金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

17

新聞購読のお申込み

―スペシャリスト―リバン・イシカワ
金型の経験生かし心配り

精密金型部品

キャビティやコア、スライドコアなどの金型部品を専門に手掛ける会社がある。富山県南砺市のリバン・イシカワ。金型づくりで培った経験を生かし、独自の工夫や細やかな心配りで自動車関連メーカーの金型部門や金型メーカーなどの要望に応えている。一方、高硬度材の直彫りやプレス型用など、新たな分野にも挑戦し活躍の舞台を広げている。

高硬度材切削やプレス型用

ダイカスト金型の部品

ダイカスト金型の部品

いくつもの凹凸が連なり、滑らかな曲面が伸びる。複雑な形状の表面は、艶やかに銀色に輝く。これはダイカスト金型の部品(写真)。リバン・イシカワではこうした金型部品を全国の金型メーカーなどから受注し、マシニングセンタやワイヤ・形彫放電加工機を駆使して部品を作る。本社工場には、5軸マシニングセンタを中心に最新鋭の工作機械が並ぶ(写真)。

現在は金型部品専門だが、もともとは金型メーカー。創業(1970年)当時はプレス部品などを手掛けていたが、まもなく金型製作を開始。それから約30年、自動車部品などのプラスチック金型を作っていた。リバン・イシカワの強みは、これまでの金型づくりの経験を部品製作に生かしていること。

その一つが、製作に入る事前の打ち合わせ。例えば、依頼を受けて届いた図面に、指示が抜けていることがある。その部品の特性から、不備に気がつき、顧客に電話やメールで問い合わせる。顧客の手を煩わせず、かゆいところに手が届く。

切削加工した高硬度材金型部品やレンズ金型

切削加工した高硬度材金型部品やレンズ金型

金型部品の品質不良で多いのは、指示不足に気づけなかったことによる加工の不具合。石川幹人社長は「金型づくりの経験があるから気づけるし、こちらから提案もできる。寸法不良、加工不具合などは極めて少ない。お客様から絶大な信頼を得る自信がある」。

手掛ける分野広げる

そしてもう一つの工夫が、加工現場でも紙の図面で金型部品の製作の進捗や品質を確認するようにしていること。設計部門では加工データをつくる際、必ず設計図面を作図し、その図面は金型部品とともに切削や放電、測定と各部門を渡っていく。

「紙の図面と部品が一対になっているから間違いにくいし、ほかの技術者との相談もし易い。だからあえてペーパーレス化せずにいまも紙を使っている」という。

最新鋭の設備が並ぶ

最新鋭の設備が並ぶ

一方、高硬度材の直彫り切削や、レンズ金型の入れ子の製作など新たな技術にも挑戦している。共に数年前から取り組み始め、精度面では実用化できる技術を確立。今春のインターモールドでは、高硬度材の歯車の鍛造金型の入れ子や、レンズのリフレクターの入れ子を切削加工したサンプルを出品した。

石川社長は「製作分野も今の主力のプラスチックやダイカストからプレス、鍛造へと広げていきたい。技術力も磨き、対応できる分野も広げ、自動車関連メーカーの金型部門や金型メーカーなどの要求により一段と答えていけるようにしていく」。


会社概要

石川社長

石川社長

本社:富山県南砺市国広62
TEL:0763・62・1783
代表取締役:石川幹人氏
創業:1970年
事業内容:金型部品製作、航空機部品などの加工、機械加工。


金型新聞 平成28年(2016年)11月14日号

関連記事

【この人に聞く】MOLDINO・鶴巻 二三男社長

切削工具メーカーのMOLDINO(東京都墨田区、03-6890-5101)は金型加工に特化した工具の開発に取り組んでいる。昨年4月にはこれまでブランド名だった「MOLDINO」を社名に改め、これまで以上に金型加工の課題を…

「現場で活躍できる人材育て、学生の未来を後押しする」 大分県立工科短期大学校校長・䑓博治氏[鳥瞰蟻瞰]

入社したその日から金型づくりや保全の現場で活躍できる。当校の機械システム系金型エンジニアコースはそんな人材を育てています。アカデミックな指導はしません。指導するのはあくまで金型をつくり、使う実践の現場で必要な技術や知識で…

この人に聞く2016<br>牧野フライス製作所 井上 真一社長

この人に聞く2016
牧野フライス製作所 井上 真一社長

要望に合わせ創造と変革  「色々と教えると新しい経営はできないだろうから、あなたには多くは教えない」―。工作機械業界のカリスマ、牧野二郎前社長がそう伝えるほど、全幅の信頼を置く。 顧客重視をより進化  入社時に「機械もソ…

【ひと】ケーワールドism社長・澤井健司さん(55) 金型技術生かし自社商品をヒットさせた

金型技術活かし自社商品をヒットさせた  『日本一の金型職人になりたい』と、金型製作に没頭した若き日の澤井健司社長。町工場が集積する大阪・八尾で金型作りに励む日々だったが、ひょんなことから独立し、ケーワールドismを設立。…

キューシボ 出力1200Wの大型レーザーで金型補修【金型応援隊】

金型のレーザー肉盛り溶接を手掛けるキューシボは、出力1200ワットのファイバーレーザー溶接機を導入した。金型に加え、産業用タービン(ロータ)などの肉盛り溶接も始める考えだ。 導入したのは独アルファレーザー社の「ALFla…

トピックス

関連サイト