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日本金型工業会 ISTMA総会を報告
世界の金型生産、約8兆5000億
日本金型工業会は昨年12月、各支部(東京・名古屋・大阪)で6月にブラジル・ジョインビル市で開催されたISTMA総会(国際金型協会)の報告会を開いた。それによると世界の金型及び金型部品などの生産金額は約8兆5000億円(2016年)で、トップは中国、続いてアメリカ、日本が続く。同工業会は昨年1月にISTMAに加盟、各国の金型メーカーの情報などを収集することで日本の金型メーカーとの連携などを後押ししていく考えだ。
報告会では事業革新パートナーズの茄子川仁社長と日本工業大学の横田悦二郎教授が登壇し説明。
それによると、ISTMAはドイツやフランス、イタリア、ポルトガル、スロベニアなどEU諸国を中心に、アジアからは日本と中国、イラン、それに南アフリカ共和国、ブラジルなど22カ国、計8000社が加盟する。会長はボブ・ウィリアムズ氏(南アフリカ共和国)。製造分野は金型や金型部品ほか精密加工なども含まれ、加盟団体及び企業が国際経済で成功するための支援やネットワーキング、情報、プログラム、サービスの提供をミッションとしている。
報告会ではブラジルなど各国の事情も紹介した。ブラジルの自動車生産台数は230万台(輸出50万台/輸入20万台)、部品メーカーは約300社。金型の調達先はスペイン49%、中国32%、アメリカ12%、韓国4%、日本2%。これまで関税率が35%と高かったことが輸出の障壁となっていたが、アルゼンチンからの輸入関税が2%に低減されるなど、自動車は回復基調にある。ブラジルには約700社の金型メーカーがあるが、アジアからの金型輸入が増え企業数は減少。金型の輸入高でみると、16年は08年比で、プレス型は8倍、プラ・ゴム型で2倍に増加しているため、ブラジル金型工業会はISTMAを通じて世界各国との協力関係をつくり競争力強化を急いでいる。また、カシアス、ジョインベル、クリチバなど金型集積地があり、産官学連携で金型の人材育成に取り組んでいる。また、プラ型は充実している一方、プレス金型が少ないと横田教授は指摘。「プレス型は設備投資費がかかるため、世界中でプレス型が足りていない」と話す。
今後も経済成長が期待されるインドの金型市場は約2500億円。うち1200億円が外販、820億円が内製、460億円は輸入という構成で、外販市場の56%が自動車向け。13~17年まで外販や内製ともに増加し、輸入は減少しているなど現地調達・技術力向上が進んでいる。欧米主導の金型技術学校も立ち上がり、人材育成に積極的だ。人口は12億人で、1人あたりGDPは1709ドル。日系メーカーは06年以降、現地進出が続き、現在約1300社が進出。
自動車メーカーの進出が目立つメキシコの自動車生産台数は357万台(15年)で金型輸入額が約2500億円(16年)。一番多い型種は大物プラスチック型で11億5800万ドル(約1300億円)で、金型輸入額も15〜16年にかけ60%増加しているが、国内金型メーカーは約200社で生産比率は全体の3%としかなく輸入に頼っているのが現状だ。特にダイカスト型の輸入先トップは日本で強みを発揮している一方、大型プラ型のトップはアメリカ、コスト性や現調化で中国が急速伸ばしている。金型部品や熱処理、鋼材などインフラが整っていない面も懸念されるが、今後も金型需要は伸びると予想され、急速に発展する可能性もある。
金型新聞 平成30年(2018年)1月10日号
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