機械や工具の最新情報など金型業界の今をお届けする「金型しんぶんONLINE」

JULY

27

新聞購読のお申込み

―スペシャリスト―ミルテック
精密加工の何でも屋

五感使うものづくり

精密打抜き用プレス金型、非球面レンズ金型、二次電池用金型及び部品、三次元形状部品、精密治具―。超精密金型や部品加工のミルテックがこれまで手掛けてきた品目の一部だ。『金と銀以外何でも加工する』と話す渡邉誠社長の言葉通り、まさに精密加工の「何でも屋」。ただ、特長的なのは多様な仕事を引き受けながら、全ての加工で高い品質を維持していること。実際に「面倒なモノしか来ない」(渡邉社長)と言うように、ユーザーからは「駆け込み寺」の様に位置付けられている。

面白味と挑戦に矜恃 失敗は成功への近道

音を聞きながら高精度な研削を行う

音を聞きながら高精度な研削を行う

同社の創業は製造業としては遅く、バブル崩壊後の1992年。「よくそんな時期に創業したと思う」と渡邉社長が自嘲するように世相は厳しい時。実際に「水道もお金も設備もない、全てがないモノ尽くしだった」と振り返る。

ただそんな時期でも、渡邉社長の頭にあったのは、「機械加工技術で世の中に貢献し、機械加工で飯を食べて行きたい」と言うモノづくりへの純粋な思いだ。だから「エポックがあったわけではない。近所のユーザーからの請負仕事から始め、これも出来ないか、あれも出来ないかと応えているうちに次々と色んな加工を手掛け、同時に技術やノウハウの蓄積も進み現在に至っている」。

そして、当然ながら顧客は高品質な加工品を望む。それに応えるように「品質最優先を掲げ、仕事の間口を広げていった」。実際に、納入後に行った顧客満足度調査でも「品質最優先が上位を占めている」とそのブランドイメージは浸透している。これだけ多様な仕事を受注しているが、共通していることがあるとすれば「真円度、平行度、平面度など、誰がいつ測定しても同じ精度が出るようなごまかしのきかない仕事を全社的に徹底させた」ことだ。

ミルテック 例えば最近手掛けた超硬部品の鏡面加工の要求面粗度は0・2S以下。またプレート加工は、180㎜□(角)のサイズで常に2μm以下の平行度に抑えなければならない。「どの加工も最初は苦労したが、多くの仕事を手掛けたことで技術・ノウハウの蓄積もでき、現在では、高品質は当たり前のようになっており、顧客はそれらを評価してくれていると思う」。

そして、もう一つ渡邉社長が重視するのは「面白味と挑戦」だ。ある自動車部品の金型を手掛けた時のこと。「3ヶ月ぐらい毎日徹夜のような状況。不良も山ほど作ったが『どうすれば顧客が満足する製品を実現できるか』と考え続け、難問に挑戦し、解決させるプロセスが楽しかった。結果として解決させた」。「難易度が高く、精密度が要求されるモノを果敢に取り組み、そして解決する挑戦力を誇りにしている」。

高精度な加工機も多数

高精度な加工機も多数

この「こだわりと挑戦」の姿勢は失敗に対する考え方にも現れている。日頃から渡邉社長は「失敗や不良は罪ではない。成功への近道と思え」と言っているという。失敗したことは結局ノウハウともなるからだ。先のプレート加工でも本当のノウハウを得るまで、5、6年間かかったそうだ。渡邉社長自身も何度も挫折を重ね、「挫折の回数が加工技術の蓄積となり顧客の信頼に繋がっていると思う」。

モノ造りの中でも「特に精密加工は高精度の機械だけで成立するものではない。円を加工してもミクロ的にみると決して真円ではなく、線と点の繋がりからできており、そこに人間の五感という媒体が不可欠になる。その機械を稼働させている人間の視、聴、嗅、味、触を研ぎ澄ませた時に真の円が出来上がる」と渡邉社長は職人としての矜持を話す。

職人を重視する同社だからこそ、人の育成は非常に重要であり、企業存続のカギとなるテーマだ。渡邉社長は「従業員はコストか、資産かという議論があるが、間違いなく人は資産。だから育成にお金を使うのは、全て投資」と話す。実際に20人の従業員の内13種の技能検定有資格者が在籍し、資格取得の推進を強力に進めている。

こうした人材育成重視の経営を今後も加速させる。「人の成長に合わせて会社も育って行く。それは町工場でも大企業であっても人を育てて行くことは同じ。待遇や環境を更に見直し、地域に貢献できる夢を持てる企業にしたい」。


渡邉誠社長

渡邉誠社長

会社概要

本  社=〒963―7733
福島県田村郡三春町大字山田字菖蒲作147
電  話=0247・62・8491
代表者=渡邉誠社長
従業員=20人
創  業=1992年
製造品目=超精密金型、精密治具、部品加工、各種組立
主要設備
ジグ研削盤(ハウザーなど)4台、円筒研削盤(スチューダなど)7台、平面研削盤(長島精工など)15台、ジグボイラー(安田工業など)6台、放電加工機(ソディックなど)5台、ワイヤー放電加工機(ソディックなど)6台、その他多数。


金型新聞 平成28年(2016年)9月10日号

関連記事

【ひと】ケーワールドism社長・澤井健司さん(55) 金型技術生かし自社商品をヒットさせた

金型技術活かし自社商品をヒットさせた  『日本一の金型職人になりたい』と、金型製作に没頭した若き日の澤井健司社長。町工場が集積する大阪・八尾で金型作りに励む日々だったが、ひょんなことから独立し、ケーワールドismを設立。…

【インタビュー】扶桑精工・松山広信社長「攻めの企業を目指す 」

営業改革や自社ブランド開発 まつやま・ひろのぶ1980年生まれ、東京都出身。2004年立教大学卒業後、UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、営業、企画などを経験した。19年扶桑精工に入社、20年同社社長に就任し、現在に…

型から成形まで一貫生産<br>コガネイモールド 村田 隆 常務

型から成形まで一貫生産
コガネイモールド 村田 隆 常務

この人に聞く2018  今年4月に樫山金型工業から社名を変更した「コガネイモールド」。携帯電話を中心としたプラスチック金型で一時代を築いた同社だったが、スマートフォンの登場によって需要が激減。しかし、一昨年に空圧機器メー…

日本金型工業会 事務局長 川田 明美さん(58)
〜ひと〜

会員の声をカタチにしたい  昨年、金型メーカーで働く女性が現場の課題などを話し合った「かながた小町」を企画した。金型メーカー約420社が参加する日本金型工業会の行事の多くは経営者やマネジメント層が対象。「金型メーカーで働…

金型にも「情報管理」の波

金型にも「情報管理」の波

「技術等情報の管理認証制度」設立  IoT化やグローバル化などによって、情報流出のリスクが高まる昨今、製造業には技術などの情報の適切な管理が求められている。金型業界も例外ではなく、「顧客情報がしっかり管理、保護できている…

トピックス

関連サイト