金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

21

新聞購読のお申込み

―スペシャリスト―リバン・イシカワ
金型の経験生かし心配り

精密金型部品

キャビティやコア、スライドコアなどの金型部品を専門に手掛ける会社がある。富山県南砺市のリバン・イシカワ。金型づくりで培った経験を生かし、独自の工夫や細やかな心配りで自動車関連メーカーの金型部門や金型メーカーなどの要望に応えている。一方、高硬度材の直彫りやプレス型用など、新たな分野にも挑戦し活躍の舞台を広げている。

高硬度材切削やプレス型用

ダイカスト金型の部品

ダイカスト金型の部品

いくつもの凹凸が連なり、滑らかな曲面が伸びる。複雑な形状の表面は、艶やかに銀色に輝く。これはダイカスト金型の部品(写真)。リバン・イシカワではこうした金型部品を全国の金型メーカーなどから受注し、マシニングセンタやワイヤ・形彫放電加工機を駆使して部品を作る。本社工場には、5軸マシニングセンタを中心に最新鋭の工作機械が並ぶ(写真)。

現在は金型部品専門だが、もともとは金型メーカー。創業(1970年)当時はプレス部品などを手掛けていたが、まもなく金型製作を開始。それから約30年、自動車部品などのプラスチック金型を作っていた。リバン・イシカワの強みは、これまでの金型づくりの経験を部品製作に生かしていること。

その一つが、製作に入る事前の打ち合わせ。例えば、依頼を受けて届いた図面に、指示が抜けていることがある。その部品の特性から、不備に気がつき、顧客に電話やメールで問い合わせる。顧客の手を煩わせず、かゆいところに手が届く。

切削加工した高硬度材金型部品やレンズ金型

切削加工した高硬度材金型部品やレンズ金型

金型部品の品質不良で多いのは、指示不足に気づけなかったことによる加工の不具合。石川幹人社長は「金型づくりの経験があるから気づけるし、こちらから提案もできる。寸法不良、加工不具合などは極めて少ない。お客様から絶大な信頼を得る自信がある」。

手掛ける分野広げる

そしてもう一つの工夫が、加工現場でも紙の図面で金型部品の製作の進捗や品質を確認するようにしていること。設計部門では加工データをつくる際、必ず設計図面を作図し、その図面は金型部品とともに切削や放電、測定と各部門を渡っていく。

「紙の図面と部品が一対になっているから間違いにくいし、ほかの技術者との相談もし易い。だからあえてペーパーレス化せずにいまも紙を使っている」という。

最新鋭の設備が並ぶ

最新鋭の設備が並ぶ

一方、高硬度材の直彫り切削や、レンズ金型の入れ子の製作など新たな技術にも挑戦している。共に数年前から取り組み始め、精度面では実用化できる技術を確立。今春のインターモールドでは、高硬度材の歯車の鍛造金型の入れ子や、レンズのリフレクターの入れ子を切削加工したサンプルを出品した。

石川社長は「製作分野も今の主力のプラスチックやダイカストからプレス、鍛造へと広げていきたい。技術力も磨き、対応できる分野も広げ、自動車関連メーカーの金型部門や金型メーカーなどの要求により一段と答えていけるようにしていく」。


会社概要

石川社長

石川社長

本社:富山県南砺市国広62
TEL:0763・62・1783
代表取締役:石川幹人氏
創業:1970年
事業内容:金型部品製作、航空機部品などの加工、機械加工。


金型新聞 平成28年(2016年)11月14日号

関連記事

【鳥瞰蟻瞰】碌々産業社長・海藤満氏「優れた人材の発掘と育成が新たな世界の創出につながる」

重要なのは加工技術者 優れた人材の発掘・育成が、新たな世界の創出につながる  いまや我々の日常生活に不可欠なものとなったスマートフォンや極小な電子機器。これらは微細加工技術があったからこそ生まれました。ミクロンやナノとい…

【新社長に聞く】共和工業・熊谷勇介社長「金型通じ、顧客の夢カタチに 」

くまがい・ゆうすけ1985年大東文化大学経済学部卒、同年共和工業入社。2013年海外営業部長、20年常務執行役員社長補佐、新潟県三条市出身、58歳。 大型の樹脂型を手掛ける地元三条市の共和工業に入社したのは1985年。以…

久野金属工業 金型・プレス・組立一貫生産【金型の底力】

プレス業界の活性化に ハイテン材など高張力鋼板や難加工材のプレス金型及びプレス加工を手掛ける久野金属工業は、次世代車向けのプレス部品の製造を強化するため、約30億円を投じ、愛知県豊明市に新工場を建設。金型からプレス加工、…

牧野フライス製作所 執行役員 高山幸久営業本部長に聞く【特集:進む設備の大型化】

大型機組立工場新設の理由 牧野フライス製作所は昨年末、山梨県富士吉田市に大型加工機の組み立て工場を新設すると発表した。12年ぶりの新工場で、総額210億円を投資し、大型加工向けを強化する。2026年初めに本格稼働する予定…

リーダーの条件[part1] 経営のカリスマが心掛けていること

サイベックコーポレーション 顧問 平林 健吾氏  1944年生まれ、長野県出身。工作機械メーカー、プレス部品メーカーを経て、73年に信友工業(現サイベックコーポレーション)を設立。2009年顧問。18年旭日単光章を受賞。…

トピックス

関連サイト