金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

11

新聞購読のお申込み

昼食会から生まれる改善提案
ユーザーの声に応え続けるー三幸

がんばれ!日本の金型産業(連載シリーズ)
三幸 窪田 彰克 社長

技術を武器に多様なユーザー層

三幸 技術

ペットボトルのキャップなど丸物の精密プラスチック金型を得意とする三幸の特長の一つが、ユーザー層の広さだ。キャップなどの食品関連はもとより、自動車関連の高機能部品、医療機器関連など特定の業種に依存しない体制を持つ。成形機サイズで100~180tを得意とするが、最大で450tクラスにまで対応する。

幅広いユーザーへの対応力は富山という地域性とも無関係ではない。同県の製造品出荷額のトップ5は化学、一般機械、電気機械、金属機械、輸送用機器の順だが、自動車以外はすべて10%台とバランスがいい。三幸自身もこうした多様なユーザーの影響を受け「ダイカスト金型で創業し、鍋釜などから、アルミサッシ、食品、自動車といった具合にユーザーの要望に応え続けることで自然に業容を変化させてきた」(窪田彰克社長)という。

こうした変化への対応力に加え、自らの強みについて、窪田社長は「お客様からは立ち上がりが早いと評価をいただく」と話す。いずれのユーザーも求められる寸法精度は1000分台だが、要求通りに成形までフォローする。「徹底的に事前に打ち合わせをし、恒温室や高精度な加工ができる設備など当たり前のことをしているだけ」と淡々と話す。

ユーザーからの要求に対して、金型メーカーとして、当たり前のことを当たり前にこなす。実はこれが一番難しいのかもしれない。窪田社長は言う。「ユーザーの要求に応え続けること。そして、高精度へのこだわりという当たり前の部分で手を抜いたら日本に金型メーカーは残らない」。

昼食会から生まれる改善提案

三幸 人

設計、加工、仕上げ、組み付けなど金型は複数の工程を経て出来上がる。部品点数も数十から数百にもなるため、金型作りは擦り合わせ産業の極みだ。だからこそ、技術者同士のコミュニケーションが品質にも反映される。三幸の場合、中小企業ならではの風通しの良さがそれに役立っている。象徴的なのが創業以来続けている「昼食会」だ。

月に一度は部署ごとで集まって昼食を食べる。「特段テーマがあるわけでもない。困っていることや身内のネタなどを話す場。『社長すみませんが…』とかしこまるほどの話はそうはない。ちょっとしたことならなんでも昼食会で報告しあう」という。

フランクに言い合える場なのだろう。ここから改善提案が生まれることもしばしば。最近では、社員自らが「ミスを金額換算してグラフ化して貼りだそう」と提案があったという。否定的なものではなく「ミスを繰り返さない」という意図からの発案だ。金型にメモをつける「金型報告書」もここから生まれた。担当者が、少しでも気づいたことがあれば後工程の人に伝えるメモを残す。それを全社でも共有できるようにもしたという。

窪田社長は「昼食会のような風通しの良さや融通が利くのがうちの特長だと思う」と話す。それは定着率の高さにも表れている。平均年齢は40歳ぐらいだが、勤続10年以上の技術者が多い。少子高齢化が進み、人材の確保を経営課題とする企業も多い中、「3年や5年では技術の蓄積はできない」(窪田社長)とし、高い定着率で更なる技術力の向上を目指す。


会社メモ

窪田彰克社長

窪田彰克社長

代表者=窪田彰克社長
資本金=1600万円
創業=1967年
従業員数=20人
本社工場=富山県高岡市荒屋敷285番地
電話=0766・31・0646
Fax=0766・31・0647
主な業務内容=超精密プラスチック金型の設計製造
設備機械=マシニングセンタ(MC)「YBM640」「YBM950」(安田工業)、「VM600」、「VM7Ⅲ」(OKK)など5台、ワイヤーカット放電加工機「MP2400」、「PA20M」(三菱電機)「AQ537L」(ソディック)など4台、型彫放電加工機「AQ35LR」(ソディック)など4台、NC旋盤「QTS250M」(ヤマザキマザック)など3台、CAD/CAM「EXCESS」(C&Gシステムズ)、「HyperMill」(オープンマインドテクノロジーズ)など10台など。


金型新聞 平成29年(2017年)10月16日号

関連記事

三菱電機 本体変えずに性能アップ可能 ファイバーレーザー加工機を発売

三菱電機(東京都千代田区、03-3218-2111)はこのほど、ファイバーレーザー加工機の上位機種「GX‐Fシリーズ」の性能をアップデートできるソリューションを提供していくと発表した。ユーザーは導入済みの機械本体に新技術…

MF-TOKYO2023総集編

MF‐TOKYO2023(第7回プレス・板金・フォーミング展)が7月12~15日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催され、2万8219人が来場した。会場ではプレス機械や金型、周辺メーカーなどが最新の塑性加工技術を披露…

小林工業 工具のヘリカル形状をニアネット成形[金型テクノラボ]

粉末冶金金型を手掛ける小林工業は、ヘリカル形状を回転機構を持たない成形機で粉末成形する技術を開発した。粉末を均一にするプレス技術と、回転しながら製品を取り出す独自の金型によって実現した。ニアネット成形することで超硬エンド…

さくさく 切削工具販売サイトをオープン

さくさく 切削工具販売サイトをオープン

低価格で、欲しい工具探しやすく小規模工場の需要に応える  独自ブランド「さくさく」の切削工具などを販売するウェブサイト「さくさく」がオープンした。低価格帯の汎用的な工具を豊富に取り揃え、通販初心者にも欲しい工具を探しやす…

MF ‐ TOKYO 出展者募集開始

日本鍛圧機械工業会が来年7月開催 日本鍛圧機械工業会(北野司会長、アイダエンジニアリング常務)は、7月1日から「MF-TOKYO2023第7 回プレス・板金・フォーミング展」の出展募集を開始した。日刊工業新聞社と共催。2…

トピックス

関連サイト