは、職人の3倍以上の速さで磨き動作が可能、高速磨き動作を制御できれば、精密な磨きを大幅に効率化できる」と話す。

 原田教授は、学会で論文賞も受賞するパラレルメカニズムの第一人者。金型磨きロボットは、同大が2012年に始めた「近大金型プロジェクト」の一環として、これまで培った技術を金型の技術開発に生かせないかと取り組み始めた。

 現在も研究は進行中。今のロボットでは平面は磨けるが、3次元曲面や角の磨きで形状に合わせた砥石の動きや金型への圧力に課題が残る。原田教授は「高速磨きの時にも研磨面を鏡面並みの高品位に加工する条件を探索し、ロボットの動きや制御に取り込んでいきたい。しなやかで滑らかに磨けるように研究を重ねていく」と意欲的だ。


プロフィール

 1962年生まれ、京都市出身。1987年大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了、神戸製鋼所入社。2000年三菱マテリアル神戸ツールズ(現三菱マテリアル)、06年近畿大学助教授、12年同大教授。博士(工学)。専門はパラレルメカニズム、精密機械など。


金型新聞 平成28年(2016年)4月18日号

関連記事

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –北米–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…

ヒシヌママシナリー・菱沼慎介社長 世界から選ばれる会社へ【この人に聞く】

新しい市場ニーズに対応 ダイカストマシンメーカーのヒシヌママシナリー(埼玉県嵐山町、0493・62・3311)は昨年11月、菱沼慎介常務が社長に就任した。同社はマシンだけでなく、自動化装置や金型温調機などの周辺装置も含め…

【金型応援隊】ジーシステム 改善重ね導き出した生産システム

多台持ちで生産効率化 ジーシステムはプレス金型用プレートなどの研磨加工を手掛ける。車の電動化や5Gの広がりを背景に電子部品向けの需要が拡大している。於保信一郎社長は、「さらに効率化して生産性を高め、需要に応えていきたい」…

ソフトキューブ 基本無料のシミュレーション【金型応援隊】

VR、CGなどのグラフィックス系ソフトウェアの設計・開発を手掛けるソフトキューブは、3D切削シミュレーションソフト、「VirtualNC」の配信を開始した。 同製品はNCプログラムを読み込ませると、仮想空間上で工具を動か…

この人に聞く
パンチ工業 森久保 哲司 社長

ものづくりへの回帰 昨年11月、パンチ工業(東京都品川区、03-6893-8007)の社長に就任した。「ものづくりへの回帰」を掲げ、商品開発や加工技術のレベルアップなどに取り組み、今まで以上にユーザーの要求に応えていく考…

トピックス

関連サイト