金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

11

新聞購読のお申込み

昼食会から生まれる改善提案
ユーザーの声に応え続けるー三幸

がんばれ!日本の金型産業(連載シリーズ)
三幸 窪田 彰克 社長

技術を武器に多様なユーザー層

三幸 技術

ペットボトルのキャップなど丸物の精密プラスチック金型を得意とする三幸の特長の一つが、ユーザー層の広さだ。キャップなどの食品関連はもとより、自動車関連の高機能部品、医療機器関連など特定の業種に依存しない体制を持つ。成形機サイズで100~180tを得意とするが、最大で450tクラスにまで対応する。

幅広いユーザーへの対応力は富山という地域性とも無関係ではない。同県の製造品出荷額のトップ5は化学、一般機械、電気機械、金属機械、輸送用機器の順だが、自動車以外はすべて10%台とバランスがいい。三幸自身もこうした多様なユーザーの影響を受け「ダイカスト金型で創業し、鍋釜などから、アルミサッシ、食品、自動車といった具合にユーザーの要望に応え続けることで自然に業容を変化させてきた」(窪田彰克社長)という。

こうした変化への対応力に加え、自らの強みについて、窪田社長は「お客様からは立ち上がりが早いと評価をいただく」と話す。いずれのユーザーも求められる寸法精度は1000分台だが、要求通りに成形までフォローする。「徹底的に事前に打ち合わせをし、恒温室や高精度な加工ができる設備など当たり前のことをしているだけ」と淡々と話す。

ユーザーからの要求に対して、金型メーカーとして、当たり前のことを当たり前にこなす。実はこれが一番難しいのかもしれない。窪田社長は言う。「ユーザーの要求に応え続けること。そして、高精度へのこだわりという当たり前の部分で手を抜いたら日本に金型メーカーは残らない」。

昼食会から生まれる改善提案

三幸 人

設計、加工、仕上げ、組み付けなど金型は複数の工程を経て出来上がる。部品点数も数十から数百にもなるため、金型作りは擦り合わせ産業の極みだ。だからこそ、技術者同士のコミュニケーションが品質にも反映される。三幸の場合、中小企業ならではの風通しの良さがそれに役立っている。象徴的なのが創業以来続けている「昼食会」だ。

月に一度は部署ごとで集まって昼食を食べる。「特段テーマがあるわけでもない。困っていることや身内のネタなどを話す場。『社長すみませんが…』とかしこまるほどの話はそうはない。ちょっとしたことならなんでも昼食会で報告しあう」という。

フランクに言い合える場なのだろう。ここから改善提案が生まれることもしばしば。最近では、社員自らが「ミスを金額換算してグラフ化して貼りだそう」と提案があったという。否定的なものではなく「ミスを繰り返さない」という意図からの発案だ。金型にメモをつける「金型報告書」もここから生まれた。担当者が、少しでも気づいたことがあれば後工程の人に伝えるメモを残す。それを全社でも共有できるようにもしたという。

窪田社長は「昼食会のような風通しの良さや融通が利くのがうちの特長だと思う」と話す。それは定着率の高さにも表れている。平均年齢は40歳ぐらいだが、勤続10年以上の技術者が多い。少子高齢化が進み、人材の確保を経営課題とする企業も多い中、「3年や5年では技術の蓄積はできない」(窪田社長)とし、高い定着率で更なる技術力の向上を目指す。


会社メモ

窪田彰克社長

窪田彰克社長

代表者=窪田彰克社長
資本金=1600万円
創業=1967年
従業員数=20人
本社工場=富山県高岡市荒屋敷285番地
電話=0766・31・0646
Fax=0766・31・0647
主な業務内容=超精密プラスチック金型の設計製造
設備機械=マシニングセンタ(MC)「YBM640」「YBM950」(安田工業)、「VM600」、「VM7Ⅲ」(OKK)など5台、ワイヤーカット放電加工機「MP2400」、「PA20M」(三菱電機)「AQ537L」(ソディック)など4台、型彫放電加工機「AQ35LR」(ソディック)など4台、NC旋盤「QTS250M」(ヤマザキマザック)など3台、CAD/CAM「EXCESS」(C&Gシステムズ)、「HyperMill」(オープンマインドテクノロジーズ)など10台など。


金型新聞 平成29年(2017年)10月16日号

関連記事

【特集】金型メーカー新春座談会(第1部) 5氏が語る〜地平拓く人材〜

【特集】金型メーカー新春座談会(第1部) 5氏が語る〜地平拓く人材〜

経営支える中核人材を  金型メーカーを取材すると必ずと言っていいほど話題になるのが人材育成の苦労や確保の難しさ。少子高齢化に伴う人材不足に加え、金型づくりで求められる人材像が変わってきていることも大きな理由だ。そこで、今…

NTTデータエンジニアリングシステムズ 「Spase-E」新版を販売開始

UI変更で操作性向上 NTTデータエンジニアリングシステムズ(東京都大田区、03-5711-5341)は10月12日、金型向けCAMシステム「Space‐E /CAM2022」の販売を開始する。CAMエンジンを刷新し、ユ…

高精度・難加工技術展2019
9月4日〜6日 パシフィコ横浜

表面改質や試作、AMも  日刊工業新聞社は9月4日〜6日の3日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、高精度や難加工に関連する最新の加工技術を集めた「高精度・難加工技術展2019」を開催する。「モノづくりマッチングフェア」…

5軸加工用工具・治具[Breakthrough!]

切削工具を傾けて加工ができることから、様々な効果が期待できる5軸加工。工具の側面のR形状を活用し、高能率な加工ができるバレル工具を始め、専用工具が登場している。バイスや治具でも、5軸加工をより効果的に活用するための製品が…

ニチダイ 2021年4—12月期連結決算

車減産の影響も増収増益 フィルタは計画上回る ニチダイの2021年4—12月期連結決算は、売上高が97億4800万円(前年同期比26.1%増)、営業利益が2億8800万円、経常利益が2億9800万円となった。 半導体不足…

トピックス

関連サイト