EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…
昼食会から生まれる改善提案
ユーザーの声に応え続けるー三幸
がんばれ!日本の金型産業(連載シリーズ)
三幸 窪田 彰克 社長
技術を武器に多様なユーザー層
ペットボトルのキャップなど丸物の精密プラスチック金型を得意とする三幸の特長の一つが、ユーザー層の広さだ。キャップなどの食品関連はもとより、自動車関連の高機能部品、医療機器関連など特定の業種に依存しない体制を持つ。成形機サイズで100~180tを得意とするが、最大で450tクラスにまで対応する。
幅広いユーザーへの対応力は富山という地域性とも無関係ではない。同県の製造品出荷額のトップ5は化学、一般機械、電気機械、金属機械、輸送用機器の順だが、自動車以外はすべて10%台とバランスがいい。三幸自身もこうした多様なユーザーの影響を受け「ダイカスト金型で創業し、鍋釜などから、アルミサッシ、食品、自動車といった具合にユーザーの要望に応え続けることで自然に業容を変化させてきた」(窪田彰克社長)という。
こうした変化への対応力に加え、自らの強みについて、窪田社長は「お客様からは立ち上がりが早いと評価をいただく」と話す。いずれのユーザーも求められる寸法精度は1000分台だが、要求通りに成形までフォローする。「徹底的に事前に打ち合わせをし、恒温室や高精度な加工ができる設備など当たり前のことをしているだけ」と淡々と話す。
ユーザーからの要求に対して、金型メーカーとして、当たり前のことを当たり前にこなす。実はこれが一番難しいのかもしれない。窪田社長は言う。「ユーザーの要求に応え続けること。そして、高精度へのこだわりという当たり前の部分で手を抜いたら日本に金型メーカーは残らない」。
昼食会から生まれる改善提案
設計、加工、仕上げ、組み付けなど金型は複数の工程を経て出来上がる。部品点数も数十から数百にもなるため、金型作りは擦り合わせ産業の極みだ。だからこそ、技術者同士のコミュニケーションが品質にも反映される。三幸の場合、中小企業ならではの風通しの良さがそれに役立っている。象徴的なのが創業以来続けている「昼食会」だ。
月に一度は部署ごとで集まって昼食を食べる。「特段テーマがあるわけでもない。困っていることや身内のネタなどを話す場。『社長すみませんが…』とかしこまるほどの話はそうはない。ちょっとしたことならなんでも昼食会で報告しあう」という。
フランクに言い合える場なのだろう。ここから改善提案が生まれることもしばしば。最近では、社員自らが「ミスを金額換算してグラフ化して貼りだそう」と提案があったという。否定的なものではなく「ミスを繰り返さない」という意図からの発案だ。金型にメモをつける「金型報告書」もここから生まれた。担当者が、少しでも気づいたことがあれば後工程の人に伝えるメモを残す。それを全社でも共有できるようにもしたという。
窪田社長は「昼食会のような風通しの良さや融通が利くのがうちの特長だと思う」と話す。それは定着率の高さにも表れている。平均年齢は40歳ぐらいだが、勤続10年以上の技術者が多い。少子高齢化が進み、人材の確保を経営課題とする企業も多い中、「3年や5年では技術の蓄積はできない」(窪田社長)とし、高い定着率で更なる技術力の向上を目指す。
会社メモ
代表者=窪田彰克社長
資本金=1600万円
創業=1967年
従業員数=20人
本社工場=富山県高岡市荒屋敷285番地
電話=0766・31・0646
Fax=0766・31・0647
主な業務内容=超精密プラスチック金型の設計製造
設備機械=マシニングセンタ(MC)「YBM640」「YBM950」(安田工業)、「VM600」、「VM7Ⅲ」(OKK)など5台、ワイヤーカット放電加工機「MP2400」、「PA20M」(三菱電機)「AQ537L」(ソディック)など4台、型彫放電加工機「AQ35LR」(ソディック)など4台、NC旋盤「QTS250M」(ヤマザキマザック)など3台、CAD/CAM「EXCESS」(C&Gシステムズ)、「HyperMill」(オープンマインドテクノロジーズ)など10台など。
金型新聞 平成29年(2017年)10月16日号
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